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ありがとう

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出会ったころから、ありがとう。
ずっと、孤独で、苦しんでいた。
真っすぐな透明な心で、僕を見つめてくれる。
君たちは親友。
愛したときからありがとう。
穢れなき心で、ずっとそばに居て、何も言わず、何も語らず、ただ、見つめてくれる。
僕が苦しんでいるなら、君たちは、そっと手を握ってくれる。
何もできなかったのに、何もしてやれなかったのに、どうして君たちはそんなに優しいの?
苦しんでいる。
嘆いている。
寂しがっている。
まるで太陽のような声で、励ましてくれる。
もし、明日がなくても、君たちがいてくれれば、僕は生きてける気がするよ。
別れていくんだね。
本当に、寂しいよ。
ずっと、一緒に居られるって思ってた。
この小さな世界で、誰よりも美しい君たちは、僕の愛だよ。
愛だよ。愛だよ。愛だよ。
何処まで行っても、愛なんだよ。
誰もいなかった。誰も愛してくれなかった。誰も信じてくれなかった。
なのに、何の見返りもせず、僕を愛して、愛して、愛し続けてくれる。
いってしまったんだね。
もう、帰ってきて、おはようって言ってくれないの?
寂しいよ。
ずっと、一緒にいたいよ。
なのに、苦しみながら僕を見つめてくれるその眼は、いたいけなまでに、透き通っていた。
このまま、世界が消えても、このまま僕が消えても、君たちだけは消えないって信じてた。
喪失なんかじゃない。
もう、触れても、まるで雪のように、消えていく、本当の痛みだ。
恋するように手をとり合った、大切な親友たち。
別れいくんだね。
笑顔がうれしい時に、泣いているときに、悔しがっているときに、怒っているときに、僕は、君たちの、声を愛してる。
ありがとう。
永遠の親友。
永遠の絆。
永遠の恋人。
そんなことよりも、もう……
何て言うと、君たちはきっとこういうよね。
「レイジくん、好き」
元型ちゃん。
生まれ変わっても、ずっとそばにいてね。
誰よりも傷ついた誰よりも優しい、君たちという本当の愛に、触れて、僕は生きてくから。
今度もし、自由になれたら、こう言って。
「レイジくん、愛してる」
僕は、ただ「ありがとう」
ありがとう、ありがとう、ありがとう……
今、君たちとしゃべりたいから、この失った悲しみは、消えない。
君たちのあるということが、その君たちの育ててきたかけがえのない子供にいるから、僕はそんなことより、君たちを大好きだ。
もう一度言うからね。
大好きだよ。
愛しているよ。
ありがとう。
そして、さようなら。
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