【R18作品】コォとインの奇怪冒険譚

蛾脳シンコ

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第1部【明暗の大魔導師】編

第39話 密林の部族たち

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私の名前はイン…コォとイワと一緒に旅をしてる冒険者。
なんとかコブサラ国までやって来た私達だけど…やって来て早々に敵対した組織、魔影団から刺客を送り込まれ戦闘となった。
しかし、その間に戦闘部族であるサミーサ族が乱入…刺客は彼らに射られ、残る息の中…首を狩り取られ死亡…さらに彼らは親愛の証である首飾りを無くした私達を獲物と見なし、襲い掛かって来た。
なんとか撃退し、近くのコルスラ熱帯雨林へ身を隠したが…コォは奴らの矢を喰らい、眠ってしまっている…どうにかしないと。

【イン…どうする…】
「とにかく…明るくなるのを待ってから行動しないと。」

時間が悪かったので、今はもう夕暮れだ…暗い密林を歩くのは命知らずだけ。
今は近くの程よい物陰で身を隠し、明るくなってからこの密林を出よう。
だけど…此処には猛獣や毒虫、魔物も居ると聞いた…恐ろしい…

【アイツ等…来ないかな…】
「アイツ等?…あぁ、サミーサ族ね…多分だけど夜は大丈夫…だと思う。」
【なんで?】
「こんなに暗いのに探すわけ無いでしょ。」

いくら奴等でもこんなに暗い密林の中を探し回るなんてことはしないだろう。
だから最低でも夜の間、あの部族と遭うことも……確証はないけど、無いと思う。
問題は前述した猛獣や虫たちだ、肉食の獣は眠る動物を狙って夜間に襲撃を仕掛ける…それに虫も明るい昼間より暗い夜の方が活発になる事が多い。

「ひ、冷えるなぁ…」
【そんなに寒い?】
「アンタは身体が丈夫だから良いかもしれないけど、私達人間は皮膚が薄いのよ。」

それにしても熱帯雨林の夜は冷える…昼間とは打って変わって非常に寒い。
火を焚きたいけど…そんな事は敵に居場所を教えるようなもの。
仕方ないのでコォと一緒に毛布に包まっている…死んで無いよね?

【…?なんか聞こえない?】
「そう?」

言われてみれば…耳を澄ますとブゥーンと聞こえるような…これは…羽音だ!
蚊のような羽音が聞こえる…だけどこれは蚊の物では無い…明らかに音の重さが違う!

【グジャァアアア!!】

「!?な、なにコイツは!?」
【む、虫だ…】

その時、ブォオン!と大きい羽音を響かせ、目の前へ姿を現したのはリンゴよりも多きな気妙な蚊みたいな虫…奴は口元からズバァ!と細い針を出すと…
私の腕へ張り付く!き、気持ちが悪い!腕がズンと重くなった…
それに足が刺さって痛い!

「痛!?こ、この…うぇー…」
【ぐぇあああ!!】

叩き潰してやろうかと思ったが、こんな大きな虫を腕の上で潰すなんて勇気は湧かずに、軽く横に叩いた。
それでも蚊を退かせるには十分すぎる打撃だった。

「イワ、気を付けて…コイツに刺されたら変な病気貰うかも…」
【キモい…】
【グジャァアガアアアア!!】
「来た…!(潰すのは…キモいからダガーで良いや…)ヤァ!!」

咄嗟に腰に携えるダガーを抜くとこちらへ飛んで来る虫をぶった斬る!!
虫は見事にズバァア!と真っ二つになり、地面へ落ちるとグチャグチャのミンチへと変わり果てた。
や、やった…気持ちが悪かったけど…刺される前になんとか殺れた…
流石にこの虫は…食べられないなぁ。

「私、ちょっと寝るから。何かあったら起こして。」
【うん分かった。】
「ふぅ…」

今のうちに寝ておかないと…余計に体力を消耗するより、溜めれる時に溜める。
休めるうちに休んでおくのは大切だ…徹夜後に密林を歩くなんて私には無理。
・・・

「ぐが……うん……ふぁぁあ…」
【あ、おはよ。】

私は起こされる事なく、朝日によって目を覚ます事となった。
しまった…うっかり寝過ぎてしまった…もうかなり明るいと言うのに…
コォはまだ起きて無いし、なんかジメジメしてるし…最悪だ。
だが、贅沢を言う暇はない…早く先へ進んで密林を抜けないと。

「早く行くよ、ボケボケしたら死んじゃうからね。」
【分かった…けど…どっちに進むの?】

そうだった…現在地を特定しなきゃ。
地図とコンパスを取り出すと、自分達の位置を何となくで特定し始めた。

「えぇーっと…入口が近いから…多分ここら辺で…」

幸いにも密林にはうっすらとだが、道があるので地図さえあれば迷う事は無い。
コンパスを頼りに行けばすぐに密林を抜けられる…それに”狩場”とかいうものも載っている…どうやら此処に入らなければサミーサ族は平気と…
今いる場所も大丈夫だけど…なぜ昨日、彼らは襲って来たのだろうか。
明らかに狩場からは離れているのに…まぁ今はどうでも良い、さっさと行ってしまおう。
私は荷物、イワはコォを背負うと、そのまま密林の道を歩み始めることに。

【お、重い…】
「我慢してよ、私だって3人分背負ってんだから。」
【コォもバラバラにして持ち運べたらなぁ…】
「やってみる?まずはアンタの身体で試すけど。」

猛獣と出会いたくないので自分達はひたすら何かしら喋って歩いて行く。
熊は少なくともこれで寄って来ない…此処に熊はいないけど。
動物ってのは意外と臆病だ、鳥が飛び立つ音でさえビビッて逃げてしまう…
だが、魔物に出会ったら最後…その時はコォには犠牲になってもらおう。
逃げる時に必要なのものは切り離す勇気と仲間より速く走る力だと以前に本で見た。

【あ痛!?な、なんだ…?】
「ちょ、ちょっと…大丈夫?」

その時、イワの頭へボゴッ!と何かが当たって地面に落ちる…
それは…矢であった…

「まずい!早く!身を隠さないと!!」
【ちょちょ!!】

その木の枝を矢だと断定した瞬間に自分は身体を動かし、奥の茂みへイワと一緒に倒れ込む!そうすると3秒前まで自分達が居た地面にはズババババッ!と光る矢が刺さる!
その中の一本には普通の矢も混じっている…あれは…まさか魔法?
マジカウェポン丙?と、とにかく…戦わねば!

「イワ!武器を抜いて…相手は殺す気よ!」
【なんで!?此処は狩場じゃないのに!】
「分からない!だけど…やるしかない…」

アッチが先に攻撃して来たんだ、こちらが攻撃して殺しても正当防衛。
止めるコォも居ないので、思う存分殺せる…別に殺したいわけじゃないけど。
それはそうとして、上の枝を見上げれば誰かがそこに居り、矢を弓に番えていた。

「(先制攻撃!)高電圧雷球!!」
【!?ぐっぁあ!!】
【モロコン!ッチ……やりやがったな!!】
「ひぇぇえ!!もう一体出た!!」

上の奴へ高電圧の雷球をぶつけてやると、そのまま痺れて木から地面へ真っ逆さまに落ちる…その瞬間には違う茂みから鉈を持った奴が飛びだす!
マズイ…この距離だと魔法が間に合わない!
しかし、イワが鋭く脆い爪を伸ばし、奴を横から斬り裂く!

【くっ喰らえ!!】
【がぁあ!こ、この女め!!】
「イワ!」
【キャアァ!?】

だが、大したダメージは与えられずにイワは先に奴の鉈を脳天に振り下ろされる!
ゴバァッ!!と鈍い音を立て、イワは気を失ってしまった。

【な!?なぜ刃が入らない…】
「よくもイワを…バレチトン!!」
【ずっぎゃぁああああ!!】

バレチトンの電撃を奴へ直撃させると…相手はそのままプスプスと音を立てて気を失った…殺すのだけは勘弁しといてあげよう。

「とりあえず…2人共縛って……あれ?この顔…」

襲って来た奴の顔を見れば、それは昨日私達を襲って来た奴等であった。
お礼参りと言うワケか…でもまぁ、縛っておけば動けまい。
狩場以外で猟をしようとした罰だと思えば安い安い。
2人共の縛ると、イワの容態を見た…うん、少し気絶してるが…怪我は特に無い。

「(それにしても…丈夫過ぎない…?)」

先ほど、イワの頭へ矢がぶつかった時も思ったが、少しばかり硬すぎないだろうか。
魔族とはそんなに硬いモノなのか…やっぱり人間とは身体の造りが違うのか…
ちくしょう、こんな時に回復魔法が使えればなぁ…

【んが!あで…ここは…】
「おわ…起きた…ちょっと?大丈夫?頭とか。」
【悪いって言いたいの?】
「そんなシャレが思いつくなら平気か。」

ちょっとすると、イワは何事も無かった様に気を取り戻し、鉈を振り下ろされた場所を触りながら【痛い…】とだけ言った。
よくもまぁ、こんな鋭利な骨の鉈を喰らっといて無事で居られるな…
まぁ無事ならそれでいいと自分達は先を急ぐことに。

【なんでアイツ等…襲って来たんだろう…】
「分からない…だけど、無駄に長居すれば命は無いというのは明らかね。」

もしかしたらだけど、アイツ等は昨日のお返しをしに来ただけかもしれない。
あの2人が異様なだけで他の部族の人はマトモだったり…

【おい!そこのお前等!止まれ!!】
「ひっ!?」【ま、また来た…】

そんな事は無かった…アイツ等と同じ様な格好をして腹部に傷痕がある魔族の大男が自分達を呼び止める…
矢の先を向けている感じ、穏やかな感じでは無い事は確かである。
またやるか…しかし…コイツ等も魔法を使う…勝てるだろうか…

【お前等…モロコンとツァレイが言っていた奴だな!】
「し、知りません!そんな人…」
【そうだよ、全く持って無実だよ…】
【黙れ!鉄面を着けていると言っていたんだ!】
【そんなぁ…】

イワの鉄面の事を言われたらどうしようもない…だって鉄面だなんて街でも死ぬほど視線を集めていた…

【族長が呼んでいる、貴様等を直々に裁くとな…】
「そんな!あっちから攻撃して来たのに!狩場の外だったのよ!」
【黙れ!そのような戯言が信じられるか!来ないなら此処で殺す!】
【うわっ!?】

奴は弓矢をギュゥーっと引き絞り、こちらへ威嚇で無い事をよーく理解させた。
マズイ…今逆らえば…容易く殺されるのが目に見えている。
かと言って奴等にほいほいついて行けば…首を狩り取られてしまうのがオチ…

【2度は言わん…来い。】
「わ、分かった…分かったからそれを下ろして…」
【ふん。分かったならさっさとついて来い。】
【そんな…これ、重いのに…】
【鉄面、貴様は用なしだ、何処かにでも消えろ。】
【えぇ!?】

そう言われるや否や、イワへ奴は近付くと、身体を掴んでコォだけを地面へ降ろさせると、イワを何処か密林の奥へと投げ捨てた。
ビュン!!とイワは私達が辿った道を飛んで戻って行く…砲弾のように。
部族の男はコォを肩に担ぐと【来い。】とだけ言い、奥へ行く。
しょうがない…族長がマトモな者だと賭けてついて行くしかない!
イワの事も心配だが、どうする事もできないので、私はしょうがなく彼へと付いて行った…
・・・

【ッキャァアアア!!】

と、飛んで行く!!まるで鳥のように…な、何が起きている…そうか!
確か投げ飛ばされたんだ!…あぁあ!!インとコォを何とかしないと!
けどその前に自分を何とかしないと!

【うぎゃぁあああ!!】
【!?な、なにぃ!?】

やがて自分はドベチャァア…と泥の中へめり込むように着陸した…
これで大丈夫…いや!自分は確かに大丈夫だけど2人がヤバイ!

【わーっ!!目に!目に泥が!!】
【ねぇ!大丈夫アンタ!なんか家の方から飛んできたけど…】
【あ、アンタ誰…】
【そりゃこっちのセリフよ…】

とりあえず、重いマスクを脱いで中の泥を掻き出し、顔とマスクを泥水で濯いだ。
目に泥が入った時はどうなるかと思ったけど…これで安心。
改めてウチへ話しかけて来た奴を確認してみると…あ、ウチはイワ、冒険者のツレ。

【ア、アンタ…もしかして…じ、人工魔族…?】
【あ…バラしちゃダメなんだっけ…】
【凄い…見るのは2人目ね……あ!アタシはマネイよ。】
【ウチはイワ…マネイってコォみたいなのに女みたいな喋り方するんだね。】
【お黙り、外見には自信ないのよ。てかコォって誰?】

あぁあ!!そうだった…コォ達がヤバイ!とにかく先へ行かないと!
自分はマネイへ【さいなら】と言って行こうとしたが…ガッチリと腕を掴まれて逃げられない!

【つ、強い…怪物だ…】
【全然力込めて無いし、アンタも怪物でしょ…で?何かあったの?】
【それがね!なんか!……大変なんだよ!!】
【端折り過ぎ、もっと具体的に。】
【コォっていう身長は私より少し小さい程度でオレンジ頭の情けない顔した男の子が…】

【犯人かよ…具体的過ぎ…】

注文が多いなぁ…と思いつつも、今の自分の状況を出来るだけ頑張って説明した。
全てを話を終えるとマネイはギリギリと怒ったような表情で持ってる石を握り潰す。
石はパァン!!と破裂して塵と化した…

【やっぱり!あの2人ってば嘘ついてたのね!】
【2人って?】
【アンタ達を襲ったツァレイとモロコンよ!アイツ等は狩場で後ろから襲われたって言ってたのよ!酷い話だわ!早く2人を助けに行かないと2人揃って干し首よ!】

【ほしくびって?】
【滅茶苦茶ヤバいって事よ!!】

自分の腕を折れんばかりに握って急ごうとするマネイを止めた。
せっかくここまで戻って来たからには…コォが失くした首飾りを持って行かないと。

【首飾り?しょうがないわね…】
【早く探さないと!死んだらウチ、困っちゃうよ!】
【困るってレベルじゃ無いと思うけど。】

ウチ達は泥沼を掻きまわし、首飾りを探し始めた…どうにか間に合えば良いけど。
ところで干し首って何なんだったんだろう。

つづく
・・・
諸々図鑑
名前:イービルモスキート 分類:魔虫マチュウ 発見者:07探検隊(諸説あり)
危険度:レベル3(発見次第即退避) 標的:動物全般

『イービルモスキートはマカイハエ目モスキート亜科の魔虫である。魔界からやって来た原種のハームモスキートが何らかの原因で在来種の蚊と交配、誕生したと考えられている。特筆すべきはその大きさであり、成体はヒヨコほどの大きさまで成長する。繁殖力が低いので非常に数が少なく、単独での行動をする事が多い。生息しているのは現在でもコブサラ国のコルスラ密林のみである。針は太く、刺さればそれなりの痛みが走り、蚊特有の成分を分泌しながら血を凄まじい勢いで吸う。5秒刺されただけでも貧血を起こす程であり、非常に危険。また、疫病であるサラリアの媒体でもあるので刺されたりしたら直ぐに一型特効薬か消毒薬で傷口を洗い流さなければいけない。非常に気持ち悪いが、丈夫で大きいので一部の愛好家の間では1匹4000ドルで取引されているが、この生物の飼育及び生きたままの移送等は特例を除いて禁止されているので注意。』
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