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出会い お互いの私生活

episode9 ふたりの世界が真逆でも‥

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家に残ったお嬢様は
彼の乗った車が門から離れるのを
窓から見送る。

持病がある私は
在宅授業を認めてもらっており
PCで授業を受ける。
ダメなのかもしれないけど
2倍速にして聞いている。
これがなかなかお気に入り。
こうすれば通常の半分で授業が終わる。

残りの時間は好きにできる
自分の時間。

ふぅ‥
いつものように授業を終えて一息ついて
筆をとる。

唯一の楽しみ
絵を描く事。
最初は実母に褒められたこと
『お前、絵上手いな』
褒めてくれた男の子がいた事が
嬉しくて始めた。
描くのも好きだったし、
自分の部屋でできるので都合が良かった。

実母が亡くなった後は
絵の具など買ってもらにくくなって‥
鉛筆画をひたすら描いた。
絵を描いている間は寂しさも忘れられたけど
誰も見せる人もいないのも悲しくて
勇気を持ってSNSに投稿した。
初めは見てくれる人もいなくて
もう辞めようかな‥
って思っていたら
いいね
って反応をくれる人がいて。
『素敵な絵ですね。』
って初めてコメントを貰った時は
涙が出るほど嬉しかった。

段々といいね、コメントが増えてきて
少し有名になってきた頃
『うちの犬を描いて下さい』
って依頼がきた時は驚いた。
他にも
『どうぞ使って下さい』
と絵の具など道具を送って下さる方がいるなんて思いもしなかったけど
少しずつお小遣いを稼げるようになった。
コツコツ貯金した甲斐あって
なんとかお客様の部屋も模様替え
できたのだ。

(お母さんとあの子には感謝してる。
それにしても、絵を褒めてくれた子
誰だったんだろ‥)
ふとそんな事を思った。

PM 4:00
絵を一旦中断して
洗濯を取り入れる。
夕食、シャワーを済ませ
宿題などして就寝。
これが今までの彼女のルーティン。

PM 6:00
(そろそろ景吾さん帰ってくるかな)
窓から見ていると門を通る車が見える。
お迎えにいったけど‥
帰ってきたのは運転手だけだった。
運転手曰く
「帰る途中、街で降ろしてほしいと。
お待ちしていると申し上げたのですが
帰りはタクシーで帰ると仰いまして。」
という。
「そう‥ありがとう。」
申し訳なさそうにする運転手さんに
気にしないでと伝えた。


ーーんっ。あん!
気持ちいい‥

暗がりの部屋に響く甘ったるい声‥
体のどこをどう触ってやれば
声を上げるのかはもう知っている。
ーーけいご‥イかせて?
望み通りに突き上げやる。
果てた女を見て思う‥
どこにでもいる女。
相性もこれといって普通だった。

ーー2時間前
呼べば良い女が参加すると
思われているのか‥
合コンは必ず呼ばれる。
人の集まる場所は好きなので苦ではない。
「ねぇー景吾?ホテル行くでしょ?」
濃い化粧に
パーマをかけた髪
グロスの塗られた唇
今日の席で1番よく目立っていた女‥
腕を組みながら聞いてきた。
基本、誘われれば断らないので
今日もよろしくしたわけだが‥
ーーねぇ。聞いてる?
女の声で現実に戻る。
「泊まって帰る?」
「今日はやめておく。」

こういう女は嫌いじゃないが今日はなぜか‥
『いってらっしゃい』
と自分を見送った女が頭をよぎった。

タクシーを捕まえる。
時刻は22時を回っていた。
20分程走ると
馬鹿でかい東雲邸がみえてきた。

門をくぐる。
出迎えは要らないと伝えていたので
そのまま自室に向かう。

ドアを開けようとして
サイドテーブルが目に留まった。
上には珈琲とパンが
ちょこんと乗っている。

(朝はサイドテーブルなんかなかったのに‥)

おかえりなさい
言われている気がした‥


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