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日常編(単発)
文化祭の思い出【前編】
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ある日、クライブとフーリが散歩をしていると人並みに遭遇した。
「何これ?葬儀でもあんの?」
「違うだろ。ほら、あそこ見てみろよ。文化祭って書いてあるだろ」
「ほんとだ。そっか~文化祭か~。僕も思い出があるんだよね」
「なんだよ言いたいのか?」
「うん。とりあえずこの学校の文化祭でも回りながら話すとしますか!」
あの日……今から3075日前。僕と友達のリアンで校内を巡っていた。
「ねえフーリ、そろそろ教室に戻ろ。早くしないとシフト回ってきちゃうよ」
「知るか!なんでうちのクラス出し物が住職ごっこなんだよ。僕木魚なんて叩きたくないぞ」
「まぁそれはそうだけどさ……一応シフト入ってるんだしさ。あと十分くらいで時間だよ」
「そんなものよりフランクフルトだろ。あ、マスターソース増し増しで」
「あー、そんなもの買って!ほら早く行くよ!」
こうして僕は襟を引っ張られながら校舎に引きずり込まれる。
「ぎゃーヤダヤダ!まだ僕遊びたーい!」
「わがまま言わないでよ……。明日だってあるんだし我慢して」
「やだね。そんな事より僕を解放しろ!さも無いとこのマスターソースをお前のワイシャツに付ける」
「えー止めてよ!」
この脅しが効いたのか、リアンの手は襟から離れた。その隙に僕は近くにある出し物クラスにかけよる寄った。
「へ~お化け屋敷か。ねぇリアン、寄っていい?」
「ちょっと待ってて。……すみません、このお化け屋敷って何分くらいで出てこれますか?」
「だいたい……長くても五分、早い御方だと三分ぐらいですね」
「五分か……五分くらいならいいよ。行っておいで」
「は?お前も来るんだよリアン」
「僕も!?」
「早くしろ!時間ないんだろ!来いよオラ」
「何怒ってんの……。わかったわかった、行くから毛ずくろいするの止めて」
こうして行くことが決定すると教室のドアが開かれる。中は暗幕で仕切られていて赤い電気で薄暗く照らされている。
「わぁ~雰囲気が凄いね」
「なんだよリアン楽しんでんじゃん」
「せっかくやるからにはね」
中に入ると謎の臨場感に包まれている。
「それでは恐怖をお楽しみください」
と言われてドアが閉められる……が、
「あ、言い忘れていましたがこのお化け屋敷は迷路となっております。もしも迷路内の冥界に迷い込んでしまった場合最悪一生出てこれないのでご注意ください」
「えっ、ちょっと待って!」
リアンの声も虚しく扉は閉められた。
「……ええ……。冥界って……」
「作り込まれてて結構面白そうじゃん」
僕は怖気づかずにずんずんと進んでいく。
「くそ……なんでドア開かないんだよ。何全力でドア塞いでくれちゃってるの」
リアンもとうとう観念して僕に着いてきた。
お化け屋敷内は迷路とは言っても単純な作りで、それと教室の狭さも相まって簡単にルートを導き出せる。左手の法則を使うまでもない。
道中にお化け役の生徒が出てくるが全て僕の右フックで沈んだ。
そして、五分もかからず出口に着く。
「は~、やっと出れる」
「もう終わりかよ。もっと居ようぜ」
「ダメだよ。出口で立ち往生とか迷惑以外の何物でもないよ」
そして、リアンの手がドアノブに伸びたタイミングで……、
「おいリアン、これを見ろ」
僕が指さす方には、ダンボールに汚い字で「↓冥界↓」と書かれていて、矢印の指すとおり床にはポッカリと穴が空いている。
「よし、行くぞ」
「行かないよ!何考えてんの?」
「おら行くって言ったら行くんだよ」
「脅迫かよ」
「じゃあリアンが先に行っていいよ。おりゃ!」
「え」
リアンがリアクションをする余裕もなく僕の腕によって穴に落ちていった。
「よし、じゃあ僕も行くか」
こうして、僕も自ら穴に身を投げた。
「どう?クライブ」
「どうじゃねぇよ。お前昔からほんと最低だな」
「なんで?」
「自覚していないあたり本当にやばいなお前」
「そうかな~?あ、フランクフルト二本ください!一本はマスターソース増し増しで!」
こうして、フーリの学生時代の思い出話は後半戦に入るのであった。
「何これ?葬儀でもあんの?」
「違うだろ。ほら、あそこ見てみろよ。文化祭って書いてあるだろ」
「ほんとだ。そっか~文化祭か~。僕も思い出があるんだよね」
「なんだよ言いたいのか?」
「うん。とりあえずこの学校の文化祭でも回りながら話すとしますか!」
あの日……今から3075日前。僕と友達のリアンで校内を巡っていた。
「ねえフーリ、そろそろ教室に戻ろ。早くしないとシフト回ってきちゃうよ」
「知るか!なんでうちのクラス出し物が住職ごっこなんだよ。僕木魚なんて叩きたくないぞ」
「まぁそれはそうだけどさ……一応シフト入ってるんだしさ。あと十分くらいで時間だよ」
「そんなものよりフランクフルトだろ。あ、マスターソース増し増しで」
「あー、そんなもの買って!ほら早く行くよ!」
こうして僕は襟を引っ張られながら校舎に引きずり込まれる。
「ぎゃーヤダヤダ!まだ僕遊びたーい!」
「わがまま言わないでよ……。明日だってあるんだし我慢して」
「やだね。そんな事より僕を解放しろ!さも無いとこのマスターソースをお前のワイシャツに付ける」
「えー止めてよ!」
この脅しが効いたのか、リアンの手は襟から離れた。その隙に僕は近くにある出し物クラスにかけよる寄った。
「へ~お化け屋敷か。ねぇリアン、寄っていい?」
「ちょっと待ってて。……すみません、このお化け屋敷って何分くらいで出てこれますか?」
「だいたい……長くても五分、早い御方だと三分ぐらいですね」
「五分か……五分くらいならいいよ。行っておいで」
「は?お前も来るんだよリアン」
「僕も!?」
「早くしろ!時間ないんだろ!来いよオラ」
「何怒ってんの……。わかったわかった、行くから毛ずくろいするの止めて」
こうして行くことが決定すると教室のドアが開かれる。中は暗幕で仕切られていて赤い電気で薄暗く照らされている。
「わぁ~雰囲気が凄いね」
「なんだよリアン楽しんでんじゃん」
「せっかくやるからにはね」
中に入ると謎の臨場感に包まれている。
「それでは恐怖をお楽しみください」
と言われてドアが閉められる……が、
「あ、言い忘れていましたがこのお化け屋敷は迷路となっております。もしも迷路内の冥界に迷い込んでしまった場合最悪一生出てこれないのでご注意ください」
「えっ、ちょっと待って!」
リアンの声も虚しく扉は閉められた。
「……ええ……。冥界って……」
「作り込まれてて結構面白そうじゃん」
僕は怖気づかずにずんずんと進んでいく。
「くそ……なんでドア開かないんだよ。何全力でドア塞いでくれちゃってるの」
リアンもとうとう観念して僕に着いてきた。
お化け屋敷内は迷路とは言っても単純な作りで、それと教室の狭さも相まって簡単にルートを導き出せる。左手の法則を使うまでもない。
道中にお化け役の生徒が出てくるが全て僕の右フックで沈んだ。
そして、五分もかからず出口に着く。
「は~、やっと出れる」
「もう終わりかよ。もっと居ようぜ」
「ダメだよ。出口で立ち往生とか迷惑以外の何物でもないよ」
そして、リアンの手がドアノブに伸びたタイミングで……、
「おいリアン、これを見ろ」
僕が指さす方には、ダンボールに汚い字で「↓冥界↓」と書かれていて、矢印の指すとおり床にはポッカリと穴が空いている。
「よし、行くぞ」
「行かないよ!何考えてんの?」
「おら行くって言ったら行くんだよ」
「脅迫かよ」
「じゃあリアンが先に行っていいよ。おりゃ!」
「え」
リアンがリアクションをする余裕もなく僕の腕によって穴に落ちていった。
「よし、じゃあ僕も行くか」
こうして、僕も自ら穴に身を投げた。
「どう?クライブ」
「どうじゃねぇよ。お前昔からほんと最低だな」
「なんで?」
「自覚していないあたり本当にやばいなお前」
「そうかな~?あ、フランクフルト二本ください!一本はマスターソース増し増しで!」
こうして、フーリの学生時代の思い出話は後半戦に入るのであった。
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