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花摘み

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穏やかな午後の日差しに、草原は時を止めたような、仕草、花を摘む乙女は、天使の祈りを口ずさむ
ささやかな贈り物、仰ぎ見た空に、かかる雨上がりの虹に、うたかたのリズムが、遠くまで、響いていく、恋はまるでネイッキド・シュール・ファンタジアム
服に草の青い香りが映って、湖のほとりに煌めく、覗き込んだその顔に、笑顔と嘆息の恋シール。
頬に貼った徴は、天使の兆し、もう戻れない日々が、あのニンフと精霊の昼寝、寝顔が、かわいい、でも、恋は、気まぐれの乱れ髪、後ろで束ねる、ひと時に、コーヒー、紅茶、マロンのマカロン、かじって、今は、ほっとした、息がこぼれて、笑顔が振り返る、昔の記憶は、退屈だったけれど、きらびやかで、慎ましく、濡れた服の裾をぬぐった、笑い声と、大きく響く笛の根に、すまし顔のカエルが、道を横切る。
だから、あなたはね。
そう、うれしいわ。
なんなの、あなた。
七人の乙女天使
涼やかに素足で、花畑を駆ける、帰り道も知らないで、太陽が西に傾いて、急がないと夕立が来るわ。
呼ぶ声。
きっと、神さまじゃないわよ、あれは白馬の王子さま、もう忘れたわ、遠い昔のことなんて。
はるか先に視線をやれば、また降り始めた、雨が、頬を染める、薄紅色の花々が、黄昏を待たないで、やってくる恋の調べのように、王子様は、馬を降りて、私たちのもとへやってきた、手には剣ではなく贈り物、そう大理石の置物、すまし熊の蜂調べ。
受け取ったあの子が、頬を染めて、歯を見せた、何て華やかな瞳、こぼれる白い歯が、愛を感じた、染まる唇は、ありがとうと動く。
囲んであげるわ。
王子様、あなたが望むなら、雨が降ってきても、守護してあげる、私たちは運命の天使、エッチが好きで、少し気難しいけどキスしてほしいならしてあげる。
花摘みに飽きたから、この憧れを胸にあなたに寄り添う、たとえ、運命が私たちとあなたを引き裂いても、あなたの優しい微笑が、キャンディーのように、蕩ける、仕草に恋をして、私たちの腕をとって、そしたら、素敵な夜が来るからね。
城に連れて行って、踊りましょう。誰よりも輝くから、私たちの乳房を感じてね。とても柔らかくて、触りたいのなら、誓ってほしいの。
月の晩にテラスに出たら、囁いて、あなたの愛の言葉が訊きたいから。
言葉を溶かして、私たちの心を溶かして、お菓子なんていらないから、甘い口づけをください。
クリームになって、あなたと一つになりたい、私たちの愛の体は、火照る、あなたの眼を見つめただけで。
真実の愛ではなくて、口説いてください。
王子様、あなたの好きな言葉は?
「愛しています」
「そう、ありがとう」
返事をしたから連れ去って、待てないの。私たちは刹那の乙女、愛の天使だから。
でもね、あなたはまだ幼いわ。
私の手をとりたいなら、強引に奪って、神様の眼の届かない世界で、抱きしめてください。

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