先輩、いわくつきです!

コノハズク

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俺に休日はないんですか!?(前編)

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今日は待ちに待った日曜日。子供達を遊園地に連れて行く約束だ。
ああ、久しぶりの家族の団欒。俺は前から予約していた遊園地のチケットを眺めてニンマリしていた。
「るな、月斗の荷物見てやってくれよ。」
「はーい!」
るなは弾んだような声で返事をし、甲斐甲斐しく弟の月斗の世話をしている。
こんな日は、子供は勿論親である俺までわくわくしてきてしまう。
「妙子、準備できたか?」
妻の部屋に声をかける。
いつもなら明るい返事が返ってくるのだが、この日は違った。
「…。」
「ん?妙子?」
返事がない。
俺は彼女の部屋の戸をノックしてみた。
「妙子?入るぞ?」
そっと戸を引くと、何と床に妙子が倒れていた。
「うっ、うわあああっ!妙子~っ!」
慌てて駆け寄り、その肩を揺さぶる。
「妙子、どうした!?事件か、事故か、はたまた呪いか!!」
その時、彼女がうっすらと目を開けた。
「…ん、雄ちゃん?」
「ああっ、た、妙子!良かった…!」
俺は胸を撫で下ろした。
「一体どうしたんだ、こんなところに倒れて?」
「ごめんなさい…。ちょっと疲れが出たみたい。目眩がしただけよ。」
「えぇっ!?だ、大丈夫か、そんな調子で出掛けたりして。」
「大丈夫…。」
言いながら立ち上がろうとして、彼女はまたよろめいた。
「おい、無理するなよ…。遊園地ならまた来週連れて行ってやればいいだろ?」
「えー、遊園地行けないのー?」
後ろを振り返ると、るなと月斗が心配そうにこちらを見上げていた。
「連れてってくれるって言ってたじゃん。」
「えー…。仕方ないだろ、ママが具合悪いんだから。」
二人の子供の目にみるみるうちに涙が溜まった。やべ。
次の瞬間、家の中には子供達の泣き声の大合唱が響いた。
「やだやだー、今日行くのー!」
「行きたい行きたいー!」
仕方ない、ここはひとつ父親らしく叱るか…。
「こら!あんまり聞き分けがないとパパも怒るぞ!」
子供達は一瞬押し黙り…。
そして今までの倍の声量で泣き出した!
「わ~ん、パパがキバ剥いた~!!」
「わ~ん、パパの顔恐いよ~!!」
「え、あ…。」
状況悪化。
「あなた、もういいわよ。」
「妙子…。」
妙子は微笑んで、二人の子供を抱き寄せた。
「折角のお休みなんだから、楽しんで来なさいよ。帰ってきたら、ママにいっぱいお話聞かせてね?」
「はーい!」
「ママありがとう!」
む…。
「で、でもさ。そんな事したらお前の分のチケット余っちゃうぞ?勿体ないだろ?」
「誰か、会社の知り合いの方いないの?皆川さんとか、私の代わりに行ってくれないかしら?」
「ああ…。」
皆川さんは何度か家に来た事があり、子供とも妻とも面識がある。浮気なんてしないという絶対の信頼を置かれているのだ。
「でも、今日だなんて。急すぎて迷惑かしら?」
「それなら先輩に頼むか?先輩ならいつも暇してるぞ。」
すると妙子の表情が凍りついた。
「えっ…。先輩ってもしかして和歌歩さん?」
「え、そうだけど。ダメかな?」
「ダメダメっ、絶対ダメっ!!それだったら私が這ってでも一緒に行くわ!」
「そ、そう…。」
この間先輩がうちに来た時といい、今回といい…。因縁でもあるのか、先輩と。
「…まあいいや。ちょっと皆川さんに連絡してみる。」
「お願いね。」
俺は携帯を取り出し、皆川さんの番号をダイヤルした。
何度かコール音が鳴ると、眠そうな声の皆川さんが出た。
「はぁい、私だけど…。どうしたの?」
「あ、皆川さん。朝早くごめんなさい。」
俺は事のあらましを説明した。
「あら、大丈夫なの?奥さん。」
「本人は少し寝れば治るって。そういう訳で…。皆川さん、妙子の抜けた穴に入ってくれませんか?」
電話の向こうで笑い声が聞こえた。
「今日は元々暇だったし、丁度良かったわ。」
「そうですか!良かった。」
彼女とは駅で待ち合わせる事になった。
俺は子供達を連れて、待ち合わせ場所へ向かった。

「棗お姉ちゃん、遅いね。」
「そうだねー。パパ、棗お姉ちゃんいつ来るの?」
「うーん、もうちょっと待とうな。もうすぐだから。」
待ち合わせ時間を十分過ぎている。普段、決め事にはきっちり従う彼女にしては珍しい事だ。
連絡してみようと携帯を取り出した時、前方からショートヘアの女性が走ってくるのが見えた。
「ん、あれは…。皆川さんだ!」
「ごめーん、身支度に手間取っちゃってー!」
彼女は俺の目の前まで駆け寄ってくると、こちらを見上げて微笑んだ。
「良かった、今丁度電話しようと思ってたところなんです。」
「本当にごめんね、メークに気合い入れてたら待ち合わせ時間の五分前だったの。」
「皆川さんなら化粧なんかしなくても、十分綺麗なのにな。」
実際彼女は、はっきりとした顔立ちの美人だ。目尻が少々吊り気味だが、そこがまた大人っぽいと人気だ。
「お世辞はよしてよ。それより、早く遊園地行きましょうよ!るなちゃんも月斗君も待ちきれないでしょ?」
「うん!」
「早く行こー!」
子供達が皆川さんの手を引いて、駅へ走っていく。
皆川さんはこちらを振り向いた。
「大神さーん、行きましょう!」
「ん…。あ、はい!」
俺は彼女らを追って、小走りに駅の中に入った。

電車に揺られながら、俺と皆川さんは他愛もない話で盛り上がっていた。
「あはは、やだー!そうなの?」
「ええ、もう困っちゃいますよ…。」
皆川さんと遠出するのは初めての事で、何を話せばいいのか分からなかったが割合順調な滑り出しだ。
「棗お姉ちゃん、見て見て!」
るなが皆川さんの服の裾を引く。
「ん?…あら!大神さん、見てよ!」
「え?」
皆川さんが指差す先には、大きな観覧車。
「あ、もう少しですね!」
「楽しみだねー、パパ!」
月斗が俺の胸に飛びついた。
「そうだなー。よしよし。」
電車が止まった。
「行きましょう!」
皆川さんは子供達に手を引かれながら振り返り、微笑んだ。
…あれ、みんな荷物置きっぱなし…。
なるほど、俺は荷物持ちだな?
「大神さん!何してるの、早く!」
「…あ、はい!」
俺は全員分の荷物を持って、電車を駆け下りた。

「わぁー!凄い!」
「コーヒーカップ乗るー!」
「やだ、すごく久し振りだわ!遊園地なんて。」
はしゃぐ2人の子供と1人の大人。こんな皆川さん見た事ないな。
「じゃあ、どこ行きます?」
「ジェットコースター!」
「コーヒーカップ!」
「お化け屋敷!…あっ」
子供達に釣られてノリノリのリクエストをした皆川さんは、俺の視線に気づいて恥ずかしそうに俯いた。
「あ、ごめんなさい…。」
「いや、いいんですよ。な。」
「うん!」
「後で行こー!」
子供達は元気良く頷いた。
「あら…。」
皆川さんは照れたように笑った。俺もそれに応えて微笑み返す。
「そういう事です。じゃ、最初はリクエストの早かったジェットコースターにしましょうか…。」
「わーい!」
るなは月斗と戯れながら、ジェットコースターに向かって走り出した。
「こらこら、ちゃんと前見て走れよ…。」
「分かってるー!」
こちらを振り向いて、るなは言った。その進路上に、大きな影が!
「わ、るな!ぶつかる、前見ろ!」
「え?…きゃっ!」
ばふっ、というにぶい音と共に、るなは影にめり込んだ。
「るな、大丈夫か!?」
「う、うん…。」
俺はるながめり込んだものを見た。
それはミミズクをモチーフにしたようなキャラクターの着ぐるみらしかった。眼鏡にネクタイ、三頭身。中々かわいいな。
「あ、す、すみません。うちの子が…。」
ミミズクは大きく頷くと、るなと月斗の頭を優しく撫でた。
「ふわふわ!」
「ふわふわ!」
子供達はミミズクに抱きついた。
「あの…。私もいい?」
皆川さんが小首を傾げてちょっと手を広げた。
ミミズクは一瞬怯んだ様子を見せたが、かぶりを振ってすぐ手を広げた。
「わあ。こういうの初めて。」
皆川さんはミミズクをぎゅっと抱き締めた。
「きゃー、かわいい!ありがと!」
あんなクールビューティーな見た目してるのに、こんな一面があるとは。こういうのをギャップ萌えって言うのかな。
ミミズクは今度は俺に向かって手招きしてきた。
「え?俺ですか?」
ミミズクは頷いた。
「い、いやー、照れるなぁ~!」
頭を掻いて数歩進むと、いきなり襟ぐりを掴まれた。
「ぐ!?」
「大神君…!」
「はっ!?」
ミミズクが聞き覚えのある声で、囁いた。
「せっ…。先輩ぃ!?」
「しっ!声が大きいですよ!」
俺は皆川さん達を振り返り、恐らく強張っているであろう笑顔で言った。
「ご、ごめんなさい!俺、ちょっとこのミミズクさんと話があるんです!子供達、お願いします!」
「え?ええ…。」
皆川さんが頷いたのを確認して、俺はミミズク…先輩の後をついていった。

「君…。なぜこんなところに。」
遊園地の裏側、キャラクターの楽屋のような部屋で俺はミミズク姿の先輩と対峙していた。
「それはこっちの台詞です!しかもそんな格好で。」
「これはこの遊園地の人気キャラの、『アフリカオオコノハズクのコノ太郎』ですよ。」
「知りませんよそんなキャラ!てか何でそれ脱がないんですか!?」
「失礼な!コノ太郎に脱ぐとかそういう概念はないんですよ!」
「何変な所で設定守ってるんですかっ!」
折角の休みだったのに…。
俺は深くため息をついた。
「で…先輩。なんでこんな所で着ぐるみ着てるんですか?」
「先輩じゃありません。コノ太郎です。それに着ぐるみじゃありません。中身とかありませんから。」
…。
「はいはい。じゃあコノ太郎さん。コノ太郎さんはここで何をしてるんですか?」
先ぱ…いや、コノ太郎さんは眼鏡に手をやった。口調もそのままだし、なんか普通に先輩に見えてきた。かわいくねぇ…。
「この遊園地にあるという、呪われた着ぐるみを探しに潜入しているんです。」
「呪われた…着ぐるみ?」
コノ太郎さんは頷いた。
「昔、夏の暑い日にその中に入っていた方が熱中症で亡くなったそうなんです。それでその亡くなった方の無念が着ぐるみに取り憑いて、この遊園地に祟りをもたらしていると。」
「へえ…。」
…てか自分以外のキャラは着ぐるみって言っちゃうんだ。中身とか。
「それはつまり…。いわくつきですか?」
「まあ、そうですね。」
せ…コノ太郎さんはくくっと笑った。
「…馬鹿ですねぇ、ぬいぐるみなんかの中に入ったまま死ぬなんて。私は絶対嫌ですね、ぬいぐるみの中で最期を迎えるなんて。」
ク、クズだ!最低だ!
しかもそれを着ぐるみ着て言っちゃう!?
「とにかく、この遊園地は危険です。一刻も早く帰りなさい。」
「えぇーっ!?む、無理ですよ!子供達が楽しみにしてたんです、今日の遊園地を!そのために皆川さんにも迷惑かけちゃって…。」
するとコノ太郎さんは首を傾げた。
「え?浮気じゃなかったんですか?」
「はあ!?違いますよ!妻が過労で倒れて、代わりに皆川さんを誘ったんです!妻公認です!だから今日は絶対帰れないんですっ!」
フーッと唸ってみせると、コノ太郎さんはやれやれといった様子で頷いた。
「…分かりました。そこまで言うなら私がエスコートしましょう。」
「え?エスコート?」
コノ太郎さんはぴょこんと頭を下げた。
恐らく中では斜め45度の礼をしているのだろうが、三頭身のためそうは見えないな。
「その代わり、事情を知る君には私の手伝いをしていただきますからね。」
「手伝い?」
「はい。君は狼男なんですから、化け物系には強いでしょう。万が一何かが襲ってきたら君が戦えばいいんですし。」
「あまり狼男って言わないでください…。」
結構気にしてるんだぞ!
「はいはい。早いとこ遊園地回って帰ってください。」
全く…。こんな投げやりでいいのか、コノ太郎。
打ち合わせを終え、俺達は楽屋を出た。

「すみません、遅くなって!」
「パパ遅~い!」
「遅~い!」
「何してたの大神さん…あら?」
皆川さんは俺の後ろのコノ太郎さんを見つけて、首を傾げた。
「なんでその子も一緒なの?」
「あー、えっと…。」
な、何て言おう…。
迷っていると、コノ太郎が俺の耳に頭をくっつけてきた。
「コノ太郎が特別に遊園地の中を案内しちゃうよー。」
「それを何の抑揚もなく言わないでくださいよ…。怖いですって。」
訝しげにこちらを見つめる皆川さんに、俺は説明した。
「えっと…。コ、コノ太郎さんがこれも何かの縁だって言って、特別に遊園地の中を案内してくれるそうですよ。」
「わー、本当?」
「わーい、やったー!」
子供達はコノ太郎さんに飛びついた。
あ、あの中には先輩が…。皆川さんも抱きついてたけど、中身を教えたらきっと卒倒するだろうからやめとこ。
「大神さん…。」
「え、何ですか?」
皆川さんは俺の耳に口を寄せた。
「もしかして、コノ太郎君の事脅した?」
「は!?」
「え、だって!」
皆川さんは髪を手でバサバサッと乱し、ちょっと顔を険しくした。
「何うちの子の通り道にぼさっと立っとんじゃ、コラ!」
「え、それってもしかして俺のモノマネですか?」
皆川さんは髪を直しながら頷いた。
「そうよ。似てるでしょ。」
いや…。似てないし。
「今の感じでコノ太郎君脅して、特別待遇にしてもらったの?」
「お、俺がそんな事するような奴に見えますか!?」
「えー、だってゴツいし、強面だし。」
「いくらゴツくて顔が恐くても、そんな事しませんよ!」
むっとして言い返すと、皆川さんはくすくすと笑った。
「ムキになっちゃって、かーわい。」
「か、かわいいって何ですか!怒りますよ?」
「大神さんが怒っても恐くなさそうだもん。」
するとそれを聞いていたるなと月斗が振り返り、皆川さんに言った。
「棗お姉ちゃん、パパ怒ると恐いよー?」
皆川さんは首を傾げた。
「え?そうなの?」
「そうだよー!」
月斗は髪を手で乱し、顔を険しくした。
…俺のモノマネって言ったらみんなこれなのか?
「こんな感じで、がおー!って!」
「そうそう!」
るなも歯を剥き出して、手を頭の上で立てた。
「こんなんで、がるるるる!って!」
もしかして…オオカミに見立ててるのか!?
「こ、こら!るな、月斗。パパはそんなんじゃないだろ?」
慌てて子供達を宥めるが、二人は顔を見合わせて言った。
「えー、そっくりだよ?」
「うんうん。」
焦りながら、コノ太郎に視線で助けを求めるが、彼は出来ていない腕組み…、丁度羽でお腹を抱えるようにしてこちらを見下ろしていた。
ああ…。あの中で冷笑を浮かべる先輩の顔が見える気がする。
だが幸運なことに、皆川さんは子供達のジェスチャーを別の意味に取ったらしかった。
「あー、鬼みたいに恐いって事ね。確かに普段大人しい人って怒ると恐いわよね。」
「え…。あ、ああ、そうなんです!やっぱり子供はしっかり叱らないと。」
「ま、そうよね。いくら大神さんでも怒ったら恐いわよね。」
良かった、どうやら納得してくれたようだ。
「じゃ、行きましょう!」
皆川さんは俺の手をとり、ジェットコースターへと引っ張った。
「わ、み、皆川さん力強いですね…。」
まあ、たまにはこういうのもいいか。
俺は彼女に引きずられるようにして、ジェットコースターへと走った。
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