勇者ライフ!

わかばひいらぎ

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日常編(単発)

とある日のマルセルの一日

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 ある日の朝。
「マルセルちゃん。起きてる?」
「ん~……起きてるぅ……」
「今日ね、マルセラちゃんのピアノの発表会に行ってくるわ。あとね、家を改修工事するから一日外で遊んできてちょうだい。お金はカードに入れて置いたから好きなだけ使っていいわよ」
「ん~……わかったぁ……」
 こうして、マルセルの長い一日が始まった。

~午前九時頃~

 マルセルは家を出て、とりあえずフーリの家によることにした。仲のいいフーリとなら一日中遊び回れるからだ。電車を乗り継ぎフーリの住む武器屋に来る。中に入るといつも通りフーリの従姉妹のレヴェルが居た。ここは彼女の店で二階にフーリが居候しているのだ。
「す、すみませ~ん」
「おお!マルセルくんだー!今日も可愛いね~」
 レヴェルは今日もマルセルにデレデレだ。こんなもの慣れっこなのだが、マルセルは若干引いている。
「あのっ、フーリは?」
「フーリ?ごめんね。あいつ今日はマフィアの内部に侵入して仲良くなってから全員逮捕するって言って出掛けちゃったわよ」
「そんな……」
「でも、お姉さんがたっぷり遊んで……」
「お、お邪魔しましたー!」
 残念ながら、フーリは留守だった。さて、次の行く宛は……。

~午前十時頃~

 しばらく歩き、勇者団本部に着いた。そして、いつもの様にリーダー室へと向かう。マルセルは何気にリーダーと仲がいいのでここで時間を潰そうと考えたのだ。
「おじゃま~」
「あれ、マルセルさん」
 そこには、机に向かって書類仕事をしている秘書さんがいた。
「あれ?リーダーは?」
「ああ、ならただいま″全国逆立ち選手権″に勝手に出場してやがりますよ。マルセルさん、リーダーに何か用が?」
「あ、それほどのものじゃないんだ。それじゃ」
 どうやら謎の大会に出場していて留守なようだ。それに、秘書さんも仕事で忙しそうなので邪魔することは出来なそうだ。

~正午頃~

 マルセルは駅に戻る途中、レストランに寄った。そこでたまたま鈴木俊明さんと会ったが、別にそんなに仲良くないので話し相手にはならなかった。

~午後二時頃~

 電車に乗り六駅ほど行くとクライブの住むカール町に入る。魔王を倒した国民的英雄カールの出身地で、その子孫であるクライブもここに住んでいるのだ。彼の家は代々続く名門らしく荘厳な見た目だが、一部の建物は近代的なものに建て替えられている。そして、クライブはこの時間だとだいたい稽古場にいるはずだ。
「あ、クライブだ!おひさ!」
「おひさって、昨日会ったばっかりだろ。で、何の用だ」
「暇だからなんかしよ~」
「いや、俺は稽古中で忙しいんだが」
「そんなぁ……」
 マルセルは露骨に寂しそうな顔をする。左右の指をつんつんとくっつけながら下を向いた。
「……はいはい、分かった分かった。じゃあ俺の稽古に付き合ってくれ。そうすれば時間潰しにもなるだろ?」
「いいよー!やるー!」
 クライブの稽古場は最新鋭の技術を取り入れており、動くまとに草原や砂漠などを巧みに再現出来るようになっている。ちなみに工費は6億FDフリード(日本円にして60億)かかったという。本当にリッチな奴だ。
「じゃあとりあえず、俺に向かって火炎魔法を頼む。火に対する対策を立てたいからな」
「分かった!フルパワーで行くぞ!」
「おい待て!お前のフルパワーは……」
 マルセルは、彼の出せる最大の火力で炎を放ち、クライブどころか部屋中を包んだ。
「ごほっ……マルセル、てめぇ……」
 危機一髪直撃を逃れたクライブが立ち上がって言った。元々部屋は簡単には傷つかない素材で覆われており、魔物を模した的もあったのだが、それらが全て焼きただれ焦げつき、柱の中身も剥き出しになっている。つまり、部屋の中が一瞬にして廃墟と化したのだ。
「あ、あははは……」
「お前……弁償して帰れ!」
 こうして、100億FD(マルセルのお小遣いからすればほんの少し)を支払い、怒ったクライブに家を追い出されてしまった。

~午後五時頃~

 地元の駅に戻り、帰路についた。今日は、あまりついていない日だったと思う。とぼとぼと歩く姿を夕日が照らし、より哀愁漂う感じになっている。
「お、マルセルじゃん。帰り?」
 と、突然誰かが話しかけてきた。が、マルセルにはその誰かが直ぐに誰か分かった。
「フーリ……!」
「ぐわっ!おいお前、急に抱きついてくんなよ」
 思わずフーリに飛びついてしまった。寂しい時親しい人に会うと抱きつく癖は昔からで、このせいで小学校の時のあだ名は″ネコ科動物″だった。
「フーリも帰り?」
「うん。マフィアは全員逮捕できたし、このまま帰るつもりだけど、送っていこうか?」
「ほんとに?ありがとう!」
 こうして、マルセルはフーリと共に帰路についた。最後の最後に今日はついていると思ったマルセルなのであった。
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