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目標への道と...
矢印はそろって
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曲が終わってからも、数秒間の間僕は少女を抱きしめていた。
けど、ふと気が付いたらいつもの僕の部屋にいた。
周りを見ると、全員軽い放心状態になっていた。
僕も動こうと思っても動けなかったけど、いち早く戻った諒一が声を出した。
「お疲れみんな
すごい曲だったね」
と、感動しながら言った。
その声をきっかけに、時計の針が普通に進み始めた。
僕は水上さんの方を向いて、水上さんのに視線を送った。
水上さんは、僕に何が起きたのか知らないわけだから、きょとんとした表情で首を傾げた。
僕も水上さんの気持ちを把握したから、それ以上水上さんのことを見つめるのはやめた。
そこで、山縣が声にならない声でつぶやいた。
「すごい演奏だったね」
と、嘘をついているんじゃなく、声が出せない感じで言った。
すると、諒一が興奮した声を重ねた。
「みんなすごい演奏だったな
初めて通しで演奏するとは思えない完成度だったよ」
それを聞いた僕は、自分の演奏がどうだったのか凄い気になった。
自分はあの世界に迷い込んでたから、自分がちゃんと演奏できたかわかっていないんだ。
でも、それを直接聞くのは、なんだかよくない気がしてできなかった。
でも、それは思いもよらぬところから伝えられた。
諒一の方を向いている僕の体の右わき腹をつつく何かがあった。
それは、水上さんが持っているタブレットだった。
水上さんからそれを受け取ると、そこに書いてある文字に目を通した。
「ドラム凄いうまかったよ
作曲の時にたたいていたからか、リズムも強弱も完ぺきで驚いたよ」
水上さんが言うほどいい演奏ができていたんだろうか。
自分の演奏に自覚がないから、まったくもって自信がわかないけど、水上さんが言うんだしそうなんだろう。
一呼吸おいてから水上さんにお礼の言葉を書いて、タブレットを返した。
それから、僕は山縣と諒一を集めた。
そして、さっきの歌詞を付けるかどうかの話し合いをもう一度取り出した。
二人の顔を交互に見てから
「結局歌詞必要かな?」
と聞いた。
すると、山縣が疲れ切ったの表情で
「歌詞はこの曲に入らないと思うよ
この曲だけで十分伝わると思うから」
と言った。
その言葉に僕と諒一は深くうなずいた。
これで三人の意見はそろった。
結局この曲に歌詞は付けないことに決まった。
僕だけは、本当の歌詞が存在することを知ったまま。
僕は、本当の歌詞が存在することをつたえるかどうか悩んだ。
でも、今はまだ不確定なことだし、歌詞が全部分かったわけじゃない。
歌詞を水上さんに聞くのは無粋な気がするし、これからの練習でだんだんと歌詞を解明していくことにした。
そして、本番ではやってみたいなって思う。
一通り演奏して、全員疲れ切っていた。
みんな疲れ切っていて、これ以上演奏する体力はなさそうだった。
だから、誰かに言うわけでもなく、僕は自分の楽器を片付け始めた。
僕が片づけを始めると、ほかのみんなも片づけを始めた。
力持ちの諒一がほとんどの道具を運んでくれたので、かなりスムーズに片づけを済ませられた。
新しく加わった水上さんのキーボードも、一回水上さんが持ち帰りたいらしいので、水上さんに預けた。
全員の道具の片づけが終わったことを確認してから、僕の部屋の戸を閉めた。
それから、みんなはリビングに集合した。
そして、これからこの音楽を練習していくことを誓った。
それは、一つ一つのステップを踏んだことの確認のようなものだ。
全員がこの曲で異論がないことを確かめた。
これでみんなの矢印は一方向にそろったわけだ。
紆余曲折を経たとしても、この矢印に従えばいつかはたどり着く。
各々が楽譜ををもう一度見ると、カバンの中にすべての荷物をしまった。
今はもう夕焼けが沈み始めるころ。
春の空ににじむ夕焼けは、赤紫に燃え上がる。
それは、すでに僕らの練習時間が過ぎ去っていたことを知らせた。
みんなが帰る準備をしているところで、棒は水上さんに聞きたいことを聞くために、肩をたたいた。
水上さんがこっちを振り返ると、僕は水上さんのタブレットを借りた。
そして、自分の疑問を率直に水上さんに書いて渡した。
「あの曲は誰かを思って書いた曲なの?」
その文字を見た水上さんの目には、これまでに見たことない輝きが見えた。
それは、小さな水滴が光を乱反射しているようだった。
水上さんは涙をこらえながら、タッチペンをとって文字を書いて僕に渡した。
「あの曲は、私の大切な人への曲なんだ」
僕はその言葉を見て、一瞬だけ腑に落ちた。
けどすぐに、不自然な部分に気が付いたんだ。
大切な人っていうけど、あの世界にいたのは少女一人だけだったから、恋愛とかでもなさそうだ。
そうすると、本当にあの少女は誰なんだろう。
僕がタブレットから目を話した時には、水上さんは僕の目の前にいはなかった。
帰るために荷物をもって、手を洗いに行っていた。
一人取り残された僕は、水上さんにそのことを聞くかどうか考えた。
聞いてしまってもいいけど、なんだか聞いてほしくなさそうな雰囲気を出していた。
どうにかして自分で答えを捻りだそうと、あの音楽の世界を再現しながら考えた。
考えても答えは出そうにないので、聞くのが一番早いっていう結論に落ち着いた。
だから、今日のうちに聞いてしまおう。
丁度水上さんが洗面所から出てきた。
そこで、僕は水上さんだけを呼び止めようと、水上さんにこっちに来るように合図を送った。
諒一たちは、僕が出した合図に気づかなかったようで、そのまま帰るみたいだ。
「今日は楽しかったよ
また明日な」
と言って諒一は扉を開けた。
それを追うように、山縣が帰っていった。
僕もすかさず彼らに声をかける。
「また明日」
扉が閉まる寸前まで、僕は諒一たちに手を振った。
横を見ると、どうやら水上さんも手を振っていたようだ。
どうにかして僕と水上さんだけの空間を作ることができた。
だから、僕は水上さんのタブレットにすでに書いてあった言葉を、水上さんに渡した。
それは
「僕は演奏しているときに、謎の世界に迷い込んだんだ
その中で、水上さんに似た少女を見たんだよ
もしかしたら水上さんが思ったのは彼女なんじゃないかなって思ったんだ」
それを見た水上さんは、一瞬困った様子をしてタッチペンを持った。
それから、数秒間書くか書かないかを迷ってから、意を決したように文字をつづり始めた。
下を向いていても、水上さんが泣きそうになっていたのは分かった。
それでも、水上さんは泣かないように堪えて、文字を書ききると、僕に渡した。
それを見て、僕は少しだけ謎が解けた。
「私は、私の妹を思って書いたんだ
私にとって妹は大切な存在だからね」
それを見つつ、僕は他に気になっていたことを書こうか考えた。
すると、水上さんはもう帰らなくてはいけないようで、荷物を背負い始めていた。
僕が呆けているうちに、タブレットは回収され、水上さんのリュックにしまわれた。
そうして、水上さんは僕の家の玄関に立った。
水上さんに何か言葉をかけようと思ったけど、言葉が伝わらないのを忘れていた。
だから、僕は代わりに扉を開けて水上さんが 帰れるようにした。
少し悲しそうな水上さんと、靄を抱えた僕の頭上で、夕焼けが闇を引き連れて沈んでいった。
けど、ふと気が付いたらいつもの僕の部屋にいた。
周りを見ると、全員軽い放心状態になっていた。
僕も動こうと思っても動けなかったけど、いち早く戻った諒一が声を出した。
「お疲れみんな
すごい曲だったね」
と、感動しながら言った。
その声をきっかけに、時計の針が普通に進み始めた。
僕は水上さんの方を向いて、水上さんのに視線を送った。
水上さんは、僕に何が起きたのか知らないわけだから、きょとんとした表情で首を傾げた。
僕も水上さんの気持ちを把握したから、それ以上水上さんのことを見つめるのはやめた。
そこで、山縣が声にならない声でつぶやいた。
「すごい演奏だったね」
と、嘘をついているんじゃなく、声が出せない感じで言った。
すると、諒一が興奮した声を重ねた。
「みんなすごい演奏だったな
初めて通しで演奏するとは思えない完成度だったよ」
それを聞いた僕は、自分の演奏がどうだったのか凄い気になった。
自分はあの世界に迷い込んでたから、自分がちゃんと演奏できたかわかっていないんだ。
でも、それを直接聞くのは、なんだかよくない気がしてできなかった。
でも、それは思いもよらぬところから伝えられた。
諒一の方を向いている僕の体の右わき腹をつつく何かがあった。
それは、水上さんが持っているタブレットだった。
水上さんからそれを受け取ると、そこに書いてある文字に目を通した。
「ドラム凄いうまかったよ
作曲の時にたたいていたからか、リズムも強弱も完ぺきで驚いたよ」
水上さんが言うほどいい演奏ができていたんだろうか。
自分の演奏に自覚がないから、まったくもって自信がわかないけど、水上さんが言うんだしそうなんだろう。
一呼吸おいてから水上さんにお礼の言葉を書いて、タブレットを返した。
それから、僕は山縣と諒一を集めた。
そして、さっきの歌詞を付けるかどうかの話し合いをもう一度取り出した。
二人の顔を交互に見てから
「結局歌詞必要かな?」
と聞いた。
すると、山縣が疲れ切ったの表情で
「歌詞はこの曲に入らないと思うよ
この曲だけで十分伝わると思うから」
と言った。
その言葉に僕と諒一は深くうなずいた。
これで三人の意見はそろった。
結局この曲に歌詞は付けないことに決まった。
僕だけは、本当の歌詞が存在することを知ったまま。
僕は、本当の歌詞が存在することをつたえるかどうか悩んだ。
でも、今はまだ不確定なことだし、歌詞が全部分かったわけじゃない。
歌詞を水上さんに聞くのは無粋な気がするし、これからの練習でだんだんと歌詞を解明していくことにした。
そして、本番ではやってみたいなって思う。
一通り演奏して、全員疲れ切っていた。
みんな疲れ切っていて、これ以上演奏する体力はなさそうだった。
だから、誰かに言うわけでもなく、僕は自分の楽器を片付け始めた。
僕が片づけを始めると、ほかのみんなも片づけを始めた。
力持ちの諒一がほとんどの道具を運んでくれたので、かなりスムーズに片づけを済ませられた。
新しく加わった水上さんのキーボードも、一回水上さんが持ち帰りたいらしいので、水上さんに預けた。
全員の道具の片づけが終わったことを確認してから、僕の部屋の戸を閉めた。
それから、みんなはリビングに集合した。
そして、これからこの音楽を練習していくことを誓った。
それは、一つ一つのステップを踏んだことの確認のようなものだ。
全員がこの曲で異論がないことを確かめた。
これでみんなの矢印は一方向にそろったわけだ。
紆余曲折を経たとしても、この矢印に従えばいつかはたどり着く。
各々が楽譜ををもう一度見ると、カバンの中にすべての荷物をしまった。
今はもう夕焼けが沈み始めるころ。
春の空ににじむ夕焼けは、赤紫に燃え上がる。
それは、すでに僕らの練習時間が過ぎ去っていたことを知らせた。
みんなが帰る準備をしているところで、棒は水上さんに聞きたいことを聞くために、肩をたたいた。
水上さんがこっちを振り返ると、僕は水上さんのタブレットを借りた。
そして、自分の疑問を率直に水上さんに書いて渡した。
「あの曲は誰かを思って書いた曲なの?」
その文字を見た水上さんの目には、これまでに見たことない輝きが見えた。
それは、小さな水滴が光を乱反射しているようだった。
水上さんは涙をこらえながら、タッチペンをとって文字を書いて僕に渡した。
「あの曲は、私の大切な人への曲なんだ」
僕はその言葉を見て、一瞬だけ腑に落ちた。
けどすぐに、不自然な部分に気が付いたんだ。
大切な人っていうけど、あの世界にいたのは少女一人だけだったから、恋愛とかでもなさそうだ。
そうすると、本当にあの少女は誰なんだろう。
僕がタブレットから目を話した時には、水上さんは僕の目の前にいはなかった。
帰るために荷物をもって、手を洗いに行っていた。
一人取り残された僕は、水上さんにそのことを聞くかどうか考えた。
聞いてしまってもいいけど、なんだか聞いてほしくなさそうな雰囲気を出していた。
どうにかして自分で答えを捻りだそうと、あの音楽の世界を再現しながら考えた。
考えても答えは出そうにないので、聞くのが一番早いっていう結論に落ち着いた。
だから、今日のうちに聞いてしまおう。
丁度水上さんが洗面所から出てきた。
そこで、僕は水上さんだけを呼び止めようと、水上さんにこっちに来るように合図を送った。
諒一たちは、僕が出した合図に気づかなかったようで、そのまま帰るみたいだ。
「今日は楽しかったよ
また明日な」
と言って諒一は扉を開けた。
それを追うように、山縣が帰っていった。
僕もすかさず彼らに声をかける。
「また明日」
扉が閉まる寸前まで、僕は諒一たちに手を振った。
横を見ると、どうやら水上さんも手を振っていたようだ。
どうにかして僕と水上さんだけの空間を作ることができた。
だから、僕は水上さんのタブレットにすでに書いてあった言葉を、水上さんに渡した。
それは
「僕は演奏しているときに、謎の世界に迷い込んだんだ
その中で、水上さんに似た少女を見たんだよ
もしかしたら水上さんが思ったのは彼女なんじゃないかなって思ったんだ」
それを見た水上さんは、一瞬困った様子をしてタッチペンを持った。
それから、数秒間書くか書かないかを迷ってから、意を決したように文字をつづり始めた。
下を向いていても、水上さんが泣きそうになっていたのは分かった。
それでも、水上さんは泣かないように堪えて、文字を書ききると、僕に渡した。
それを見て、僕は少しだけ謎が解けた。
「私は、私の妹を思って書いたんだ
私にとって妹は大切な存在だからね」
それを見つつ、僕は他に気になっていたことを書こうか考えた。
すると、水上さんはもう帰らなくてはいけないようで、荷物を背負い始めていた。
僕が呆けているうちに、タブレットは回収され、水上さんのリュックにしまわれた。
そうして、水上さんは僕の家の玄関に立った。
水上さんに何か言葉をかけようと思ったけど、言葉が伝わらないのを忘れていた。
だから、僕は代わりに扉を開けて水上さんが 帰れるようにした。
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