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誰か私を倒してください
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全力で生きた代償は、やはりと言うべきか自由のない仕事に追われる社畜も真っ青の労働でした。
統一した国の治世、滅ぼした訳ではないため各国の上との調整。人種の違いによる常識の齟齬の洗い出しに擦り合わせ。
挙げれば切りがないが、幸いにも略奪の類いは一度も起こっていない。まぁ、魔将四柱に徹底させたから、死にたがりも現れないだろう。
笑えるだろう。四天王的人材が部下にいるこのテンプレ。でも状況で見ると割りと理に叶った数なのだ。各国に囲まれていたお国柄、各方面軍を指揮する司令官に、首都を守護する軍団長。
魔族は、力が強ければ知能も比例して高くなる傾向がある。将兼文官として戦時以外も高い能力を発揮してくれている。一部例外はいるが。
それはそれとして、結果として侵略国家となったのだ。反乱と言う芽は今も芽生え続けていると思って良いだろう。力で押さえるのは簡単だが、そんなものは解決にならないし、俺がいつまでたっても休めない。
だから、対応策を考えた。この時ばかりはこの廃スペックに感謝したものだ。
《世界一戦技大会》
国の上層部を解体せずに、旧国領の統治をそのまま任せている。それを国ではなく領土として扱い、各領地の代表者を選出してトーナメントを行う。
それによって決定した勝者の領主が次代の代表者を襲名すると言うもの。つまり王の交代である。
支配からの脱却、新たな支配者への道。数多の国を相手にしながら、真っ向から打ち破った魔族軍を相手にするより、競技として、たった一人がたどり着けば良い。さらには死者が出ないクリーンな代理戦争は各国も望むところとなった。これで数年もすれば強制的に隠居できるだろう。
腕に覚えがある者、山に隠っていた強者、名声を望む者、ありとあらゆる者が集うそれは、まさに祭典。武闘の聖地へと変貌し、数年の周期で開催され、年々規模が拡大していき、その開催地である魔族の首都は開催準備で忙殺された。
おかしい、俺がなぜ目を回すほど忙しくしなければならないのか。
「魔王様、これが今大会の出場者リストです。」
「そこに置いておけ。後で目を通す。」
失念していたのだ。俺が手加減できないと言うことと。
「今年は昨年以上に豊作ですぞ。魔王様のお眼鏡に叶う者も現れましょう!」
この国一番の強者が自分であることを。
「最近では魔王様を相手に立ち向かった時間を競う賭け事まで始まりましたからな。」
予定では一二年で勇者が颯爽と現れてめでたしめでたしになる筈だったのだが、手加減できないから追い詰めて秘められた力を解放させるイベントなどないし、そもそも俺に匹敵する才を持つ人間がいないのだ。
最初こそ魔王一人勝ちの構図が気に入らずに、国々の裏で画策とか見え隠れしていたのだが、生産性が向上し飢餓がなくなり、治安が見るからに良くなってからはそれも立ち消えておこぼれに預かろうと歓迎ムード。
「勇者はまだか……」
一番勇者の登場を望んでいるのが魔王と言うのはどうなのだ?
統一した国の治世、滅ぼした訳ではないため各国の上との調整。人種の違いによる常識の齟齬の洗い出しに擦り合わせ。
挙げれば切りがないが、幸いにも略奪の類いは一度も起こっていない。まぁ、魔将四柱に徹底させたから、死にたがりも現れないだろう。
笑えるだろう。四天王的人材が部下にいるこのテンプレ。でも状況で見ると割りと理に叶った数なのだ。各国に囲まれていたお国柄、各方面軍を指揮する司令官に、首都を守護する軍団長。
魔族は、力が強ければ知能も比例して高くなる傾向がある。将兼文官として戦時以外も高い能力を発揮してくれている。一部例外はいるが。
それはそれとして、結果として侵略国家となったのだ。反乱と言う芽は今も芽生え続けていると思って良いだろう。力で押さえるのは簡単だが、そんなものは解決にならないし、俺がいつまでたっても休めない。
だから、対応策を考えた。この時ばかりはこの廃スペックに感謝したものだ。
《世界一戦技大会》
国の上層部を解体せずに、旧国領の統治をそのまま任せている。それを国ではなく領土として扱い、各領地の代表者を選出してトーナメントを行う。
それによって決定した勝者の領主が次代の代表者を襲名すると言うもの。つまり王の交代である。
支配からの脱却、新たな支配者への道。数多の国を相手にしながら、真っ向から打ち破った魔族軍を相手にするより、競技として、たった一人がたどり着けば良い。さらには死者が出ないクリーンな代理戦争は各国も望むところとなった。これで数年もすれば強制的に隠居できるだろう。
腕に覚えがある者、山に隠っていた強者、名声を望む者、ありとあらゆる者が集うそれは、まさに祭典。武闘の聖地へと変貌し、数年の周期で開催され、年々規模が拡大していき、その開催地である魔族の首都は開催準備で忙殺された。
おかしい、俺がなぜ目を回すほど忙しくしなければならないのか。
「魔王様、これが今大会の出場者リストです。」
「そこに置いておけ。後で目を通す。」
失念していたのだ。俺が手加減できないと言うことと。
「今年は昨年以上に豊作ですぞ。魔王様のお眼鏡に叶う者も現れましょう!」
この国一番の強者が自分であることを。
「最近では魔王様を相手に立ち向かった時間を競う賭け事まで始まりましたからな。」
予定では一二年で勇者が颯爽と現れてめでたしめでたしになる筈だったのだが、手加減できないから追い詰めて秘められた力を解放させるイベントなどないし、そもそも俺に匹敵する才を持つ人間がいないのだ。
最初こそ魔王一人勝ちの構図が気に入らずに、国々の裏で画策とか見え隠れしていたのだが、生産性が向上し飢餓がなくなり、治安が見るからに良くなってからはそれも立ち消えておこぼれに預かろうと歓迎ムード。
「勇者はまだか……」
一番勇者の登場を望んでいるのが魔王と言うのはどうなのだ?
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‥‥えらい遠そうではありますが(苦笑)。