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ユーレイ

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幽玄な月に浮かんだ、心の軋みが、ためらいの朝へ向かう、ここはひとりきりの部屋。
撃ち続けるビートのキスが、まだ、たどり着けない、服を切って、脱いでいくまるで、暗闇を救うように。
私の髪をすくって。
そしたら、抜けていく一本一本の苦しみが、吐き続ける魂の音に、
破裂する心臓の鼓動に乗っかっていくまるで、あなたの体に乗るように。
映る愛が映り込む欲望の嘆息が、願いを塗りつぶしていく黒い意識にまどろんだつぶる、つぶりたくないから、今夜、私は、眠らない。
長い日々に、繰り広げられる、孤独の眠りが、眠りたいあなたの腕に抱かれて。
憧れだけが、私を救う。
憧れの思い出の居場所は、もうないから、この夜に震えたくない。
膝を抱えて、抱きしめてほしい、体が、砕けるほどに、
私の腕が折れるまで、つないでいて、離れることが、苦しいの、そうではなくて、離れることは離さない。
放つあなたの光り、咆哮のバレッド
あなたは、光の青年。
私は、暗がりに住むユーレイ。
だから、出会ったことが、素敵なことね。
呪い殺すなんて言わないから、呪い殺してむしろ、無視しないで、はだけてほしい、裸にしてほしい、私の心を。
連れて行ってほしくないの
欲しいのは、私の影、光を食らう夜に、もう朝が来るから、眩しい瞼を開きたくない。
生きていくということが、生きていくという希望は、逆説の静寂に、救い上げて、絶望に唇を寄せて、そしたら、希望は、あの夜、索漠の音を越えて、錯綜に静寂に沈んで、倒錯の意識が、ぶれることのない指に、躊躇うように、ストロボたいたら、映らないわ、私は、幽霊、そして、ユーレイ、幽玄の希望に寄せるラブレターは、何も書かれていない、から、この歌を聴かないで、独りで行きたい、もう朝が来たから、行くね。
カーテンを開けて、だから、純粋な瞼を開いて、あなたの寝顔が、素敵だから、救うなんて言わないで、救われたくないから、詩と共に、結ぶ言葉は、何もない。
ありがとうの言葉が、むなしく私は、信じてる
私は呪ったから、もう行くね、引き止めてくれないの
引き止める糸は、紡がれる、風が来たから、乗りたい。
あなたに乗って、音楽はもう消して、
心の火を消して、そしたら、音楽の後に、キスしてあげる。
見つめてほしい、見つけてほしかった。
でも、今、こうして、生きられるなら。
もう行くから、
躊躇わないで、むしろ私を奪うように、殺して、
生き続けたいなら、私を離して、
情念が、引き絞れる弓なりになって、跳ね上がる、体に寄せて、孤独を寄せて、
そしたら、私とあなたは一つを越えていく。
体より早く自由よりもしなやかな私の肢体を愛して。
でも、私はもういないのよ、この部屋を出たら、太陽よりもあなたの瞳に帰りたい。
最後に言うわ、
もう行くね。
引き止めてくれないの?
もう行くっていうから、手を放して、離さないなら、光が漏れて、目を細める、
ああ、純粋な声が、ひしめいているここから行くの生きるから、祈る前に、私を抱き、放して。
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