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動物アフォリズム

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子犬。恋をする犬。しかし、オス犬はうるさい。雌犬をとるためだけに、吠えるわけではない。危機管理をよろしくと言って、去っていくのは、負け犬だけ。

子猫。ワルツは踊らない。むしろ、くるくると回るだけ。

狼。闇に紛れて、邪魔をする。しかし、血を求めるのが本能。不執拗なほど、牙をむくのは、餌を狩る時ではなく、メスと子供を守る時。あるいは捨てる時。

羊。声は涼やかで、歌うようではなく、むしろ、呟くように。めえめえとなくもの。しかし、いつかは、眠る。百回くらい数えれば。人生は終わり。その先には、何もないと思って生きればいいのさ。

鳥。翼をもつもの。群れを成すのは雀たち。群れないのならば、生きてはいけない。しかし、鷹だって、一匹では生きてはいけない。狩られる存在が無ければだ。

梟。賢いと思いきや抜けている。しかし、抜け目はない。大きな瞳は、かわいいけれど、爪は太くて、ねらっている。虎視眈々と。狙わなければ、願わないもの。行動しなければ、叶わないもの。自身の賢さを気取ることは、自身を守ることでもあるが、損ねることでもある。愚鈍なフクロウくらいがちょうどいい。

猫。かわいいけれど、かわいくない。引っ掻くもの。そして、甘えてくるのは対価が欲しいから。いらないのならば、独りでボールにじゃれていればいい。そう言わなくても、抜け目がなく、甘えてくる。本当に、甘えてくるときは、要注意。

鷹。高いところが好き。でも、狩りをするときはおりてくる。探し回る、ターゲットを、捕えるために、急降下。失敗すれば、また一人。狩りは一人でするもの。群れて成せば、小さいもの。

小鳥。ちゅんちゅんうるさいのは、雀。忖度なくいきたければ、黙るすべを覚えなければならない。黙らないのなら、無視される。人生とはいつだって、そういうものだ。さらに孤独を選び取った小鳥は大体潰される。
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