勇者ライフ！

日常編(単発)

思い出

　九年前。まだフーリが高校生の時に初めて大遅刻の危機にあった話である。
「ねぇリアン！フーリはまだ来ないの？」
「うわあああヒナタ落ち着いて！お願いだから胸ぐら掴んで揺らさないでー脳が揺れる～」
「一限目まであと五分よ！何かあったのかな……。もしかして事故にあったとか！？いやあああ！」
「いやあああ！連続腹パンはもっと止めてー！」
　リアンが謎の暴力でボロボロになった時、後ろからパリンとガラスの音が割れる音がした。なんとそこには、何気ない顔でネクタイを直しているフーリがいる。
「ふぅ……。ギリギリセーフ……」
「ギリギリセーフじゃないよ！どうやって入ってきたの！？ここ三階だよ！」
「アイツらの犠牲が無ければ、僕はここに来れなかっただろうな……」
「誰に何したの！？」
「あのなリアン、誰しも最期に華々と散れるわけじゃないんだ」
「だから何したんだよ！」
「良かった～フーリが来てくれて。何人犠牲になったの？」
「犠牲者がいる前提！？」
「十五人だよ」
「しかも多い！」
　こうして、フーリは無事授業には間に合ったが窓ガラスを割ったとして弁償することになった。ちなみに校内で謎の骨折をした十五人の生徒が見つかったが、この事件は大きな権力の元で闇に葬られた。