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persona non grate
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【マテンド村 礼拝堂】
【沢山の『ヒトのカタチ』をした機械遣が2人に襲いかかってくる】
アルマ:「とやあ!!」
ロサ:「お前達に救いなど無い」
アルマ:「頭だけを殴るなんてッ……面倒だ!」
ロサ:「重要な情報源なんです。体は大破させないでください」
アルマ:「分かってる!だから一体ずつ!」
ロサ:「ん?……ッ!」
【獣人━━アルマの背後にいる敵を黒色十字剣で、首を刎ねた】
アルマ:「余計なことをッ!」
ロサ:「であれば、さっさと終わらせてください」
アルマ:「がーうー!」
(間)
ロサ:「……沈黙!」
アルマ:「ふーー、カラダがアツい!」
ロサ:「お疲れ様でした。今から黒色十字に……」
【何かに気づく】
ロサ:「……ッ!危ない!!」
アルマ:「うわっ!」
【どかーん!】
【礼拝堂全体を軋ませるほどの大爆発】
ロサ:「間一髪でしたね」
アルマ:「おい、マント……爆風でボロボロじゃねーか」
ロサ:「2人とも無事で良かった。背に腹は変えられませんよ」
アルマ:「感謝の言葉なんて、言わねーからな」
ロサ:「はい。それで結構」
アルマ:「自由の条件だからな」
ロサ:「アルマは私の護衛でしょう」
アルマ:「ちぇっ!はいはい!どーーせ、捨て駒の獣人ですよ!」
ロサ:「もし、村からの帰り道で何者かに襲われた時、君がいないと私は死ぬ」
アルマ:「本当は強いくせに」
ロサ:「私は人に暴力を振るいません」
ロサ:「機械遣は人じゃ無いので……あっ」
アルマ:「次はなんだよ!………あっ」
ロサ:「爆発で情報源が木っ端微塵に……」
アルマ:「俺の努力がぁあ……」
【列車の中】
ロサ:「爆発の規模、大きかったですね」
アルマ:「偶然、胴が1つでも無事に手に入れられたんだ。結果オーライじゃん」
ロサ:「アルマ、膝が擦りむけてるじゃないですか」
アルマ:「この程度なんとも」
ロサ:「いいから、見せなさい。動かないでくださいね」
アルマ:「やッ…やめろ!」
ロサ:「小さな傷でも、それが命取りになることもあるんですよ」
アルマ:「へいへい」
ロサ:「「「治りたまえ」」」
アルマ:「言霊の祝福って、1日に何度も使えないんだろ?」
ロサ:「出し惜しみしても、意味がないでしょ。そんなに便利なモノでもありませんから」
アルマ:「そういうものかよ」
ロサ:「そういうものですよ」
アルマ:「ふーーん」
ロサ:「先ほどの村は酷かったですね」
(間)
【ロサは遠くを見ながら、気づかれないように表情を歪ませた】
ロサ:「天からの神託なんて、機械神による体のイイ隷属者の選別でしかないだろうに」
アルマ:「田舎じゃ信じられてるんだろ?」
ロサ:「ごく少数ではありますがね」
アルマ:「自分たちの村が、脳の一部を機械に取り替える実験場にされても気づかないで」
ロサ:「純粋無垢な村人たち……か」
【回想】
ロサ:(M)音を立てず崩れていく、人々の骸が村の異様さを物語っていた。
アルマ:「クチャい」
ロサ:「神託を理由に、脳を弄られた結果がこれか」
アルマ:「死体なんて飽きるほど見てきたけど、全員同じタイミングで絶命してるわ」
ロサ:(M)口腔、目、鼻、耳。頭部の穴という穴から、血液が漏れ出ている。
(少しの間)
ロサ:「脳に埋められたパーツが、魔術信号に反応してオーバーヒートを起こした……」
(間)
アルマ:「動いている」
ロサ:「礼拝堂ですか」
アルマ:「ハグルマが回る音」
ロサ:「数は?」
アルマ:「たくさん」
ロサ:「抽象的ですね」
アルマ:「しょうがねーだろ」
ロサ:「アルマが倒せる数なら、問題ありません」
アルマ:「俺なら余裕だね」
ロサ:「じゃあ、行きましょうか」
アルマ:「ほいさっさーー」
ロサ:「あっ。頭以外は、攻撃しないでくださいね。機械遣の重要な情報は首から下にあるので」
アルマ:「うわっ、面倒くさッ!」
ロサ:(M)死体の山を見て、感傷的にならないワケじゃない。
ロサ:(M)だからこそ、少しでも早く彼らを埋葬しないと。
【回想終了】
アルマ:「全部スクラップにしてやったけどナ」
ロサ:「またよろしくお願いしますね」
アルマ:「次の街で、祝杯だな!肉を食わせろ!」
(間)
ロサ:「はいはい」
アルマ:「やったぜ!」
【田舎町クティノス】
アルマ:「酒場にレッツラゴー!」
ロサ:「もう少し待ってください。この町にいるはずなので……」
アルマ:「あーーーー、はいはい。報告ね。いってらーー」
【ロサと同じ外套を身に付けた者が近づいてくる】
ロサ:「これです。残念ながら、胴のみしか回収できませんでした」
【会話相手は、無言のまま軽く頷き機械遣の胴を受け取った。その流れで、ロサのボロボロの外套を指差した】
ロサ:「外套は、その時に爆発に巻き込まれてしまいまして」
【『…………』ゴソゴソ。新品の外套がバサリ!!】
アルマ:「おい!どこからアイツ外套出したんだ!!ポケットからか!?」
ロサ:「アルマ、あまり大きな声を出さないでください」
(間)
ロサ:「ああ。何か分かったら、教えてくれ」
アルマ:「そんな陰気なマントつけていたら、不審だぞ」
ロサ:「いいんですよ。私にとっては、これくらいの方が……」
アルマ:「そんなことより肉!!!」
ロサ:「隣が宿の歴史が長い店なので、満足してもらえると思いますよ」
【酒場】
アルマ:「ガブガブ」
ロサ:「ゆっくり、よく噛んで食べましょうね」
アルマ:「…………おう」
(間)
アルマ:「次は、どこの村に行くんだよ」
ロサ:「アネモスです」
アルマ:「アネモスって、ソピアーシティの隣だったよな?」
ロサ:「そうですよ。アネモスは、風の心地よい美しい街です」
アルマ:「美味いもんはあるのか?」
ロサ:「トビサカナが美味しいですよ」
アルマ:「肉じゃないのかぁ~」
ロサ:「好き嫌いは……ダメですよ」
アルマ:「別に嫌いなわけじゃねーよ」
ロサ:「きっとアルマも旬のトビサカナを食べると、気にいると思いますよ」
【和かに笑うロサの横顔をアルマはジッと見つめる】
アルマ:「…………」
(間)
【宿の部屋】
アルマ:「おい、ロサ。髪を解かせろ」
ロサ:「…………少しだけですよ」
アルマ:「くし!」
ロサ:「……どうぞ」
【アルマがロサをベットに座らせ、髪を琥珀の櫛で解き始めた。】
アルマ:「本当は、アネモスに行きたくないんじゃないのか?」
ロサ:「…………どうして、そう思うのですか?」
アルマ:「なんとなく」
ロサ:「ちゃんと答えなさい」
(間)
アルマ:「首都『ソピアーシティ』の隣……。魔術聖騎士団が常駐してるだろ。……アイツらのこと嫌いじゃん?」
ロサ:「ふふっ。大嫌いですよ」
アルマ:「他の黒色十字に任せちゃえばいいのによ」
ロサ:「……人手不足なんですかね」
アルマ:(M)ロサがソピアーシティに長く住んでいたから。
ロサ:「私が首都に聳え立つホワイトバベルに所属していた、一翼の賢人だったからだろって?」
アルマ:「そこまでは長々と思ってねーよ」
ロサ:「アルマ……シッ!!」
(間)
アルマ:「…………とお!!」
ロサ:(M)アルマが急に立ち上がり、ベットから跳躍して扉を蹴り飛ばした。
アルマ:「………………気のせいだったか?」
【ロサもアルマの隣まで歩む】
ロサ:「何者かが盗み聞きをしていた………」
アルマ:「……敵か?」
ロサ:「……どうでしょうね」
アルマ:「扉の鍵が壊れた」
ロサ:「アルマが壊したんですよ」
【少しの間】
ロサ:「「「治れ」」」
【砕けた鍵が元に戻る】
アルマ:「便利かよ」
ロサ:「次は何も言わずに、飛び出さないでくださいね」
アルマ:「約束はしない」
ロサ:「私が動くなと言った時は、本当に動かないで欲しい時ですよ」
アルマ:「考えとくぜ」
ロサ:「電気、消しますよ」
アルマ:「おう!」
ロサ:「言霊の……祝福」
ロサ:(M)祝福なんて、神聖なモノじゃない。敵対する意思がないことを、大魔術師セレーナ様に表明する遠隔魔術の1つなのだから。ついでに、位置情報も伝わることになる。
ロサ:(M)「全てを知っているセレーナ様にとっては親切心というか、老婆心のつもりだったのだろう。見た目は全然老婆じゃないけど」
ロサ:(呟くように)「優しさが……逆に重いですよ。有り難くはありますけど」
アルマ:(寝息)「んぐ……ぐぅ」
ロサ:「………布団、蹴らないでください」
アルマ:(寝息)「がーーぅ……」
【ロサがアルマに布団を掛け直した】
ロサ:「おやすみ……アルマ」
【風の都市アネモス】
【2人は壁に突き刺さる口の先端が尖ったトビサカナを見つめる】
ロサ:「……」
アルマ:「……ダーツみたいに刺さってるじゃん」
【アルマがトビサカナをツンツン触っている。強く押すと、反発する】
アルマ:(SE)ツン。ツンツン。グネ。
ロサ:(SE)ビヨーン。
【アルマとロサは顔を見合わせた】
ロサ:「建物に食い込むトビサカナは、引っこ抜いて持ち帰って良いんですよ」
アルマ:(M)全く食欲が湧かない!!
ロサ:「どうしたんですか?」
アルマ:「え?いやーー、うん。生魚とかさぁ、触ったことないんだよな~」
【ロサがトビサカナを1本ずつ引っこ抜いては、袋に包んでいく】
ロサ:「…2、3、4、5、6本。大量ですね」
アルマ:「沢山、取るじゃん!!」
ロサ:「大丈夫ですよ。今年は大群で飛んできたらしいので」
アルマ:「知らねーよ!」
(間)
ロサ:「赤い猫のマークの酒場に持っていってください。知り合いがツケで調理してくれると思います」
アルマ:「ん?ツケ?ロサは一緒に来ないのか?」
ロサ:「2、3本は冷凍保存で残しておいてください……私も食べるので」
【少しの間】
アルマ:(M)俺たちを9人の魔術聖騎士が取り囲む。
ロサ:「何かご用でしょうか?私はただの修道士ですが?」
ロサ:「あっ、もしかして、トビサカナって取っちゃいけませんでしたか?」
アルマ:(M)ロサは物腰こそ柔らかいが、目が笑っていない。
ロサ:「黙っていてください。抵抗もしてはいけません」
アルマ:(M)1人の魔術聖騎士が、ロサに近づき『連行する』と進言してきた。
ロサ:「セレーナ・アンブローズの直接的な命令で、連行するのですか?」
アルマ:(M)ロサの一言で、場の空気が一気に硬直した。
ロサ:「9人いても……所詮は魔術聖騎士2名に、地方魔術師7名ですか。仮に無理解による強行でしたら……粛清しますよ」
【少しの間】
ロサ:「「「さっさと、要件を言いなさい」」」
アルマ:(M)ロサは怒気を込めた。すると、1人の魔術聖騎士がセレーナからの召集である旨を話した。
ロサ:「確かに私は『歓迎されない者』ですが、こんな風に警戒しなくても良いはずですよ。どうせ、魔術聖騎士団のトップの嫌がらせか何かでしょうけれど」
(少しの間)
【ロサ、やれやれと溜息をつく】
ロサ:「申し訳ない。行ってこないとダメなようです。すぐに帰って来れなくなるかもしれません」
アルマ:「…………おい、お前らロサに何かしたら許さねーからな!1人ずつブン殴ってやる!!」
ロサ:「いってきますね」
アルマ:「早く戻って来いよ」
ロサ:「ええ。努力します」
アルマ:(M)ロサの真下の地面が黄金色に輝いて━━ロサは消えた。
アルマ:「……無事に戻って来いよ」
アルマ:(M)ロサの黒い外套を拾い上げて、俺は羽織ってみる。
アルマ:(M)赤い猫の看板を探すか……。早く冷凍しないと、鮮度……ダメになるじゃんか。
【数分後】
アルマ:「記念式典?とにかく人通りが多いな……」
アルマ:「赤い猫、赤い猫…赤い猫?……ここか」
アルマ:(M)店主は俺がロサの名前を出すと、快くトビサカナの料理を振る舞ってくれた。
アルマ:(M)思ったより美味でムカついた。……ロサと一緒に食べたかったな。得意げに笑うロサの顔が思い浮かんで、またムカついた。
【叡智の塔━━ホワイトバベル】
ロサ:「私だけが、ここに転移させられましたか」
ロサ:(M)薄暗い階段。壁にはカラフルな色の絵が額に入れられ飾られている。
ロサ:「「「ロサ・ウェルブムです」」」
ロサ:(M)私以外が高速で動き続ける世界で。巨大な扉の前で。
【扉が音を立て開く】
ロサ:(M)前には貫禄と慈愛が混在した老婆では無く。
(少しの間)
ロサ:(M)元気よく手を振り笑う少女と、黒い服を着た男が隣に立っている。
ロサ:「お久しぶりです。セレーナ様」
(少しの間)
アルマ:(M)俺がロサと再会するのは、3日後。今生の別れ宛らに消えたロサは。何事も無かったかのように、呆気なく帰ってきた。
ロサ:「お待たせしました」
アルマ:「…………おかえり」
ロサ:「心配かけましたか?」
アルマ:「知っていて、あんな表情したよな?」
ロサ:「あははははは」
アルマ:「あはははは……はは。てめえ、このヤロー!」
【アルマがロサにグーパンチ!!】
ロサ:「ぐはへ!」
(間)
アルマ:「トビサカナ食うぞ!」
ロサ:「ちゃんと、私の分も残しておいてくれたんですね」
アルマ:「……食べきれなかっただけだ!」
(少しの間)
ロサ:(M)私は一翼の賢人を追放されたモノとして、偽りの罪過を果たす。
続く
【沢山の『ヒトのカタチ』をした機械遣が2人に襲いかかってくる】
アルマ:「とやあ!!」
ロサ:「お前達に救いなど無い」
アルマ:「頭だけを殴るなんてッ……面倒だ!」
ロサ:「重要な情報源なんです。体は大破させないでください」
アルマ:「分かってる!だから一体ずつ!」
ロサ:「ん?……ッ!」
【獣人━━アルマの背後にいる敵を黒色十字剣で、首を刎ねた】
アルマ:「余計なことをッ!」
ロサ:「であれば、さっさと終わらせてください」
アルマ:「がーうー!」
(間)
ロサ:「……沈黙!」
アルマ:「ふーー、カラダがアツい!」
ロサ:「お疲れ様でした。今から黒色十字に……」
【何かに気づく】
ロサ:「……ッ!危ない!!」
アルマ:「うわっ!」
【どかーん!】
【礼拝堂全体を軋ませるほどの大爆発】
ロサ:「間一髪でしたね」
アルマ:「おい、マント……爆風でボロボロじゃねーか」
ロサ:「2人とも無事で良かった。背に腹は変えられませんよ」
アルマ:「感謝の言葉なんて、言わねーからな」
ロサ:「はい。それで結構」
アルマ:「自由の条件だからな」
ロサ:「アルマは私の護衛でしょう」
アルマ:「ちぇっ!はいはい!どーーせ、捨て駒の獣人ですよ!」
ロサ:「もし、村からの帰り道で何者かに襲われた時、君がいないと私は死ぬ」
アルマ:「本当は強いくせに」
ロサ:「私は人に暴力を振るいません」
ロサ:「機械遣は人じゃ無いので……あっ」
アルマ:「次はなんだよ!………あっ」
ロサ:「爆発で情報源が木っ端微塵に……」
アルマ:「俺の努力がぁあ……」
【列車の中】
ロサ:「爆発の規模、大きかったですね」
アルマ:「偶然、胴が1つでも無事に手に入れられたんだ。結果オーライじゃん」
ロサ:「アルマ、膝が擦りむけてるじゃないですか」
アルマ:「この程度なんとも」
ロサ:「いいから、見せなさい。動かないでくださいね」
アルマ:「やッ…やめろ!」
ロサ:「小さな傷でも、それが命取りになることもあるんですよ」
アルマ:「へいへい」
ロサ:「「「治りたまえ」」」
アルマ:「言霊の祝福って、1日に何度も使えないんだろ?」
ロサ:「出し惜しみしても、意味がないでしょ。そんなに便利なモノでもありませんから」
アルマ:「そういうものかよ」
ロサ:「そういうものですよ」
アルマ:「ふーーん」
ロサ:「先ほどの村は酷かったですね」
(間)
【ロサは遠くを見ながら、気づかれないように表情を歪ませた】
ロサ:「天からの神託なんて、機械神による体のイイ隷属者の選別でしかないだろうに」
アルマ:「田舎じゃ信じられてるんだろ?」
ロサ:「ごく少数ではありますがね」
アルマ:「自分たちの村が、脳の一部を機械に取り替える実験場にされても気づかないで」
ロサ:「純粋無垢な村人たち……か」
【回想】
ロサ:(M)音を立てず崩れていく、人々の骸が村の異様さを物語っていた。
アルマ:「クチャい」
ロサ:「神託を理由に、脳を弄られた結果がこれか」
アルマ:「死体なんて飽きるほど見てきたけど、全員同じタイミングで絶命してるわ」
ロサ:(M)口腔、目、鼻、耳。頭部の穴という穴から、血液が漏れ出ている。
(少しの間)
ロサ:「脳に埋められたパーツが、魔術信号に反応してオーバーヒートを起こした……」
(間)
アルマ:「動いている」
ロサ:「礼拝堂ですか」
アルマ:「ハグルマが回る音」
ロサ:「数は?」
アルマ:「たくさん」
ロサ:「抽象的ですね」
アルマ:「しょうがねーだろ」
ロサ:「アルマが倒せる数なら、問題ありません」
アルマ:「俺なら余裕だね」
ロサ:「じゃあ、行きましょうか」
アルマ:「ほいさっさーー」
ロサ:「あっ。頭以外は、攻撃しないでくださいね。機械遣の重要な情報は首から下にあるので」
アルマ:「うわっ、面倒くさッ!」
ロサ:(M)死体の山を見て、感傷的にならないワケじゃない。
ロサ:(M)だからこそ、少しでも早く彼らを埋葬しないと。
【回想終了】
アルマ:「全部スクラップにしてやったけどナ」
ロサ:「またよろしくお願いしますね」
アルマ:「次の街で、祝杯だな!肉を食わせろ!」
(間)
ロサ:「はいはい」
アルマ:「やったぜ!」
【田舎町クティノス】
アルマ:「酒場にレッツラゴー!」
ロサ:「もう少し待ってください。この町にいるはずなので……」
アルマ:「あーーーー、はいはい。報告ね。いってらーー」
【ロサと同じ外套を身に付けた者が近づいてくる】
ロサ:「これです。残念ながら、胴のみしか回収できませんでした」
【会話相手は、無言のまま軽く頷き機械遣の胴を受け取った。その流れで、ロサのボロボロの外套を指差した】
ロサ:「外套は、その時に爆発に巻き込まれてしまいまして」
【『…………』ゴソゴソ。新品の外套がバサリ!!】
アルマ:「おい!どこからアイツ外套出したんだ!!ポケットからか!?」
ロサ:「アルマ、あまり大きな声を出さないでください」
(間)
ロサ:「ああ。何か分かったら、教えてくれ」
アルマ:「そんな陰気なマントつけていたら、不審だぞ」
ロサ:「いいんですよ。私にとっては、これくらいの方が……」
アルマ:「そんなことより肉!!!」
ロサ:「隣が宿の歴史が長い店なので、満足してもらえると思いますよ」
【酒場】
アルマ:「ガブガブ」
ロサ:「ゆっくり、よく噛んで食べましょうね」
アルマ:「…………おう」
(間)
アルマ:「次は、どこの村に行くんだよ」
ロサ:「アネモスです」
アルマ:「アネモスって、ソピアーシティの隣だったよな?」
ロサ:「そうですよ。アネモスは、風の心地よい美しい街です」
アルマ:「美味いもんはあるのか?」
ロサ:「トビサカナが美味しいですよ」
アルマ:「肉じゃないのかぁ~」
ロサ:「好き嫌いは……ダメですよ」
アルマ:「別に嫌いなわけじゃねーよ」
ロサ:「きっとアルマも旬のトビサカナを食べると、気にいると思いますよ」
【和かに笑うロサの横顔をアルマはジッと見つめる】
アルマ:「…………」
(間)
【宿の部屋】
アルマ:「おい、ロサ。髪を解かせろ」
ロサ:「…………少しだけですよ」
アルマ:「くし!」
ロサ:「……どうぞ」
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ロサ:「…………どうして、そう思うのですか?」
アルマ:「なんとなく」
ロサ:「ちゃんと答えなさい」
(間)
アルマ:「首都『ソピアーシティ』の隣……。魔術聖騎士団が常駐してるだろ。……アイツらのこと嫌いじゃん?」
ロサ:「ふふっ。大嫌いですよ」
アルマ:「他の黒色十字に任せちゃえばいいのによ」
ロサ:「……人手不足なんですかね」
アルマ:(M)ロサがソピアーシティに長く住んでいたから。
ロサ:「私が首都に聳え立つホワイトバベルに所属していた、一翼の賢人だったからだろって?」
アルマ:「そこまでは長々と思ってねーよ」
ロサ:「アルマ……シッ!!」
(間)
アルマ:「…………とお!!」
ロサ:(M)アルマが急に立ち上がり、ベットから跳躍して扉を蹴り飛ばした。
アルマ:「………………気のせいだったか?」
【ロサもアルマの隣まで歩む】
ロサ:「何者かが盗み聞きをしていた………」
アルマ:「……敵か?」
ロサ:「……どうでしょうね」
アルマ:「扉の鍵が壊れた」
ロサ:「アルマが壊したんですよ」
【少しの間】
ロサ:「「「治れ」」」
【砕けた鍵が元に戻る】
アルマ:「便利かよ」
ロサ:「次は何も言わずに、飛び出さないでくださいね」
アルマ:「約束はしない」
ロサ:「私が動くなと言った時は、本当に動かないで欲しい時ですよ」
アルマ:「考えとくぜ」
ロサ:「電気、消しますよ」
アルマ:「おう!」
ロサ:「言霊の……祝福」
ロサ:(M)祝福なんて、神聖なモノじゃない。敵対する意思がないことを、大魔術師セレーナ様に表明する遠隔魔術の1つなのだから。ついでに、位置情報も伝わることになる。
ロサ:(M)「全てを知っているセレーナ様にとっては親切心というか、老婆心のつもりだったのだろう。見た目は全然老婆じゃないけど」
ロサ:(呟くように)「優しさが……逆に重いですよ。有り難くはありますけど」
アルマ:(寝息)「んぐ……ぐぅ」
ロサ:「………布団、蹴らないでください」
アルマ:(寝息)「がーーぅ……」
【ロサがアルマに布団を掛け直した】
ロサ:「おやすみ……アルマ」
【風の都市アネモス】
【2人は壁に突き刺さる口の先端が尖ったトビサカナを見つめる】
ロサ:「……」
アルマ:「……ダーツみたいに刺さってるじゃん」
【アルマがトビサカナをツンツン触っている。強く押すと、反発する】
アルマ:(SE)ツン。ツンツン。グネ。
ロサ:(SE)ビヨーン。
【アルマとロサは顔を見合わせた】
ロサ:「建物に食い込むトビサカナは、引っこ抜いて持ち帰って良いんですよ」
アルマ:(M)全く食欲が湧かない!!
ロサ:「どうしたんですか?」
アルマ:「え?いやーー、うん。生魚とかさぁ、触ったことないんだよな~」
【ロサがトビサカナを1本ずつ引っこ抜いては、袋に包んでいく】
ロサ:「…2、3、4、5、6本。大量ですね」
アルマ:「沢山、取るじゃん!!」
ロサ:「大丈夫ですよ。今年は大群で飛んできたらしいので」
アルマ:「知らねーよ!」
(間)
ロサ:「赤い猫のマークの酒場に持っていってください。知り合いがツケで調理してくれると思います」
アルマ:「ん?ツケ?ロサは一緒に来ないのか?」
ロサ:「2、3本は冷凍保存で残しておいてください……私も食べるので」
【少しの間】
アルマ:(M)俺たちを9人の魔術聖騎士が取り囲む。
ロサ:「何かご用でしょうか?私はただの修道士ですが?」
ロサ:「あっ、もしかして、トビサカナって取っちゃいけませんでしたか?」
アルマ:(M)ロサは物腰こそ柔らかいが、目が笑っていない。
ロサ:「黙っていてください。抵抗もしてはいけません」
アルマ:(M)1人の魔術聖騎士が、ロサに近づき『連行する』と進言してきた。
ロサ:「セレーナ・アンブローズの直接的な命令で、連行するのですか?」
アルマ:(M)ロサの一言で、場の空気が一気に硬直した。
ロサ:「9人いても……所詮は魔術聖騎士2名に、地方魔術師7名ですか。仮に無理解による強行でしたら……粛清しますよ」
【少しの間】
ロサ:「「「さっさと、要件を言いなさい」」」
アルマ:(M)ロサは怒気を込めた。すると、1人の魔術聖騎士がセレーナからの召集である旨を話した。
ロサ:「確かに私は『歓迎されない者』ですが、こんな風に警戒しなくても良いはずですよ。どうせ、魔術聖騎士団のトップの嫌がらせか何かでしょうけれど」
(少しの間)
【ロサ、やれやれと溜息をつく】
ロサ:「申し訳ない。行ってこないとダメなようです。すぐに帰って来れなくなるかもしれません」
アルマ:「…………おい、お前らロサに何かしたら許さねーからな!1人ずつブン殴ってやる!!」
ロサ:「いってきますね」
アルマ:「早く戻って来いよ」
ロサ:「ええ。努力します」
アルマ:(M)ロサの真下の地面が黄金色に輝いて━━ロサは消えた。
アルマ:「……無事に戻って来いよ」
アルマ:(M)ロサの黒い外套を拾い上げて、俺は羽織ってみる。
アルマ:(M)赤い猫の看板を探すか……。早く冷凍しないと、鮮度……ダメになるじゃんか。
【数分後】
アルマ:「記念式典?とにかく人通りが多いな……」
アルマ:「赤い猫、赤い猫…赤い猫?……ここか」
アルマ:(M)店主は俺がロサの名前を出すと、快くトビサカナの料理を振る舞ってくれた。
アルマ:(M)思ったより美味でムカついた。……ロサと一緒に食べたかったな。得意げに笑うロサの顔が思い浮かんで、またムカついた。
【叡智の塔━━ホワイトバベル】
ロサ:「私だけが、ここに転移させられましたか」
ロサ:(M)薄暗い階段。壁にはカラフルな色の絵が額に入れられ飾られている。
ロサ:「「「ロサ・ウェルブムです」」」
ロサ:(M)私以外が高速で動き続ける世界で。巨大な扉の前で。
【扉が音を立て開く】
ロサ:(M)前には貫禄と慈愛が混在した老婆では無く。
(少しの間)
ロサ:(M)元気よく手を振り笑う少女と、黒い服を着た男が隣に立っている。
ロサ:「お久しぶりです。セレーナ様」
(少しの間)
アルマ:(M)俺がロサと再会するのは、3日後。今生の別れ宛らに消えたロサは。何事も無かったかのように、呆気なく帰ってきた。
ロサ:「お待たせしました」
アルマ:「…………おかえり」
ロサ:「心配かけましたか?」
アルマ:「知っていて、あんな表情したよな?」
ロサ:「あははははは」
アルマ:「あはははは……はは。てめえ、このヤロー!」
【アルマがロサにグーパンチ!!】
ロサ:「ぐはへ!」
(間)
アルマ:「トビサカナ食うぞ!」
ロサ:「ちゃんと、私の分も残しておいてくれたんですね」
アルマ:「……食べきれなかっただけだ!」
(少しの間)
ロサ:(M)私は一翼の賢人を追放されたモノとして、偽りの罪過を果たす。
続く
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