100均で始まる恋もある

三森のらん

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8.クリスマスツリー

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 もう何度目の往復かもわからなくなった頃、久しぶりに聞く声が聞こえてきた。

「あれ、ビンゴとかのパーティ系のグッズとかって、なかったですっけ?」
「去年も買ったからあったはずだけど。綾子、あっち見てきて」
「はーい」

 山本さんの部下の小島さんの声だ。また会社でクリスマスパーティでもやるんだろうか。

「あ、先輩、ありました! それと、これこれ! 先輩も一緒に着ません? ミニスカサンタ!」
「はぁ!? 私がやっても笑われるだけだから、嫌」
「えぇぇ、そんなこと言わないでくださいよぉ」

 あの会社で話した時のキビキビしたイメージとは真逆の、甘えた声にびっくりする。僕は見つからないように、彼女たちのいる棚のそばから離れようとした。

「何、その格好で山本課長にでも迫るわけ?」

 先輩らしき人の声で、僕の足は止まってしまった。

「フフフ、仕事中はこんな格好できませんけど、パーティだったらいいじゃないですか」
「最近、課長もなんか雰囲気丸くなったように見えるし、チャンスかもね」
「ですよね! もう、私、頑張っちゃおうかなって!」

 浮かれている彼女の声とは逆に、僕は一気に血の気がひいていった。
 小島さんが、ミニスカサンタの衣装から、あのすらっとした長い脚を見せつける姿がイメージできてしまって、その彼女が山本さんに迫るとか想像したら、気分が悪くなった。
 山本さんは、もともと結婚までして、お子さんまで作ったんだもの。小島さんが本気で誘ったりしたら、簡単に彼女のほうに心が動いてしまうんじゃないか。
 そうとしか考えられなくなっていた。

「パーティの時に、イブの予定も抑えちゃおうかと思って」

 僕は立っていられずに、しゃがみ込む。小島さんと腕を組んで歩いている山本さんの姿が容易に思い浮かべることができてしまうことに、僕は絶望的な気分になってしまう。
 彼女みたいに真正面からぶつかってきたら、山本さんだって悪い気はしないと思う。それに、彼女は綺麗なほうだと思うし、普通の男なら、悪い気はしない……と、思う。
 そんなことばかりを考えてた僕は、相当、ひどい顔をしていたのだろうか。あと1時間もすれば閉店で忙しい時間帯だというのに、店長の矢島さんが、ちょっと休憩してきな、と声をかけてくれた。

「え、いえ、大丈夫です」
「いや、今、ここで倒れられたら困るし。本番は、この週末なの。濱田くん、もうちょっと頑張ってもらわないと、こっちが困るの。だから、今は、休んで」

 矢島さんが、まるで野良猫でも追い払うかのように、シッシッ、なんて右手で僕を追い払うから、素直にフロアから離れて、事務所に戻ると、パイプ椅子に座り込んだ。
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