100均で始まる恋もある2

三森のらん

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6.ジャック・オー・ランタン

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 家に着くころには酔いは醒め、小腹がすいていた。冷蔵庫の中にあった隣の逆井さんがお裾分けでくれた肉じゃがと冷凍していた飯を温めて食べる。なんとか人心地つくと、俺は風呂に入った。
 さほど広いわけでもない浴室は、湯気が充満している。身体を洗い終えた俺は、ゆっくりと湯船につかりながら、大きくため息をついた。

「はぁ……」

 湯を手にすくい、勢いよく顔を洗う。ただ、濱田くんの反応だけが、少しだけ気になった。そして自分でも不思議に思うくらい、自然に彼に手を伸ばしてたことも。

「まぁ……男の子のわりに、かわいい感じだしなぁ」

 けして女の子のような可愛さがあるわけではない。身長だって、俺よりは小さいかもしれないが、けして小柄というわけでもない。細身ではあっても華奢というのとは違う気がする。自分の周囲にいる男どもを考えると、強いて言えば葛木と似ているのかもしれないが、葛木のほうが、もっとしっかりしている気がする。

「……何考えてんだ、俺は」

 葛木と濱田くんのことを並べて考えてる自分に気が付いて、思わず言葉が零れる。俺はもう一度思い切り顔を洗うと、勢いよく風呂から出た。
 部屋着のグレーのパーカーとジャージに着替えると、キッチンのテーブルに置きっぱなしだった百均のビニール袋からつまみを取り出した。アーモンド小魚、砂肝ジャーキー、ポテトチップスとテーブルに並べていると、玄関のチャイムが鳴った。こんな時間に家にくる人など滅多にいない。隣の逆井さんに何かあったのか? と思い、「はい?」とインターフォンに返事をしたが、何の返事もない。不審に思った俺は玄関に向かい、のぞき窓から外を見たが人影もない。念のため、ドアを開けて外を見ようとした時、ガサッという音がした。何の音かと思って顔を伸ばすととドアノブのところに、ビニール袋がかけられている。

「これは……」

 俺にはすぐにわかった。それが見慣れた百均のビニール袋だということに。そして、中身が俺がよく買って帰るつまみで膨らんでいるということにも気が付いた。
 こんなものを置いていくのは、濱田くんしかいない、と、すぐに思った。慌てて周囲を見渡しても彼の姿は見えない。
 置くだけ置いて、彼は帰ったのだろうか。もしかしたら、追いかければ間に合うかもしれない。俺はビニール袋を家の中に放り込むと、玄関先に置いてあった鍵を掴み、玄関を締める。その時の俺は、急いで彼の後を追いかけることしか、考えられなかった。
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