45 / 75
第三節 混迷の暁に騒乱はいずる12
しおりを挟む
だが、強風に凛と立つ花のように強く果敢な姫君は、晴れ渡る空の色を映した紺碧色の両眼を閃かせると、虚空を振動させるほどの熱波を帯びる朱き刃を、迅速で頭上に掲げたのであった。
ジェスターは、『ザイン(神炎)』なら闇の炎を打ち消せると言っていた・・・・
それならば・・・もう一度あの炎を出現させれば、この闇の炎も驚異ではないと言う事だ・・・・
闇の爆炎が眼前に迫る。
リーヤの掲げた【無の三日月】の朱き刀身が唸りを上げ、空を両断するが如く一気に下方へと振り下ろされる。
強く脈打つ光の刃が眩いばかりに発光すると、灼熱の波動が虚空にさざめき、朱き刃の鋭い切っ先が指し示す地面から、轟音と共に紅蓮の業火が立ち上ったのだった。
「そう簡単に、この首は取らせません!!」
そんな豪語に呼応するように、朱と金に揺らめく凄まじい爆炎が、石畳を砕きながら、眼前に差し迫った闇の業火を真っ向から飲み込んでいく。
激しい破裂音を響かせて、砕け散った石畳の破片が辺りに降り注ぐと、留まる所を知らない紅蓮の業火が、ギルトルクの肢体を焼き尽くさんと豪速で迸った。
一瞬、目を剥いたギルトルクが、紫のローブを翻し咄嗟に横に飛び退いた。
間一髪とは正にこのことだ・・・・
金色のその瞳が、ぎらりと閃光の如く閃いた。
『鍵たる者よ・・・私はどうやら、そなたを少し甘く見すぎたようだ・・・・』
屈強で無骨な手に握られた青銅色の嘆きの剣が、地獄の爆炎を宿して構え直される。
刹那、唸りを上げる青銅色の鋭い刀身が空を二分し、燃え立つ黒炎を上げる重厚な斬撃が、リーヤの首を狙って豪速でまかり飛んだ。
空気を熱く振動させる朱き光の刃が、今、火花を散して、真っ向からその豪剣を受け止める
彼女の腕に伝わる重いその衝撃。
だが・・・・
何故だろう、エトワーム・オリアでジェスターと刃を交えた時ほどの痺れは感じない。
その時、彼女の脳裏に、ふと閃いた・・・あの三日月型の閃光も、もしかすると、この刃を振うだけで出現させることができるのではないか?
艶やかな紺碧色の長い巻き髪が虚空に乱舞し、後方に飛び退いたリーヤの手が、刹那も置かずに虚空に翻る。
炎の如き熱を帯びる朱(あか)き刃が、虚空に鋭い閃光の帯を描いて唸りを上げた。
だが、その斬撃は直接ギルトルクを狙った物ではない。
ただ、虚空を両断しただけである・・・・しかし・・・・
行き過ぎた朱き光の刃の残光が、虚空に不規則な波動を生み出すと、彼女の予想した通り、それは柄の無い三日月型の刃に変わり果てたのである。
炎の如き熱を帯びる湾曲した鋭利な残光は、唸るように宙を両断し、虚空を震わせて、そのままギルトルクに向かって豪速でまかり飛ぶ。
『!?』
咄嗟にジェン・アーガンを構え直したギルトルクが、その肢体を闇の黒炎で包み込むが、一瞬の差で遅い。
紫色のローブが虚空に揺れる。
次の瞬間、熱き波動を巻き起こす鋭利な三日月型の閃光が、不規則に虚空を振動させながら、ギルトルクの屈強な左肩を、深く抉るように引き裂いたのだった。
『ぐはっ・・・・!!』
金色の両眼が見開かれ、数歩後退した彼の無骨な顔に、露骨な怒り露になる。
引き裂かれた肩をかばうでもなく、瞬時にその爪先で地面を蹴り、黒い焔を飛び散らした青銅色の鋭利な刀身が、リーヤに向かって豪速で翻った。
屈強な体にそぐわぬ俊足が、紫色のローブを棚引かせながら、一瞬にして彼女の目の前に踊り出る。
まだ【無の三日月】を構え直していないリーヤが、驚愕で大きくその瞳を見開いた。
「・・・・あ!?」
紺碧色の長い巻き髪が跳ねるように揺れ、素早く後方に飛び退くが、やはり僅かな差で間に合わない。
先程、ジェスターがかけた守りの炎の効力は、既に切れている。
刹那、黒炎を上げる重い斬撃の切っ先が、緋色のマントを羽織るリーヤの左肩を捕え、そのまま、綺麗な胸元までを容赦なく斜めに薙ぎ払ったのだった。
「っ!!?」
悲鳴すら上げられぬ焼け付くような強烈な痛みが、リーヤの全身を駆け抜けていく。
晴れ渡る空の色を映す紺碧色の両眼が、殊更大きく見開かれた。
緋色のマントと共に、弾け飛んだ紅の鮮血が虚空を舞う。
余り激痛に平衡を崩すしなやかなその体。
痛みに霞んだ視界に、二撃目の一閃が黒炎を上げて迫り来る。
その時だった・・・・
後方に倒れ行くリーヤの体が、大きな腕に抱き止められると、甲高い金属音が辺りにこだまし、黒炎を上げる青銅色の鋭利な刃が、金色の刃によって一瞬にして虚空に弾き返されたのである。
「上出来だ」
そう言ったのは、他でもない、先程からずっと彼女の戦いぶりを眺めていた、アーシェ一族の魔法剣士ジェスターであった。
脈打つように走る激痛にその秀麗な顔をしかめ、リーヤは、僅かな声すら上げらぬまま、苦痛に歪んだ紺碧の瞳で、そんなジェスターの端正な顔を仰ぎ見る。
燃え盛る炎の如き鮮やかな緑玉の瞳が、揺るぎない冷静さを持って、蒼白になった彼女の顔を顧みた。
その身に纏われた紅蓮の炎の色を映し、若獅子の鬣の如き見事な栗色の髪が、煌びやかな朱に輝いている。
胸元の傷から吹き出した紅の鮮血が、みるみる彼女の衣服を染め上げて、彼女を抱えるジェスターの袖をも紅く染めていった。
「立てるか?」
「・・・・大丈夫です、立てます」
激痛の中にあっても、凛とした強さを失わない彼女の声が、小さくそう答えた。
その言葉に、彼の腕が彼女の体から離れた。
ふらつく足元でゆっくりとその場に立ち、リーヤは、秀麗なその顔をしかめたまま、片手で傷を強く押さえる。
そんな彼女の視界の中で、ふわりと、ジェスターの纏う濃紺の衣の長い裾が虚空に舞った。
金色の大剣を前で構え、ゆっくりとした歩調で眼前のギルトルクに歩み寄る彼の端正な顔が、どこか凶悪で冷酷なあの表情へと打ち変わる。
『さぁ、覚悟を決めろ・・・・・・・・・おまえの行き先は、地獄(ゲヘナ)だ』
低く鋭くそう言ったジェスターの俊足が、一気にギルトルクの元へと走り込んでいく。
紅蓮の炎を纏う柔軟な肢体が舞うように跳躍し、翻った金色の鋭利な閃光の弧が、ジェン・アーガンを構え直したギルトルクに向かって迅速で翻る。
金色の刃から舞い散る深紅の焔。
爛々と輝く鮮やかで美しい緑玉の瞳。
ギルトルクの金色の瞳が何かを確信したように、何ゆえが、愉快そうに微笑(わら)った。
『やはり、そなたは・・・・』
重い衝撃と共に金と青の激しい火花が虚空に舞い飛び、青銅色の魔剣が、真っ向から妖剣アクトレイドスの重く鋭い斬撃を受け止める。
『ゼル・・・・・!!』
無骨な顔を嬉々とさせたギルトルクの豪腕が、アクトレイドスの金色の刃を後方に押し返した。
濃紺の衣の裾が揺れ、野を駈ける獣の如きジェスターの肢体が僅かばかり後方に飛び退くと、間髪入れずに、その両足の柔軟なばねで叩くように石畳を蹴った。
ギルトルクの視界から、一瞬にして、火炎を纏う【古の主君】の姿が消え失せる。
紫色のローブを翻し、咄嗟に背後を振り返った瞬間、軽く身を捻り空中で体制を立て直したジェスターが、金色の閃光を散すアクトレイドスの斬撃を、豪速でその頭上へと振り下ろしたのだった。
『!?』
甲高い金属音が辺りに響き渡り、素早く翳した青銅色の刀身が、烈火の如き金色の刃を寸前のところで受け止める。
ジェスターは、『ザイン(神炎)』なら闇の炎を打ち消せると言っていた・・・・
それならば・・・もう一度あの炎を出現させれば、この闇の炎も驚異ではないと言う事だ・・・・
闇の爆炎が眼前に迫る。
リーヤの掲げた【無の三日月】の朱き刀身が唸りを上げ、空を両断するが如く一気に下方へと振り下ろされる。
強く脈打つ光の刃が眩いばかりに発光すると、灼熱の波動が虚空にさざめき、朱き刃の鋭い切っ先が指し示す地面から、轟音と共に紅蓮の業火が立ち上ったのだった。
「そう簡単に、この首は取らせません!!」
そんな豪語に呼応するように、朱と金に揺らめく凄まじい爆炎が、石畳を砕きながら、眼前に差し迫った闇の業火を真っ向から飲み込んでいく。
激しい破裂音を響かせて、砕け散った石畳の破片が辺りに降り注ぐと、留まる所を知らない紅蓮の業火が、ギルトルクの肢体を焼き尽くさんと豪速で迸った。
一瞬、目を剥いたギルトルクが、紫のローブを翻し咄嗟に横に飛び退いた。
間一髪とは正にこのことだ・・・・
金色のその瞳が、ぎらりと閃光の如く閃いた。
『鍵たる者よ・・・私はどうやら、そなたを少し甘く見すぎたようだ・・・・』
屈強で無骨な手に握られた青銅色の嘆きの剣が、地獄の爆炎を宿して構え直される。
刹那、唸りを上げる青銅色の鋭い刀身が空を二分し、燃え立つ黒炎を上げる重厚な斬撃が、リーヤの首を狙って豪速でまかり飛んだ。
空気を熱く振動させる朱き光の刃が、今、火花を散して、真っ向からその豪剣を受け止める
彼女の腕に伝わる重いその衝撃。
だが・・・・
何故だろう、エトワーム・オリアでジェスターと刃を交えた時ほどの痺れは感じない。
その時、彼女の脳裏に、ふと閃いた・・・あの三日月型の閃光も、もしかすると、この刃を振うだけで出現させることができるのではないか?
艶やかな紺碧色の長い巻き髪が虚空に乱舞し、後方に飛び退いたリーヤの手が、刹那も置かずに虚空に翻る。
炎の如き熱を帯びる朱(あか)き刃が、虚空に鋭い閃光の帯を描いて唸りを上げた。
だが、その斬撃は直接ギルトルクを狙った物ではない。
ただ、虚空を両断しただけである・・・・しかし・・・・
行き過ぎた朱き光の刃の残光が、虚空に不規則な波動を生み出すと、彼女の予想した通り、それは柄の無い三日月型の刃に変わり果てたのである。
炎の如き熱を帯びる湾曲した鋭利な残光は、唸るように宙を両断し、虚空を震わせて、そのままギルトルクに向かって豪速でまかり飛ぶ。
『!?』
咄嗟にジェン・アーガンを構え直したギルトルクが、その肢体を闇の黒炎で包み込むが、一瞬の差で遅い。
紫色のローブが虚空に揺れる。
次の瞬間、熱き波動を巻き起こす鋭利な三日月型の閃光が、不規則に虚空を振動させながら、ギルトルクの屈強な左肩を、深く抉るように引き裂いたのだった。
『ぐはっ・・・・!!』
金色の両眼が見開かれ、数歩後退した彼の無骨な顔に、露骨な怒り露になる。
引き裂かれた肩をかばうでもなく、瞬時にその爪先で地面を蹴り、黒い焔を飛び散らした青銅色の鋭利な刀身が、リーヤに向かって豪速で翻った。
屈強な体にそぐわぬ俊足が、紫色のローブを棚引かせながら、一瞬にして彼女の目の前に踊り出る。
まだ【無の三日月】を構え直していないリーヤが、驚愕で大きくその瞳を見開いた。
「・・・・あ!?」
紺碧色の長い巻き髪が跳ねるように揺れ、素早く後方に飛び退くが、やはり僅かな差で間に合わない。
先程、ジェスターがかけた守りの炎の効力は、既に切れている。
刹那、黒炎を上げる重い斬撃の切っ先が、緋色のマントを羽織るリーヤの左肩を捕え、そのまま、綺麗な胸元までを容赦なく斜めに薙ぎ払ったのだった。
「っ!!?」
悲鳴すら上げられぬ焼け付くような強烈な痛みが、リーヤの全身を駆け抜けていく。
晴れ渡る空の色を映す紺碧色の両眼が、殊更大きく見開かれた。
緋色のマントと共に、弾け飛んだ紅の鮮血が虚空を舞う。
余り激痛に平衡を崩すしなやかなその体。
痛みに霞んだ視界に、二撃目の一閃が黒炎を上げて迫り来る。
その時だった・・・・
後方に倒れ行くリーヤの体が、大きな腕に抱き止められると、甲高い金属音が辺りにこだまし、黒炎を上げる青銅色の鋭利な刃が、金色の刃によって一瞬にして虚空に弾き返されたのである。
「上出来だ」
そう言ったのは、他でもない、先程からずっと彼女の戦いぶりを眺めていた、アーシェ一族の魔法剣士ジェスターであった。
脈打つように走る激痛にその秀麗な顔をしかめ、リーヤは、僅かな声すら上げらぬまま、苦痛に歪んだ紺碧の瞳で、そんなジェスターの端正な顔を仰ぎ見る。
燃え盛る炎の如き鮮やかな緑玉の瞳が、揺るぎない冷静さを持って、蒼白になった彼女の顔を顧みた。
その身に纏われた紅蓮の炎の色を映し、若獅子の鬣の如き見事な栗色の髪が、煌びやかな朱に輝いている。
胸元の傷から吹き出した紅の鮮血が、みるみる彼女の衣服を染め上げて、彼女を抱えるジェスターの袖をも紅く染めていった。
「立てるか?」
「・・・・大丈夫です、立てます」
激痛の中にあっても、凛とした強さを失わない彼女の声が、小さくそう答えた。
その言葉に、彼の腕が彼女の体から離れた。
ふらつく足元でゆっくりとその場に立ち、リーヤは、秀麗なその顔をしかめたまま、片手で傷を強く押さえる。
そんな彼女の視界の中で、ふわりと、ジェスターの纏う濃紺の衣の長い裾が虚空に舞った。
金色の大剣を前で構え、ゆっくりとした歩調で眼前のギルトルクに歩み寄る彼の端正な顔が、どこか凶悪で冷酷なあの表情へと打ち変わる。
『さぁ、覚悟を決めろ・・・・・・・・・おまえの行き先は、地獄(ゲヘナ)だ』
低く鋭くそう言ったジェスターの俊足が、一気にギルトルクの元へと走り込んでいく。
紅蓮の炎を纏う柔軟な肢体が舞うように跳躍し、翻った金色の鋭利な閃光の弧が、ジェン・アーガンを構え直したギルトルクに向かって迅速で翻る。
金色の刃から舞い散る深紅の焔。
爛々と輝く鮮やかで美しい緑玉の瞳。
ギルトルクの金色の瞳が何かを確信したように、何ゆえが、愉快そうに微笑(わら)った。
『やはり、そなたは・・・・』
重い衝撃と共に金と青の激しい火花が虚空に舞い飛び、青銅色の魔剣が、真っ向から妖剣アクトレイドスの重く鋭い斬撃を受け止める。
『ゼル・・・・・!!』
無骨な顔を嬉々とさせたギルトルクの豪腕が、アクトレイドスの金色の刃を後方に押し返した。
濃紺の衣の裾が揺れ、野を駈ける獣の如きジェスターの肢体が僅かばかり後方に飛び退くと、間髪入れずに、その両足の柔軟なばねで叩くように石畳を蹴った。
ギルトルクの視界から、一瞬にして、火炎を纏う【古の主君】の姿が消え失せる。
紫色のローブを翻し、咄嗟に背後を振り返った瞬間、軽く身を捻り空中で体制を立て直したジェスターが、金色の閃光を散すアクトレイドスの斬撃を、豪速でその頭上へと振り下ろしたのだった。
『!?』
甲高い金属音が辺りに響き渡り、素早く翳した青銅色の刀身が、烈火の如き金色の刃を寸前のところで受け止める。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる