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日常編(単発)
馬鹿につける薬を作ってみた!
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ある日、三人の元には年に一度の基礎知識テストの結果が返されていた。
「うわぁ……56点かよクライブ何点だった?」
「俺は100満点中87点だ。まぁまぁだろ?」
「クライブすげぇじゃん。めっちゃ嫌味ったらしいけど。ってかよくこの問題分かったな」
「当てずっぽうだよ。ドッグフードの塩分含有率なんて知るか。四択じゃなきゃ終わってんぞ」
「基礎知識の意味を履き違えてるよな」
二人が結果を見せ合いながら一喜一憂している中、マルセルは紙をじっと見ながら黙っている。
「そういやマルセルは何点だった?」
「ねぇフーリ。点数ってどこに書いてあるの?」
「は?そこからかよ。馬鹿だな~お前は」
フーリはマルセルから個票を受け取り、見た瞬間に驚愕した。
「にっ……2点!?お前筋金入りの馬鹿じゃん!」
「四択問題で2点ってどういう確率だよ」
「しかも唯一正解してるのがドッグフードの問題だし」
「これだけは自信があったんだ!」
「自身の入れどころがおかしいだろ」
「馬鹿につける薬はないって言うけど、基礎知識くらい何とかならないのかよ」
「馬鹿じゃないもん!だってドッグフードの塩分含有率は正解してるよ!」
「そういうのは基礎知識って言わねぇんだよ」
「馬鹿につける薬はない……そうだ!」
突然フーリは立ち上がった。そのせいで机が揺れて紅茶が零れてクライブにかかった。
「ぎゃー!何すんだよ!」
嬉しそうだね。
「嬉しかねぇわ!」
「馬鹿につける薬はないなら、作ればいいんだ!」
「は?」
「よし!じゃあクライブ行くぞ!」
「は?どこに!?」
クライブは襟を掴まれる。
「マルセルはここで待ってろよ!」
「うん!」
「だからどこ行くんだよてめぇ!」
こうして、二人は馬鹿につける薬を作りに行った。
「……で、僕のところに来たと」
そう、二人は△△大学のアウルを訪ねていた。
「そうなんだよアウル!お前の知恵が必要なんだ!」
「僕ってそういうキャラでしたっけ?というより僕は魔物の生物学専門なので薬に関する知識は……」
「んなもんいいんだよ馬鹿野郎!」
「何怒ってんだよ」
「じゃあ薬学部からちょっと薬盗んできますね」
「もろ犯罪宣言されたんだけど」
アウルが出て行ってから十分後、フーリが据え置きのパソコンの背景を勝手にいじってエロ画像にしていたら、アウルが二つの瓶を摘んで帰ってきた。
「遅くなりました」
「いいよいいよ。で、何を持ってきてくれたんだ?」
「こっちは魔物の体液です」
そう言って彼は右手の瓶を上げた。
「魔物の体液!?」
「はい。これはドマニックフェアリーっていう非常に賢い魔物の体液なので、馬鹿への効果が期待できます!」
「こう聞くとバカにしてるようにしか聞こえねぇな」
「それで、左手に持ってるそれは?」
「粉状の薬品です」
「へぇ~。なんてやつ?」
「名前は知らないです」
「知らねぇのかよ」
「でも、名前は付いてるってことは分かります」
「んな事が分かったってしょうがねぇんだよ」
「ま、これとこれをバンッ!ってさせれば薬の完成だよ」
「バンッってなんだよ。爆破でもすんのか」
「どうやって摂取するの?」
「気体なんで吸います」
「つけねぇんだ」
こうして、何とかして馬鹿に吸わせる薬を作り出すことに成功した。ちなみに、背景がエロ画像になっていたことは軽く問題になった。
そして数十分後。徒歩と競歩の間ぐらいの速度で二人はマルセルの元に帰ってきた。
「マルセルただいまー!」
「おかえり二人とも!あのね、僕二人を待ってる間に蝿を二匹殲滅したよ!」
「ふ~んそうか。そんなことより、これを吸うんだ」
「傍から見ると麻薬誘ってるみたいだな」
フーリはマルセルに試験管を投げ渡した。
「これ吸うと頭良くなるの?」
「そうだ。パッパラパーだ」
「それは馬鹿って言うんだよ」
「じゃあ吸うよ!」
「一気!一気!一揆!」
「そのボケ文字じゃねぇと通じないだろ」
マルセルは試験管の空気を一気に吸い干した。しかし、目立った変化はない。
「……どう?」
「特に何も無いよ。強いていえばいつもより爪が伸びるのが速くなったかな」
「体感できるんだそれ」
「しっかし、効果無しなんて……あいつ正式な場に訴えようかな」
「いや違うよ!これはそもそも僕が馬鹿じゃないから効いてないだけで……」
マルセルがこう口答えしていると、突然何かが窓を突き破って彼にくっ付いた。
「うわっ!何……馬?」
そこには、動物の馬がいた。次いで、また何かがくっ付いてきた。
「ぎゃー!何……鹿?」
そこには、鹿がいた。
「なるほど、馬鹿につける薬は、まさに馬と鹿を吸い付ける薬なんだね!」
「くそ雑なオチだな」
こうして、くそ雑なオチを迎えた。ちなみに、マルセルの家では馬刺しと鹿肉が今晩の夕食のメニューだったらしい。
「うわぁ……56点かよクライブ何点だった?」
「俺は100満点中87点だ。まぁまぁだろ?」
「クライブすげぇじゃん。めっちゃ嫌味ったらしいけど。ってかよくこの問題分かったな」
「当てずっぽうだよ。ドッグフードの塩分含有率なんて知るか。四択じゃなきゃ終わってんぞ」
「基礎知識の意味を履き違えてるよな」
二人が結果を見せ合いながら一喜一憂している中、マルセルは紙をじっと見ながら黙っている。
「そういやマルセルは何点だった?」
「ねぇフーリ。点数ってどこに書いてあるの?」
「は?そこからかよ。馬鹿だな~お前は」
フーリはマルセルから個票を受け取り、見た瞬間に驚愕した。
「にっ……2点!?お前筋金入りの馬鹿じゃん!」
「四択問題で2点ってどういう確率だよ」
「しかも唯一正解してるのがドッグフードの問題だし」
「これだけは自信があったんだ!」
「自身の入れどころがおかしいだろ」
「馬鹿につける薬はないって言うけど、基礎知識くらい何とかならないのかよ」
「馬鹿じゃないもん!だってドッグフードの塩分含有率は正解してるよ!」
「そういうのは基礎知識って言わねぇんだよ」
「馬鹿につける薬はない……そうだ!」
突然フーリは立ち上がった。そのせいで机が揺れて紅茶が零れてクライブにかかった。
「ぎゃー!何すんだよ!」
嬉しそうだね。
「嬉しかねぇわ!」
「馬鹿につける薬はないなら、作ればいいんだ!」
「は?」
「よし!じゃあクライブ行くぞ!」
「は?どこに!?」
クライブは襟を掴まれる。
「マルセルはここで待ってろよ!」
「うん!」
「だからどこ行くんだよてめぇ!」
こうして、二人は馬鹿につける薬を作りに行った。
「……で、僕のところに来たと」
そう、二人は△△大学のアウルを訪ねていた。
「そうなんだよアウル!お前の知恵が必要なんだ!」
「僕ってそういうキャラでしたっけ?というより僕は魔物の生物学専門なので薬に関する知識は……」
「んなもんいいんだよ馬鹿野郎!」
「何怒ってんだよ」
「じゃあ薬学部からちょっと薬盗んできますね」
「もろ犯罪宣言されたんだけど」
アウルが出て行ってから十分後、フーリが据え置きのパソコンの背景を勝手にいじってエロ画像にしていたら、アウルが二つの瓶を摘んで帰ってきた。
「遅くなりました」
「いいよいいよ。で、何を持ってきてくれたんだ?」
「こっちは魔物の体液です」
そう言って彼は右手の瓶を上げた。
「魔物の体液!?」
「はい。これはドマニックフェアリーっていう非常に賢い魔物の体液なので、馬鹿への効果が期待できます!」
「こう聞くとバカにしてるようにしか聞こえねぇな」
「それで、左手に持ってるそれは?」
「粉状の薬品です」
「へぇ~。なんてやつ?」
「名前は知らないです」
「知らねぇのかよ」
「でも、名前は付いてるってことは分かります」
「んな事が分かったってしょうがねぇんだよ」
「ま、これとこれをバンッ!ってさせれば薬の完成だよ」
「バンッってなんだよ。爆破でもすんのか」
「どうやって摂取するの?」
「気体なんで吸います」
「つけねぇんだ」
こうして、何とかして馬鹿に吸わせる薬を作り出すことに成功した。ちなみに、背景がエロ画像になっていたことは軽く問題になった。
そして数十分後。徒歩と競歩の間ぐらいの速度で二人はマルセルの元に帰ってきた。
「マルセルただいまー!」
「おかえり二人とも!あのね、僕二人を待ってる間に蝿を二匹殲滅したよ!」
「ふ~んそうか。そんなことより、これを吸うんだ」
「傍から見ると麻薬誘ってるみたいだな」
フーリはマルセルに試験管を投げ渡した。
「これ吸うと頭良くなるの?」
「そうだ。パッパラパーだ」
「それは馬鹿って言うんだよ」
「じゃあ吸うよ!」
「一気!一気!一揆!」
「そのボケ文字じゃねぇと通じないだろ」
マルセルは試験管の空気を一気に吸い干した。しかし、目立った変化はない。
「……どう?」
「特に何も無いよ。強いていえばいつもより爪が伸びるのが速くなったかな」
「体感できるんだそれ」
「しっかし、効果無しなんて……あいつ正式な場に訴えようかな」
「いや違うよ!これはそもそも僕が馬鹿じゃないから効いてないだけで……」
マルセルがこう口答えしていると、突然何かが窓を突き破って彼にくっ付いた。
「うわっ!何……馬?」
そこには、動物の馬がいた。次いで、また何かがくっ付いてきた。
「ぎゃー!何……鹿?」
そこには、鹿がいた。
「なるほど、馬鹿につける薬は、まさに馬と鹿を吸い付ける薬なんだね!」
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こうして、くそ雑なオチを迎えた。ちなみに、マルセルの家では馬刺しと鹿肉が今晩の夕食のメニューだったらしい。
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