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日常編(単発)
街のカレー屋さん
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ある日、三人はお昼をどこで食べるか街を彷徨っていた。しかし、どこの店も何故か定休日だ。
「なんでどこもやってないんだ?」
「近くで全国ペットボトルのキャップ外し選手権が開催されてるからみんなそれに出てるんだって」
「あ~なるほど、そんなものの為に俺らは空腹で苦しんでるわけか」
三人は駅通りを見限り、少し町の中心から外れた所に行った。しかし、ここも定休日の店が続く。
「え?なに?なんの試練?俺らなんか悪いことした?」
「多分僕らに選手権参加しろってことかな?」
「それだけは絶対に嫌だね」
「僕出たことあるけど魔法でキャップ溶かしちゃって失格になったよ」
「そりゃ災難だったな」
この会話中にも刻々と空腹が増すばかりで、一瞬餓死も受け入れそうになった。しかし、突然マルセルが足を止める。
「ん?マルセルどったの?」
「フーリ、なんかいい匂いがしない?」
「匂い?う~ん……おっ!こりゃカレーか?」
「だよねだよね!めっちゃカレー!」
「ほんとだな。もしかして何処かにカレー屋が?」
マルセルが匂いを嗅ぎ、その方向へとあっちこっちへ彷徨う。そして、ついにカレー屋らしき所へ着いた。そこは、黄色い看板の周りを同色のネオンが囲っており、なんだか子供っぽい文字のフォントと安っぽいフリーイラストが使われているなんとも言えない外観だ。その店名は……
「『カリー・ラララ』……なんだこの名前?ふざけてんのか?」
「別にふざけちゃねぇだろ。でもなんか絶妙に胡散臭いよな」
「まぁ背に腹はかえられないってことでカレー食べようよ。お腹すいたしね」
カリー・ラララのドアは錆びて開けようとする度にギイギイする。クライブは空腹のせいで少しイライラしているのでやや強引にドアを開けた。
「いらっしゃいまくり~」
空腹の三人を出迎えたのはカタコトの言葉を話す一人の店員だった。その店員は、アインよりも浅黒い肌の小太りのおじさんだが、ボロい椅子に座って新聞を読んでいる。しかし、黄色い派手なサンバの服を着ているのが気になって仕方がない。店内はお世辞にも清潔とは言えず、もし自分たちが衛生管理の人だったら即検挙にしたいレベルだ。
「えっと……カレー食べたいんですけどいいですよね?勿論」
「何食べるの?福神漬け?」
「なんでサブのアタッチメントを主食で食べるんだよ。普通にカレーでよろしくお願いします」
「いいよ。でもね、これとこれがある。どれいい?」
店員が指を指した紙には「辛いor甘い」と書かれている。
「じゃあ俺はこっち(辛い)で」
「僕も」
「僕は甘いので」
「隠し味は生ゴミと毒入り林檎どっちがよい?」
「隠し味なのに言うんだ」
「それって抜きにするっていう選択肢は……」
「勿論あるよ」
「じゃあそれで」
「……なんか見透かされたみたいで嫌だからどっちかにして」
「なんでそうなるんだよ!」
この後抜きにしてくれた。
粗方注文を聞いた店員は早速カレー作りに取り掛かる。奥の方に市販のカレールーのパッケージが見える以外には特におかしいところはないので安心だ。そして店員は予め下拵えをしてあった野菜を突っ込んだ後、鍋を掻き回し始めたが、何故かダンベルや腕立て伏せをしながらの調理だ。店員ははぁはぁ言いながら汗をダラダラ流している。
「あの……何をしてらっしゃるんですか?」
「え?だってあんた達頼んだの辛いカレーでしょ?だから辛く作る」
「辛いじゃなくて辛いのかよ。しかも辛いのは俺らじゃなくてお前なんだな」
「はぁはぁ……やる?dumbbell?」
「やんねぇよ!ってかダンベルの発音良すぎ」
この後も辛そうな顔をしながらカレーを作る。そして、辛いカレーができたところで次は甘いカレーを作り始める。野菜を鍋に入れるところまでは先程とさほど変わらないが、煮込み始めてから先程と打って変わって椅子に座りながらスマホで動画を見始めた。店員はそれを見て時々失笑している。
「あの、そろそろ混ぜたりしないと焦げちゃいません?」
「焦げるよ?」
「焦げるじゃねぇか!早く掻き回した方がいいんじゃ」
「この動画見終わるまで嫌だね……ふふっ……三十路OL……」
「あいつ……自分に甘いな」
「え?甘いってそういう事?」
この後もポテチを食べたりゲームに勤しんだりとことん自分に甘くしている。そして調理開始から三十分、ようやく出てきたカレーは泥みたいにドロドロで焦げ目が沢山ついている。辛いカレーに関してはもう冷め切っている。
「うわ~めっちゃ冷めてる」
「一日後のカレーみたいで美味しいかもよ?」
「んなわけあるか」
「チンする?」
「あ~お願いします」
謎にチンをしてもらうと、早速食事に入る。
「どう?辛いカレー」
「どうって……ただのカレー?」
「うん。なんの面白みもないクソみたいなカレーだな」
「そんな……酷いね。甘い方は?」
「焦げで苦いし実際ルーは辛いし最悪」
マルセルは頬を膨らませて怒っている。そして、その怒りからか魔法でカレーを見る影もなく焼却した。
「いいのかマルセル。お腹すいてるんだろ?」
「いいもん。満腹魔法でこの場を凌ぐもん」
「そんな便利な魔法あんなら最初から使ってくれよ」
フーリとクライブはただのカレーを完食したが、何となく満たされない感じだ。
「とりあえずご馳走様でした。お代の方は?」
「それぞれ10億FD(日本円にして約100億円)だよ。さぁ払うね」
「高ぇ!絶対商品とサービスに釣り合ってないくらい高ぇ!」
「マルセル払っておねが~い」
「やだ!僕こんなのに払いたくないよ!」
「後でチューしてあげるから」
「ほんと?じゃあ払ってあげる」
毎度のことだがこのくらいマルセルのお小遣いの足元にも及ばない金額なのだ。それにしても果たしてフーリとマルセルはどんな関係なのか。
こうして、店を後にした一行だが、なんだかんだであのカレー屋への悪口が止まらなかった。ちなみにこの後フーリはちゃんとチューしてあげたらしい。
「なんでどこもやってないんだ?」
「近くで全国ペットボトルのキャップ外し選手権が開催されてるからみんなそれに出てるんだって」
「あ~なるほど、そんなものの為に俺らは空腹で苦しんでるわけか」
三人は駅通りを見限り、少し町の中心から外れた所に行った。しかし、ここも定休日の店が続く。
「え?なに?なんの試練?俺らなんか悪いことした?」
「多分僕らに選手権参加しろってことかな?」
「それだけは絶対に嫌だね」
「僕出たことあるけど魔法でキャップ溶かしちゃって失格になったよ」
「そりゃ災難だったな」
この会話中にも刻々と空腹が増すばかりで、一瞬餓死も受け入れそうになった。しかし、突然マルセルが足を止める。
「ん?マルセルどったの?」
「フーリ、なんかいい匂いがしない?」
「匂い?う~ん……おっ!こりゃカレーか?」
「だよねだよね!めっちゃカレー!」
「ほんとだな。もしかして何処かにカレー屋が?」
マルセルが匂いを嗅ぎ、その方向へとあっちこっちへ彷徨う。そして、ついにカレー屋らしき所へ着いた。そこは、黄色い看板の周りを同色のネオンが囲っており、なんだか子供っぽい文字のフォントと安っぽいフリーイラストが使われているなんとも言えない外観だ。その店名は……
「『カリー・ラララ』……なんだこの名前?ふざけてんのか?」
「別にふざけちゃねぇだろ。でもなんか絶妙に胡散臭いよな」
「まぁ背に腹はかえられないってことでカレー食べようよ。お腹すいたしね」
カリー・ラララのドアは錆びて開けようとする度にギイギイする。クライブは空腹のせいで少しイライラしているのでやや強引にドアを開けた。
「いらっしゃいまくり~」
空腹の三人を出迎えたのはカタコトの言葉を話す一人の店員だった。その店員は、アインよりも浅黒い肌の小太りのおじさんだが、ボロい椅子に座って新聞を読んでいる。しかし、黄色い派手なサンバの服を着ているのが気になって仕方がない。店内はお世辞にも清潔とは言えず、もし自分たちが衛生管理の人だったら即検挙にしたいレベルだ。
「えっと……カレー食べたいんですけどいいですよね?勿論」
「何食べるの?福神漬け?」
「なんでサブのアタッチメントを主食で食べるんだよ。普通にカレーでよろしくお願いします」
「いいよ。でもね、これとこれがある。どれいい?」
店員が指を指した紙には「辛いor甘い」と書かれている。
「じゃあ俺はこっち(辛い)で」
「僕も」
「僕は甘いので」
「隠し味は生ゴミと毒入り林檎どっちがよい?」
「隠し味なのに言うんだ」
「それって抜きにするっていう選択肢は……」
「勿論あるよ」
「じゃあそれで」
「……なんか見透かされたみたいで嫌だからどっちかにして」
「なんでそうなるんだよ!」
この後抜きにしてくれた。
粗方注文を聞いた店員は早速カレー作りに取り掛かる。奥の方に市販のカレールーのパッケージが見える以外には特におかしいところはないので安心だ。そして店員は予め下拵えをしてあった野菜を突っ込んだ後、鍋を掻き回し始めたが、何故かダンベルや腕立て伏せをしながらの調理だ。店員ははぁはぁ言いながら汗をダラダラ流している。
「あの……何をしてらっしゃるんですか?」
「え?だってあんた達頼んだの辛いカレーでしょ?だから辛く作る」
「辛いじゃなくて辛いのかよ。しかも辛いのは俺らじゃなくてお前なんだな」
「はぁはぁ……やる?dumbbell?」
「やんねぇよ!ってかダンベルの発音良すぎ」
この後も辛そうな顔をしながらカレーを作る。そして、辛いカレーができたところで次は甘いカレーを作り始める。野菜を鍋に入れるところまでは先程とさほど変わらないが、煮込み始めてから先程と打って変わって椅子に座りながらスマホで動画を見始めた。店員はそれを見て時々失笑している。
「あの、そろそろ混ぜたりしないと焦げちゃいません?」
「焦げるよ?」
「焦げるじゃねぇか!早く掻き回した方がいいんじゃ」
「この動画見終わるまで嫌だね……ふふっ……三十路OL……」
「あいつ……自分に甘いな」
「え?甘いってそういう事?」
この後もポテチを食べたりゲームに勤しんだりとことん自分に甘くしている。そして調理開始から三十分、ようやく出てきたカレーは泥みたいにドロドロで焦げ目が沢山ついている。辛いカレーに関してはもう冷め切っている。
「うわ~めっちゃ冷めてる」
「一日後のカレーみたいで美味しいかもよ?」
「んなわけあるか」
「チンする?」
「あ~お願いします」
謎にチンをしてもらうと、早速食事に入る。
「どう?辛いカレー」
「どうって……ただのカレー?」
「うん。なんの面白みもないクソみたいなカレーだな」
「そんな……酷いね。甘い方は?」
「焦げで苦いし実際ルーは辛いし最悪」
マルセルは頬を膨らませて怒っている。そして、その怒りからか魔法でカレーを見る影もなく焼却した。
「いいのかマルセル。お腹すいてるんだろ?」
「いいもん。満腹魔法でこの場を凌ぐもん」
「そんな便利な魔法あんなら最初から使ってくれよ」
フーリとクライブはただのカレーを完食したが、何となく満たされない感じだ。
「とりあえずご馳走様でした。お代の方は?」
「それぞれ10億FD(日本円にして約100億円)だよ。さぁ払うね」
「高ぇ!絶対商品とサービスに釣り合ってないくらい高ぇ!」
「マルセル払っておねが~い」
「やだ!僕こんなのに払いたくないよ!」
「後でチューしてあげるから」
「ほんと?じゃあ払ってあげる」
毎度のことだがこのくらいマルセルのお小遣いの足元にも及ばない金額なのだ。それにしても果たしてフーリとマルセルはどんな関係なのか。
こうして、店を後にした一行だが、なんだかんだであのカレー屋への悪口が止まらなかった。ちなみにこの後フーリはちゃんとチューしてあげたらしい。
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