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表と裏と…
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学校での虐めは、ますますエスカレートしていった。
「ほら、飲めよ。ただの牛乳じゃねーか」
「何も入ってないって、なぁ?」
縣君や一ノ瀬らが、私を取り囲む男子や女子に同意を求める。
「そんなに疑うなら、私飲もうか?」
河合さんが、ヒョイッと牛乳を手に取ると、一気に飲み始めて、
「ねっ、なんともないでしょ?」
笑いながら言ったけど、私の机には、クラスの半分…20本。
(1本河合さんが飲んだし、1本は自分の)
「飲まないなら、また俺らが飲ませてやろうか?」
田中君がニヤニヤ笑いながら、私を見た。
「飲む…から。離れてて」
1本の牛乳を手に取ると、ゴクゴク喉を鳴らしながら飲み始めた。
「飲ーめ!」
「飲ーめ!」
次々と人が周りに集まり、はやし立てる。
1本のみ終わると、開けられた牛乳が私の目の前に差し出され、次々と飲んでいく。
(気持ち悪い…)
ゴホッ…
むせかえるような咳をしても、彼らの攻撃はやむことはなく、とうとう服まで牛乳だ
らけになってしまった。
「きったねーな!おい」
「ご愁傷さま」
「バカみたい。あ、馬鹿だったわ」
散々言われても、飲み続けた結果…
グエッ…ゲボッ…
教室の中で吐きまくって、
「きったねー!」
「エンガチョー」
牛乳の池で、頭からけられたり、蹴られたり…
挙げ句には、
「おい、こっちこいよ」
校舎裏で水を強かに掛けられ、全身ビチョビチョになった。
「ん?なんか変な匂いしないか?」
五時間目の授業の時に、谷中先生が鼻を鳴らしながら言った。
「先生。倉科が牛乳溢したんだよ」
と誰かが言った。
「牛乳か。あれは臭くなるからな。おい、倉科。罰としてお前教室の掃除一人でやれ」
「……。」
(溢したには、溢したけど…。いっそ、先生に言ったら助けてくれるかな?)
放課後になって、
「いやっ…やめて…」
教室の中で、後ろに下がる私を追い込むように一ノ瀬君と田中君が近づいてくる。
逃げようと思えば逃げれるけど、田中さんや綾香ちゃんたちがニヤニヤ笑いながら他
の男子と二つの出入り口を塞いでいる。
「だーいじょうぶだって!なぁ、なんもしないから」
「あぁ、掃除してるお前を眺めたいだけだから…」
(そんなの嘘に決まってる。じゃ、どうして一ノ瀬君は、ハサミを持ってるの?)
私が、一ノ瀬君が手にしているハサミをジッと見ているのがわかったのか、
「あぁ、これ?そのヒラヒラは掃除してる時、邪魔かなっと思ってね。切ってあげようと思って…」
一ノ瀬君が、横にいる近藤君に合図を送ると、私は身体を締め付けられ、身動きが取れなくなった。
「やっ…やめて…」
何度もお願いしたけど、やめるどころかキョキジョキとハサミが笑いながら、私の着衣を切り刻んでいく。
「おぉっ!」
「すっげ!」
「大胆!」
男子の声にクスクスと笑う綾香ちゃん達。
(どうして?どうして、こんなことするの?)
「なぁ、これ邪魔だよな?」
ニヤニヤ笑いながら、ハサミの先で私のブラをつつく。
「邪魔だなー!取っちゃえ!取っちゃえ!」
「やっ…めてっ!おねっ…あっ!」
プツンッと小さな音を立て、ブラが切られ胸が露わになった。
「じゃ、掃除な。俺ら、見ててあげるからさ。フフッ」
「……。」
結局、私は胸を隠しつつ、ショーツ1枚の姿で教室を掃除し、体操服を着てなんとか帰る事が出来た。
(もうやだっ!先生に言ってやる!)
家に帰った時は、幸いにも誰もおらず、ザクザクに切られた服をコッソリゴミ箱に捨て、思いっきり
泣いた。
次の日、私は昼休みに用事があって職員室に行った。
「どうした?」
谷中先生は、テストの採点をしていて、チラッと私をみて、またテストへと戻る。
「あの…先生…」
言おうとした。いじめの事…けど…
「あー、こんなとこにいたぁ!」
少し高い声を上げて神田さんが一ノ瀬君と職員室に入ってきた。
「おい、探したんだぞ!昼休みテスト勉強する約束だろ」
「……。」
(嘘だ。そんな話したこともない)
職員室から強引に連れ出された私は、
「お前、何しに行ったんだ?」
「……。」
「言うつもりだった?」
体育館倉庫の中で一ノ瀬君らに取り囲まれ、動く事も出来なかった。
「言わない。だから…」
「だから?なぁに?」
神田さん、顔は笑ってるのに、目が…
「そうだっ!大田がね、あんたの胸を揉んでみたいんだって。いいよね?」
ゴクッ…息なのか、唾なのか、わからない音が耳に届いた。
「いいってよ。大田」
「倉橋のお願いとあっちゃ、やってやらんこともねーが」
(んなの頼んでない。はーなーしーてー)
グエッ…
足をバタバタさせたら、大田君の急所に当たったのか、一瞬一ノ瀬君らが固
まった隙に、神田さんを突き飛ばしてダッシュで家まで逃げた。
それが悪かったのか、
パーーーンッ…乾いた音が和室に響き、
「お前は本当に恥さらしな娘だ。よりによって、学校であんな破廉恥な・・・」
「……。」
真っ赤な顔をしておかるお父さんとお母さん。
「私…いじめ…」
「お前また、そんな根も葉もない事を…」
「おい、洋子。お前明日学校行って一緒に謝って来い」
「ええ」
お父さんが、和室を出ていくと代わりに愛が入ってきて、
「バカだね。学校であんなエッチなことするなんて」
「えっ?」
「愛ちゃん、ほっときなさい。加奈、あんた罰として今夜の夕食抜きよ。せっか
く今日は、みんなでお寿司にでも行こうとお父さんが誘ってくださったのに。
さ、今夜は三人で楽しみましょ」
ドアが閉まる瞬間、
「ザマーッ」
愛の嘲笑う言葉が聞こえた。
(わかってた。この家にも私の居場所がないのは…)
「ほら、飲めよ。ただの牛乳じゃねーか」
「何も入ってないって、なぁ?」
縣君や一ノ瀬らが、私を取り囲む男子や女子に同意を求める。
「そんなに疑うなら、私飲もうか?」
河合さんが、ヒョイッと牛乳を手に取ると、一気に飲み始めて、
「ねっ、なんともないでしょ?」
笑いながら言ったけど、私の机には、クラスの半分…20本。
(1本河合さんが飲んだし、1本は自分の)
「飲まないなら、また俺らが飲ませてやろうか?」
田中君がニヤニヤ笑いながら、私を見た。
「飲む…から。離れてて」
1本の牛乳を手に取ると、ゴクゴク喉を鳴らしながら飲み始めた。
「飲ーめ!」
「飲ーめ!」
次々と人が周りに集まり、はやし立てる。
1本のみ終わると、開けられた牛乳が私の目の前に差し出され、次々と飲んでいく。
(気持ち悪い…)
ゴホッ…
むせかえるような咳をしても、彼らの攻撃はやむことはなく、とうとう服まで牛乳だ
らけになってしまった。
「きったねーな!おい」
「ご愁傷さま」
「バカみたい。あ、馬鹿だったわ」
散々言われても、飲み続けた結果…
グエッ…ゲボッ…
教室の中で吐きまくって、
「きったねー!」
「エンガチョー」
牛乳の池で、頭からけられたり、蹴られたり…
挙げ句には、
「おい、こっちこいよ」
校舎裏で水を強かに掛けられ、全身ビチョビチョになった。
「ん?なんか変な匂いしないか?」
五時間目の授業の時に、谷中先生が鼻を鳴らしながら言った。
「先生。倉科が牛乳溢したんだよ」
と誰かが言った。
「牛乳か。あれは臭くなるからな。おい、倉科。罰としてお前教室の掃除一人でやれ」
「……。」
(溢したには、溢したけど…。いっそ、先生に言ったら助けてくれるかな?)
放課後になって、
「いやっ…やめて…」
教室の中で、後ろに下がる私を追い込むように一ノ瀬君と田中君が近づいてくる。
逃げようと思えば逃げれるけど、田中さんや綾香ちゃんたちがニヤニヤ笑いながら他
の男子と二つの出入り口を塞いでいる。
「だーいじょうぶだって!なぁ、なんもしないから」
「あぁ、掃除してるお前を眺めたいだけだから…」
(そんなの嘘に決まってる。じゃ、どうして一ノ瀬君は、ハサミを持ってるの?)
私が、一ノ瀬君が手にしているハサミをジッと見ているのがわかったのか、
「あぁ、これ?そのヒラヒラは掃除してる時、邪魔かなっと思ってね。切ってあげようと思って…」
一ノ瀬君が、横にいる近藤君に合図を送ると、私は身体を締め付けられ、身動きが取れなくなった。
「やっ…やめて…」
何度もお願いしたけど、やめるどころかキョキジョキとハサミが笑いながら、私の着衣を切り刻んでいく。
「おぉっ!」
「すっげ!」
「大胆!」
男子の声にクスクスと笑う綾香ちゃん達。
(どうして?どうして、こんなことするの?)
「なぁ、これ邪魔だよな?」
ニヤニヤ笑いながら、ハサミの先で私のブラをつつく。
「邪魔だなー!取っちゃえ!取っちゃえ!」
「やっ…めてっ!おねっ…あっ!」
プツンッと小さな音を立て、ブラが切られ胸が露わになった。
「じゃ、掃除な。俺ら、見ててあげるからさ。フフッ」
「……。」
結局、私は胸を隠しつつ、ショーツ1枚の姿で教室を掃除し、体操服を着てなんとか帰る事が出来た。
(もうやだっ!先生に言ってやる!)
家に帰った時は、幸いにも誰もおらず、ザクザクに切られた服をコッソリゴミ箱に捨て、思いっきり
泣いた。
次の日、私は昼休みに用事があって職員室に行った。
「どうした?」
谷中先生は、テストの採点をしていて、チラッと私をみて、またテストへと戻る。
「あの…先生…」
言おうとした。いじめの事…けど…
「あー、こんなとこにいたぁ!」
少し高い声を上げて神田さんが一ノ瀬君と職員室に入ってきた。
「おい、探したんだぞ!昼休みテスト勉強する約束だろ」
「……。」
(嘘だ。そんな話したこともない)
職員室から強引に連れ出された私は、
「お前、何しに行ったんだ?」
「……。」
「言うつもりだった?」
体育館倉庫の中で一ノ瀬君らに取り囲まれ、動く事も出来なかった。
「言わない。だから…」
「だから?なぁに?」
神田さん、顔は笑ってるのに、目が…
「そうだっ!大田がね、あんたの胸を揉んでみたいんだって。いいよね?」
ゴクッ…息なのか、唾なのか、わからない音が耳に届いた。
「いいってよ。大田」
「倉橋のお願いとあっちゃ、やってやらんこともねーが」
(んなの頼んでない。はーなーしーてー)
グエッ…
足をバタバタさせたら、大田君の急所に当たったのか、一瞬一ノ瀬君らが固
まった隙に、神田さんを突き飛ばしてダッシュで家まで逃げた。
それが悪かったのか、
パーーーンッ…乾いた音が和室に響き、
「お前は本当に恥さらしな娘だ。よりによって、学校であんな破廉恥な・・・」
「……。」
真っ赤な顔をしておかるお父さんとお母さん。
「私…いじめ…」
「お前また、そんな根も葉もない事を…」
「おい、洋子。お前明日学校行って一緒に謝って来い」
「ええ」
お父さんが、和室を出ていくと代わりに愛が入ってきて、
「バカだね。学校であんなエッチなことするなんて」
「えっ?」
「愛ちゃん、ほっときなさい。加奈、あんた罰として今夜の夕食抜きよ。せっか
く今日は、みんなでお寿司にでも行こうとお父さんが誘ってくださったのに。
さ、今夜は三人で楽しみましょ」
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