薔薇と少年

白亜凛

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◆重なる点と線

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 だが、その一方で右崎は心の中で首を傾げ、アキラを振り向いた。
(たいした事件ではないって?)
 ふたり組の警察官はそうは言っていなかった。
 むしろ話が聞けないくらいの重体なのかと思ったはずだが。アキラはなにを知り、そんな断定的な物言いをするのか。
 二時間の間に色々と仕入れてきたんだろう。

 やれやれとため息をつき、盛りつけている料理を少し変えることにした。
 チキンとペンネのアラビアータの量を増やし、その分タコの入ったカルパッチョの量を減らす。

「おまたせしました」
 安心したところで食欲も出てきたに違いない。
 酒肴にしてはしっかりとした量が盛られているプレートを見て、彼女はうれしそうに「おいしそう」と、破顔した。

「男性が言ったそうですよ。綺麗な女性が通りかかったので、薔薇の花束をあげたのだと。お客さまだったのですね」
 今夜のアキラは随分、口が軽い。
 綺麗な女性と言われれば、誰しも少なからずうれしいだろう。
 店内の照明はそう明るくはないので頬を染めたかどうかはわからないが、彼女は睫毛を揺らして恥ずかしそうに首を傾げた。

 これでとりあえず、彼女の薔薇の謎が解けた。
 残るは一つ。
 アキラが出前に二時間かけた理由。

 少年のほうになにかあったに違いない。
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