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自室に戻り、私は息をついた。
リュークに鍵を渡してしまった……
リュークはあの少年をどうするだろうか。
(ちゃんと世話をしてくれるわよね・・・まさか、虐待はしないわよね・・・)
自分は思いっきり彼を虐待をしているくせに、他人がするとなると胸が痛くなるのは勝手なものだ。
リュークがあの子を逃がしてくれたら・・・それでもいい。
わたしはあの少年に囚われている。呪わしいほど、狂わしいほど。自分の一部のように思えてしまっているのだ。
私はあの少年が現れたときのことを思い出す。
あの美しい暗殺者の少年……。
彼がわたしの寝室にやってきたのだ。
私の手に自ら堕ちにやってきたのだ。
あの少年がわたしが仕掛けていた魔術装置の罠にかかり、意識を失ったとき、窓から差し込む月光が彼を照らした。
その顔の、肢体の美しさに私は一目で恋に落ちたのだ。
彼が欲しかった。私の一部にしたかった。
この胸にぽっかりと空いた、大きな穴を埋めるのは彼なのだと私は信じた。
そして、転生前も含めて、生まれて初めての高揚を彼は与えてくれた。
私に生きている喜びを与えてくれた。…それは虚しい幻想で、私のしていることは唾棄すべきことだと分かっていたが、わたしは中毒にかかったように彼を苛むことに囚われた。
(…彼をいたぶっている間だけは、私は他のことを忘れられたから…。でも、もう終わりにしないと…私は自分ではやめられない…リューク、どうか彼を逃がして。私が追いかけられないところに)
私はずっと不眠が続いている。
夜眠れないのだ。
ベッドに横になるものの、そのまま一睡もせず朝を迎えてしまうこともある。
消化器にも影響は表れていて、私はほとんど食事がとれなくなっている。
眠れないのは、転生前の記憶を分離できなくなったからだけではない。
領主である父、そしてこの国の首脳部…彼らと接するうちに私はますます絶望的な気分になってくるのだ。
私の耳には破滅が近づく音が聞こえている。
このままの生活は続かない、こうして優雅な生活をしている代償を払う日が来る。
私はその恐怖に常に囚われている。
私は両親にとっては最後から二番目の子供で、ずっと【失敗作】と言われ続けてきた。
小さなころから病弱であり、長くは生きないだろうと言われてきたのだ。
ずっと寝室に放置され、最低限の世話しか受けてこなかった。
私はほとんどベッドの上にいた。することもない、ただ体の不調に苦しむだけの刺激のない退屈な日々だ。
転生前の記憶は物心ついたころからあり、私はそれを他人事のように思い出していた。
強く残っているのは辛い日々の記憶であるが、楽しい記憶もわずかにあり、私はそれを古いアルバムをめくるように何度も思い出していた。
そんな日々が終わったのは、当時の王太子殿下がたまたまこの地に妻子をともなってやってきたときだった。
リュークに鍵を渡してしまった……
リュークはあの少年をどうするだろうか。
(ちゃんと世話をしてくれるわよね・・・まさか、虐待はしないわよね・・・)
自分は思いっきり彼を虐待をしているくせに、他人がするとなると胸が痛くなるのは勝手なものだ。
リュークがあの子を逃がしてくれたら・・・それでもいい。
わたしはあの少年に囚われている。呪わしいほど、狂わしいほど。自分の一部のように思えてしまっているのだ。
私はあの少年が現れたときのことを思い出す。
あの美しい暗殺者の少年……。
彼がわたしの寝室にやってきたのだ。
私の手に自ら堕ちにやってきたのだ。
あの少年がわたしが仕掛けていた魔術装置の罠にかかり、意識を失ったとき、窓から差し込む月光が彼を照らした。
その顔の、肢体の美しさに私は一目で恋に落ちたのだ。
彼が欲しかった。私の一部にしたかった。
この胸にぽっかりと空いた、大きな穴を埋めるのは彼なのだと私は信じた。
そして、転生前も含めて、生まれて初めての高揚を彼は与えてくれた。
私に生きている喜びを与えてくれた。…それは虚しい幻想で、私のしていることは唾棄すべきことだと分かっていたが、わたしは中毒にかかったように彼を苛むことに囚われた。
(…彼をいたぶっている間だけは、私は他のことを忘れられたから…。でも、もう終わりにしないと…私は自分ではやめられない…リューク、どうか彼を逃がして。私が追いかけられないところに)
私はずっと不眠が続いている。
夜眠れないのだ。
ベッドに横になるものの、そのまま一睡もせず朝を迎えてしまうこともある。
消化器にも影響は表れていて、私はほとんど食事がとれなくなっている。
眠れないのは、転生前の記憶を分離できなくなったからだけではない。
領主である父、そしてこの国の首脳部…彼らと接するうちに私はますます絶望的な気分になってくるのだ。
私の耳には破滅が近づく音が聞こえている。
このままの生活は続かない、こうして優雅な生活をしている代償を払う日が来る。
私はその恐怖に常に囚われている。
私は両親にとっては最後から二番目の子供で、ずっと【失敗作】と言われ続けてきた。
小さなころから病弱であり、長くは生きないだろうと言われてきたのだ。
ずっと寝室に放置され、最低限の世話しか受けてこなかった。
私はほとんどベッドの上にいた。することもない、ただ体の不調に苦しむだけの刺激のない退屈な日々だ。
転生前の記憶は物心ついたころからあり、私はそれを他人事のように思い出していた。
強く残っているのは辛い日々の記憶であるが、楽しい記憶もわずかにあり、私はそれを古いアルバムをめくるように何度も思い出していた。
そんな日々が終わったのは、当時の王太子殿下がたまたまこの地に妻子をともなってやってきたときだった。
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