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悪役令嬢、暴露される
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「殿下、お待たせしました。セセリアさん
の作ったシフォンケーキ、どうぞお召し上
りください。」
アリーナは、シフォンケーキの乗った皿に
フォークを添えるとカイン殿下に差し出し
た。
「いや、セセリアがお茶を持って来るまで
待つよ。」
アリーナから受け取った皿をテーブルに置
きながら、カイン殿下は扉の方を見た。
「セセリアさんならすぐに来ますわ。どう
ぞ焼きたてを召し上がってください。さぁ
あたたかいうちに。」
一秒でも早く食べさせたいアリーナは、半
ば強引にシフォンケーキを食べるように勧
めた。
「………」
カイン殿下はしばらくシフォンケーキを見
つめていたが、何かを確信したように皿を
つき返した。
「…殿下?どうかしました?」
「これはセセリアの作ったシフォンケーキ
じゃない。」
「…え?なにをおっしゃってるんですか?
セセリアさんの作ったケーキですよ?」
図星を指され、アリーナはあわてて取り繕
った。
「いや、僕にはわかる。香りも膨らみ方も
違う。」
どういうこと…?
ちゃんと教えられた通りに作ったのよ?
…まさかあの子、いつもと違う作り方を私
に教えたんじゃ…。
そうだとしても、これを食べてもらわない
と困るわ。
「私が少しお手伝いしたからかもしれませ
んわ。でもセセリアさんの作ったケーキで
すわよ。どうか召し上がってください。」
そう言ってアリーナが皿を再び殿下の前に
置いたその時、勢いよく扉が開いた。
「あ、あの!ちょっとお待ちください!」
息を弾ませながら部屋に入ると、私はテー
ブルの上のシフォンケーキに目をやった。
ま、間に合った!
殿下はまだケーキに口をつけてない!
「セセリア、どうしたの?」
「殿下、すみません。実は…」
私が言いかけると、それを遮るようにアリ
ーナが口を挟んだ。
「ああ、ちょうど良かったわ。殿下がこの
シフォンケーキはセセリアさんの作ったも
のじゃないっておっしゃるのよ。そんなこ
とないわよね?あなたが作ったのよね?」
アリーナの目は「はい」と頷けと言ってい
たが、私は首を横に振った。
「いいえ、そのシフォンケーキを作ったの
は私じゃありません。」
「あ、あなた、どういうつもり!?自分が
なにを言っているかわかってるの!?」
「ごめんなさい。私やっぱり協力できませ
ん。あなたに殿下は譲れない。殿下が好き
だから。」
アリーナは焦りと怒りで表情を歪ませてい
たが、私は怯むことなく自分の気持ちを吐
き出した。
「…セセリア、どういうことなの?」
「殿下、私…」
「で、殿下!聞いて下さい!この人はセセ
リアじゃありません!だって本当のセセリ
アはアンセル殿下が好きなんだから!」
計画を台無しにされたアリーナは、怒りに
任せて私の隠していたことを暴露した。
ああ…言われてしまった。
自分がセセリアじゃないこと、本物のセセ
リアがアンセル殿下を好きな事、どっちも
カイン殿下には知られたくなかったよ。
でも約束を破ったのは私なんだから、仕方
ないよね…。
そう思いながら、恐る恐る殿下の顔を見る
と、その目はいつものように優しく微笑ん
でいた。
の作ったシフォンケーキ、どうぞお召し上
りください。」
アリーナは、シフォンケーキの乗った皿に
フォークを添えるとカイン殿下に差し出し
た。
「いや、セセリアがお茶を持って来るまで
待つよ。」
アリーナから受け取った皿をテーブルに置
きながら、カイン殿下は扉の方を見た。
「セセリアさんならすぐに来ますわ。どう
ぞ焼きたてを召し上がってください。さぁ
あたたかいうちに。」
一秒でも早く食べさせたいアリーナは、半
ば強引にシフォンケーキを食べるように勧
めた。
「………」
カイン殿下はしばらくシフォンケーキを見
つめていたが、何かを確信したように皿を
つき返した。
「…殿下?どうかしました?」
「これはセセリアの作ったシフォンケーキ
じゃない。」
「…え?なにをおっしゃってるんですか?
セセリアさんの作ったケーキですよ?」
図星を指され、アリーナはあわてて取り繕
った。
「いや、僕にはわかる。香りも膨らみ方も
違う。」
どういうこと…?
ちゃんと教えられた通りに作ったのよ?
…まさかあの子、いつもと違う作り方を私
に教えたんじゃ…。
そうだとしても、これを食べてもらわない
と困るわ。
「私が少しお手伝いしたからかもしれませ
んわ。でもセセリアさんの作ったケーキで
すわよ。どうか召し上がってください。」
そう言ってアリーナが皿を再び殿下の前に
置いたその時、勢いよく扉が開いた。
「あ、あの!ちょっとお待ちください!」
息を弾ませながら部屋に入ると、私はテー
ブルの上のシフォンケーキに目をやった。
ま、間に合った!
殿下はまだケーキに口をつけてない!
「セセリア、どうしたの?」
「殿下、すみません。実は…」
私が言いかけると、それを遮るようにアリ
ーナが口を挟んだ。
「ああ、ちょうど良かったわ。殿下がこの
シフォンケーキはセセリアさんの作ったも
のじゃないっておっしゃるのよ。そんなこ
とないわよね?あなたが作ったのよね?」
アリーナの目は「はい」と頷けと言ってい
たが、私は首を横に振った。
「いいえ、そのシフォンケーキを作ったの
は私じゃありません。」
「あ、あなた、どういうつもり!?自分が
なにを言っているかわかってるの!?」
「ごめんなさい。私やっぱり協力できませ
ん。あなたに殿下は譲れない。殿下が好き
だから。」
アリーナは焦りと怒りで表情を歪ませてい
たが、私は怯むことなく自分の気持ちを吐
き出した。
「…セセリア、どういうことなの?」
「殿下、私…」
「で、殿下!聞いて下さい!この人はセセ
リアじゃありません!だって本当のセセリ
アはアンセル殿下が好きなんだから!」
計画を台無しにされたアリーナは、怒りに
任せて私の隠していたことを暴露した。
ああ…言われてしまった。
自分がセセリアじゃないこと、本物のセセ
リアがアンセル殿下を好きな事、どっちも
カイン殿下には知られたくなかったよ。
でも約束を破ったのは私なんだから、仕方
ないよね…。
そう思いながら、恐る恐る殿下の顔を見る
と、その目はいつものように優しく微笑ん
でいた。
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