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ワイルドプーマ

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青いドレス、踊る口づけ、忙しなく動くその瞳はまるで宝石、ダイアモンド結晶。
粒のようなつぶらな瞳が、リスを狙うまるで荒野のプーマ。
ナイフに口づけ、なぞる指は、そっと唇に灯る、グロスは真っ赤な血のような跡、滴る肉に食らいつくあなたは肉食の女、高貴なる獣、まるで殺し屋のような目つきで、忍び寄るそっと足を忍ばせて、僕の背後に立った、首を傾げて、首筋にかみつく、貴女の歯は鋭い媚薬、塗り込まれた愛の血液は、沸騰する肉欲に悶える、可憐な花、そうまるでワイルドフラワー、信じるままに、抱きしめて、君はサディスト、あるいはマゾヒスト。
ソドムの夜に、夜道に光る車のヘッドライト、照らし出される君の存在が、かけがえのないものに感じられて、キスを拒むそぶりを見せたそのすきに僕はあなたの背後を取って、リスのような前歯で、かみついた、してやったり、貴女から吐息が漏れた。
ああ、何たる狂おしい声。
嗚呼、なんて可憐なその指使い、
僕は狂ったナイフで君を引き裂きたい。
それほどに高まる心が、うなりをあげて、振り下ろした接吻が、君の胸元に刺さって、悲鳴が上がる。
君の鼻息が、僕の鼻先に当たって、このまま崩れていこうか、あるいは、このまま殺してしまおうか。
いずれにせよ、あなたは僕の奴隷。
キスでもハグでも、夜風が忍び寄る貴女わきの下に、汗ばむまるでベルガモットの香りが、してくる、それから転がっていく、君は嫌がる、僕は襲い続ける。
そして、夜明けまでした後に、僕は三十回くらい果てて、熱情のまま、君を奪い去り、川に沈めて、また君を求める。
ああ、なんて狂おしい感情か。
これほど好きな君を抱きしめて殺してしまった、朝日は憎んでいる。
でも僕に後悔はない。
ただ君への憧れが、募って犯したこの罪を償うことはできないなら、いっそ僕は君の後を追って川に沈んで、首から血を流し、赤く染まる川を泳いで、君のもとへ行きたい。
さあ、おいで。
ワイルドプーマ。
君となら一緒に溺れて血の海にたどり着いても、後悔はない。
僕は詩人。カブラギレイジは、殺人の情心、自殺を図る真のデカダンそして、君は本当の獣。
愛しているでは収まらない。
君を殺して何度も殺して、それでも愛してくれるなら、いっそ、きみのために死のう。
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