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7.オーナメント
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クリスマスソングほど、今の僕の胸を抉るBGMはないと思う。たぶん、自分以外の人が幸せになれる曲だからかもしれない。
レジの中のつり銭を確認し終えて、ため息をつく。
「ちょっと、何、辛気臭い顔してんのよ」
久しぶりにシフトが一緒になった尾賀さんから、呆れられたように言われてしまう。
「すみません……」
ここのところ、金曜日は別の店舗に行くようになったから、尾賀さんと話をする機会はあまりなかった。まぁ、リア充な尾賀さんと、この時期に一緒にいるのは、それはそれで、なんだか気が重い。
「なに、あっちの店、しんどいの?」
「いえいえ、そういうわけじゃないです。みなさん、いい人で」
実際、自分の母親とたいして年齢が変わらないおばさんも多いから、ほぼ息子扱いされてる。
「じゃ、何。ここが嫌になったとでも?」
「いやいやいや、そんなんじゃないです」
苦笑いしながら、僕はレジを離れて品出しに向かった。
週末の昼間のシフトは、そこそこ忙しい。なにせ、主婦のパートさんたちがいない分、僕たち学生ばかりになって、人数も多くはいないのだ。それでも週末だけに、ビジネス街のほうの人出は多くはないものの、普通に駅を利用する人たちはけっこういる。
駅直結のこの店と、スーパーの中にあるあちらの店では、完全に客層が違う。ここは比較的、ビジネスマンやOLさんの姿が多いけど、あっちは子連れの主婦層が多い。だから出ていく商品の傾向も違うし、商品の納品の量も違う。二つのお店を掛け持ちしてるからこそ、気が付いたことだった。
「こっちはクリスマスグッズの動きがいいですねぇ」
同じように品出しをしていた海老原さんに、通りすがりに話しかけた。
「ん? そうだなぁ。たぶん、お店関係のとことか、ディスプレイとかに使うんじゃない?」
「あっちの店は、かなり店頭に出してたけど、まだ、それほどでもなかったんですよね」
「へぇ、そんな違うんだ」
補充するために、商品を山盛りにしたカゴを抱えなおしていく海老原さん。僕も倉庫のほうに向かおうとカゴを手に取った時、海老原さんがお客さんに声をかけられている姿が見えた。
急いで倉庫から商品を持って出てくると、まだ、そのお客さんに捕まっている。気が付くと、いくつかの棚が、空っぽになってる状態なのが目に入った。
『ヤバイな』
内心、焦りながら、どんどん商品を補充していく。
空調のせいもあるかもしれないけど、何度も倉庫と売り場を往復したせいか、額に汗が滲んできた。補充しても補充しても追いつかない。そんな時、フロアに、軽やかなベルが鳴った。これが鳴るときは、レジが混雑し始めた時。慌てて、レジに向かうと、すでに新人とは言えなくなった谷敷さんがレジに入っててくれた。
こうして忙しくて仕事に集中してると、段々とクリスマスソングのBGMも気にならなくなってくる。そして山本さんのことも考えなくてすむ。
「濱田くん」
そんな僕の背後に立って声をかけた人がいた。
その声に、僕は、返事が出来なかった。だって、その声は。
「濱田くんだろ?」
山本さんだったから。
レジの中のつり銭を確認し終えて、ため息をつく。
「ちょっと、何、辛気臭い顔してんのよ」
久しぶりにシフトが一緒になった尾賀さんから、呆れられたように言われてしまう。
「すみません……」
ここのところ、金曜日は別の店舗に行くようになったから、尾賀さんと話をする機会はあまりなかった。まぁ、リア充な尾賀さんと、この時期に一緒にいるのは、それはそれで、なんだか気が重い。
「なに、あっちの店、しんどいの?」
「いえいえ、そういうわけじゃないです。みなさん、いい人で」
実際、自分の母親とたいして年齢が変わらないおばさんも多いから、ほぼ息子扱いされてる。
「じゃ、何。ここが嫌になったとでも?」
「いやいやいや、そんなんじゃないです」
苦笑いしながら、僕はレジを離れて品出しに向かった。
週末の昼間のシフトは、そこそこ忙しい。なにせ、主婦のパートさんたちがいない分、僕たち学生ばかりになって、人数も多くはいないのだ。それでも週末だけに、ビジネス街のほうの人出は多くはないものの、普通に駅を利用する人たちはけっこういる。
駅直結のこの店と、スーパーの中にあるあちらの店では、完全に客層が違う。ここは比較的、ビジネスマンやOLさんの姿が多いけど、あっちは子連れの主婦層が多い。だから出ていく商品の傾向も違うし、商品の納品の量も違う。二つのお店を掛け持ちしてるからこそ、気が付いたことだった。
「こっちはクリスマスグッズの動きがいいですねぇ」
同じように品出しをしていた海老原さんに、通りすがりに話しかけた。
「ん? そうだなぁ。たぶん、お店関係のとことか、ディスプレイとかに使うんじゃない?」
「あっちの店は、かなり店頭に出してたけど、まだ、それほどでもなかったんですよね」
「へぇ、そんな違うんだ」
補充するために、商品を山盛りにしたカゴを抱えなおしていく海老原さん。僕も倉庫のほうに向かおうとカゴを手に取った時、海老原さんがお客さんに声をかけられている姿が見えた。
急いで倉庫から商品を持って出てくると、まだ、そのお客さんに捕まっている。気が付くと、いくつかの棚が、空っぽになってる状態なのが目に入った。
『ヤバイな』
内心、焦りながら、どんどん商品を補充していく。
空調のせいもあるかもしれないけど、何度も倉庫と売り場を往復したせいか、額に汗が滲んできた。補充しても補充しても追いつかない。そんな時、フロアに、軽やかなベルが鳴った。これが鳴るときは、レジが混雑し始めた時。慌てて、レジに向かうと、すでに新人とは言えなくなった谷敷さんがレジに入っててくれた。
こうして忙しくて仕事に集中してると、段々とクリスマスソングのBGMも気にならなくなってくる。そして山本さんのことも考えなくてすむ。
「濱田くん」
そんな僕の背後に立って声をかけた人がいた。
その声に、僕は、返事が出来なかった。だって、その声は。
「濱田くんだろ?」
山本さんだったから。
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