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手錠男と俺の日常
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『今夜は記念日ですので、まっすぐ帰ってきてください』
画面に現れたメッセージを目にするや否や、俺は呻いた。
『でないとぼくの手首がずたずたになります。よろしくお願いします』
よろしくお願いします、じゃねえ。
俺の恋人は真面目であり、同時に思いつめやすい性格である。結果としてできあがったのが、この報連相のできるメンヘラであった。
この恋人、名を小羽聡(こば さとし)という。付き合って早一年。このたぐいのメッセージが本気でなかったことは一度もない。
飲み会をキャンセルして家に急ぐ。ただいま、とドアを開け放つと彼は玄関を塞ぐようにぬっと立っていた。俺は面食らった。
「おかえりなさい、祥一(しょういち)」
「遅くはなってない……ですよね」
「大丈夫です。七時十三分発の電車に間に合ったようで、よかった」
「そんなの俺だって把握してねえよ」
「夕飯は少し奮発して宅配です。冷めてしまう前に食べましょう」
「えっと、一応確認しますけど……付き合って一年のアニバーサリーでしたよ、ね」
聡さんはきゅっと唇を引き結んだ。瞳が危険に光っている。
「カッターを持ってきます」
「やめろやめろ、不正解だったんだな、ごめんて」
聡さんは罪をお許しになる慈悲深い神様のように微笑んだ。
「付き合ったのは夏だったでしょう。出会って一年の記念日です。ぼくにとっては生涯忘れられない美しい日」
「俺が駅の売店で買ったコーヒーをあなたの背広にぶっかけたのが……?」
クリーニング代はここに請求してくれと名刺を渡したのが、年貢の納め時となった。呑みに誘われ、熱心に口説かれ、そのうちに既成事実が発生してしまい、付き合うこととなった。たしかにゲイとゲイが偶然鉢合わせたのは奇跡的な幸運だった。今まで出会った誰より俺を愛してくれる人間であり、優しく見目は麗しく、出会い自体には満足している。ちなみに生活費もかなりの割合を持ってもらっている。
だがすぐに物騒なものを持ち出してくるこの性格だけは困る。ちなみに性格面について事前の報告は受けていない。
男は微笑んだ。
「祥一はぼくの人生に差し込んだ光でしたから」
俺と出会う前によほどのことがあったのだろうな、とは思う。だが聡さんはあまり俺が詮索するのを好まない。
聡さんは寄り目になって俺の唇を見つめた。
「キスがしたい。手洗いとうがいを済ませてきてください」
「あの、俺は先に飯が食べたいんですけど」
「いいでしょう」
宝物のようにそっと洗面所に送り出される。悪い気はしない。
「終わりました、おー、すげえ、うまそう」
リビングに入ると霜降りのすき焼き弁当と日本酒が俺を待ち受けていた。聡さんは椅子に座って微笑んでいる。
「乾杯しましょう」
「しますします、俺らの出会いに、かんぱーい」
俺はあわてて着席すると、グラスを合わせた。
「明日は休みですが、記念日ですからどこかへ行きますか」
「明日? 明日はそうだ、ごめんなさい。実家戻んなきゃ。父親が入院するんで、見舞いに。といっても深刻なやつじゃないんですが」
聡さんは顔を一瞬曇らせた。俺は警戒したが、すぐに聡さんは微笑みを取り繕う。
「大変ですね。お大事に。ぼくも行きましょうか」
聡さんは俺の単独行動が好きではない。
「あー、俺実は、親にカミングアウトしてなくて」
孫が見たいと言われては、あいまいに笑ってお茶を濁している臆病者である。
「友人としてでも構いません……すみません、困らせてしまいました。気を付けて」
自己犠牲的な笑みを浮かべ、恋人は俺にお許しをくださった。
「さあ、食べましょう。明日は行ってしまうのですから、一分でもあなたといっしょにいる時間を大切にしたい」
「おおげさですって」
俺は笑って肉を頬張った。じわりと甘辛い脂が口に広がる。聡さんは優しい目をして俺をじっと見つめている。
次の早朝、新幹線に乗って実家に向かった。母と合流し、父の入院先に行くと見覚えのある男が廊下を歩いてくる。男は俺に気づくと声をかけてきた。
「祥一」
「淳(じゅん)……!」
高校時代に交際していた同級生だった。着ている制服から、看護師をしているのだとわかった。こんなところで、しかも母親といっしょのときに出会いたくはなかった。俺は内心呻いた。当時のことを思い出すだけで胃が荒れる。
「あら、お友だち? こんにちは。祥一、懐かしいでしょう。少し話してらっしゃいよ」
何も知らずに母は言った。
「いや、仕事中だろう。俺はいいよ」
「少しぐらいなら大丈夫」
俺は淳を恨めしい顔で見た。話を合わせてくれてもいいじゃないか。
「じゃあ私、先に行ってるから」
母が行ってしまってから、俺は声を落として淳を責めた。
「なんのつもりだよ。浮気の末に人をふっておいて」
「今は悪かったと思ってるよ。それが言いたかった」
淳はなだめるような笑顔で言った。ははん、こいつ、今はフリーだな。俺は思い切り顔をしかめた。
男なら誰でもいい、だから不細工な俺と付き合った。そんな本音を隠しもしなかった奴だった。
「悪いが俺、今彼氏いるから。すごく大事にしてくれる人」
浮気をするが頭はまともな奴と、浮気をしないが頭のネジがどうかしている聡さんなら、俺は断然後者を選ぶ。
「そう言わないで、さ。また連絡とろうぜ」
「断る」
これ以上面倒な目に巻き込まれる前にと、俺はさっさとその場を離れた。
父は思ったよりは元気だったが、痩せていた。見舞いを終えると実家に戻って、ひさびさに母と昼食をとることになった。
「今夜は泊っていくでしょ」
母はにこにこと言って、俺の好物だった餃子をテーブルに出した。丸っこい独特の形に、にらの匂い。懐かしくて涙が出そうだ。
「ええっと、ごめん、明日友だちと遊ぶ予定があって……早めに帰りたいんだ」
「そう」
口から出まかせを言うと母は寂しそうな顔をした。罪悪感がずしんと肩にのしかかった。
母の希望通り、泊ってしまおうか。異性愛者だという幻想を壊さず、いい息子を演じてあげるのが親孝行なんじゃないか。
俺の心を読んだようなタイミングでスマートフォンが振動した。ちらりと見ると聡さんからだった。
『手錠を買いました 今はこれを心の支えにしています 早く帰ってきて』
ひえ、と内心で声をあげる。カーテンを締め切った部屋で手錠を一心に見つめる聡さんが目に浮かんだ。大変だ。
「ほんとごめんな、悪い息子でさ」
俺は心から母に詫びた。母は首を横に振った。
「いいや、いい子だよ。さ、冷めないうちにお食べ」
やめて。つらい。
『今実家出ました 早まらないで』
新幹線が倍速にならないかとじりじりながら、東京に飛んで帰る。玄関を開けると聡さんが抱きついてくる。
「おかえりなさい、心配で心配でたまらなかった。あなたが初恋の人と出会ってしまったら、と考えたら、我慢ができませんでした」
俺はぎくりとした。本当のことを言えばまた聡さんが物騒なものを持ち出すのが目に見えている。
「前も言いましたが、俺の初恋は既婚の体育教師ですって。熊みたいな人。もう転勤してるだろうし、大丈夫ですよ」
淳は初めての恋人だが、初恋の相手ではない。したがってうそはついていない。
「ぼくはあなたの理想とはほど遠いんですね」
逆効果だったのか、聡さんは声を震わせた。
「わーっ、聡さんみたいなイケメンも好きです、大丈夫ですってば」
「気を遣わせてしまった」
「違う違う! 愛してなかったらこうやって飛んで帰ってきませんって!」
「ありがとうございます、ぼくなんかのために」
ダメだ、暗黒サイドに入ってしまわれた。なんとかなだめようとどうどうと背中を撫でると、俺を抱きしめる聡さんの力が強くなる。聡さんの身体が熱くなっていく。
「ごめんなさい、祥一、欲情が止められない、ぼくは、ぼくは」
「えっと、どうぞ! それで聡さんが満足するなら!」
聡さんは思いつめた顔で俺を脱がしはじめる。
淳からスマートフォンに連絡が来たのは、次の日の午後だった。
『よう祥一』
見慣れないアイコンと見慣れた名前に、俺は飛び上がった。さいわい聡さんは一週間分の食料を買いにスーパーへ出かけていた。
『淳 どうして』
『お前の母親から聞き出した』
俺は顔を覆った。別れたあと電話番号を変えたから、もう連絡はとれないだろうと油断していた。
『ブロックするわ』
『つれねえこと言わんとまた会おうよ』
『やめとけ 俺の彼氏すげえやきもち妬きだから 命の保証はできない』
『そんな奴よせよ 正直心配だよ』
失恋したときの、胃がしばらく食べ物を受け付けなくなった苦い記憶がよみがえる。俺は顔をしかめた。
うるさい。俺は俺が選んだ人といっしょにいるのが幸福だ。
『お前よりまし』
『言っとくけどブロックしても電話番号もメアドももらってるから意味ないぞ いざとなったら連絡しろ 助けてやる』
ちゃんと愛してもくれなかった奴が今さら何を言う。それ以前に、同級生の立場を悪用しすぎだ。俺は呻きながらブロックリストに淳の名前を追加した。
「ただいま」
声がして、俺はびくりと肩をすくめた。野菜がぎゅうぎゅうに詰まったエコバッグを両手に提げ、聡さんが部屋に入ってくる。
「お、おかえりなさい」
「何かありましたか」
「なんでもないですって」
俺の声は必要以上にうそくさく響いた。そのときだった。
突然、緊張した背筋を逆なでするように、スマートフォンの着信音が鳴った。心臓が止まるかと思った。この状況、どう考えても相手は淳だ。
まずい、これ、まずい。俺はパニックになった。
「ぼくはかまわないので出てください。きっと親御さんでしょう?」
聡さんは俺をじっと見据えている。逃げ場がない。このときの俺は、知らない人が見れば殺人事件の犯人に見えたことだろう。
手のひらにじっとりと汗をかいていて端末を取り落としそうになるのを、必死に握りしめる。おそるおそる画面を見る。
――通知には『お母さん』とあった。
(セーフ!!!)
俺は心の中で叫んだ。
「祥一?」
「もしもし、どうしたの、お母さん」
あまりの安堵にだらしなく笑う俺を、聡さんは黙って見ている。
「聡さん、もうごはんいいんですか?」
「ええ」
晩ごはんを半分も残して、聡さんはいつものように優しく微笑んだ。
「風邪ですか?」
「いえ。身体は元気です」
「じゃあ、疲れですかね? もったいないのでよかったらもらいますよ」
「どうぞ」
どうしたんだろう。考えながら俺は一・五人前の食事を平らげた。
後片付けを終え、風呂からあがると聡さんは寝室でひとり手錠を撫でていた。
当然、俺はぎょっとした。
「な、何やってんだ」
「ごめんなさい、こうしないと落ち着かなくて」
「俺でよければ話聞きますけど、会社で何かありました?」
「会社では、何も」
「うちみたいに実家の方ですか」
「ほんとになんでもないんです。お風呂に入ってきますね」
聡さんは手錠をそっと机にしまうと、部屋を出て行った。
心臓がばくばくと鳴っている。いくら察しの悪い俺でも、昼の一件以外に原因がないことに気づいてしまった。
どうしよう、本当のところを言うべきか。だが聡さんが淳のことを知れば、手錠か刃物の出番だ。どうして何も悪いことをしていないのに俺が悩まなくちゃいけないんだ。全部淳のせいだ。
『助けてやる』
ラインの一文が俺を誘うように脳裏に浮かんだが、俺はすぐさま心の中で淳ごと蹴とばした。出てくるな、ややこしくなる。
「ううう」
俺が頭を抱えていると、聡さんが風呂を終えて出てきた。しっとりと湯上りの髪をして、憂いのこもった瞳で。
俺は聡さんに見惚れた。ああ、俺はこの不安定で真面目な人が好きだ。恋に臆病だった俺がもう一度人を好きになれたのは、この人が一途でいてくれたからだ。両親に言えないものを隠したまま、ひとりきりで過ごす東京での暮らしは耐えがたかった。聡さんが現れてから、俺はただの一度も泣いていない。少しぐらい愛情が行き過ぎていたって、ないよりは一億倍いい。
「聡さん、セックスしましょう。あなたの不安は俺がなぐさめます、大丈夫です」
思わずそう言っていた。聡さんは唇を震わせた。
「ありがとう、祥一。でも今夜はいいです。あなたに優しくできないかもしれない」
「俺、頑丈ですよ。思い切り発散しちゃえばいいです。聡さんが不安に思わなきゃいけないことなんて、これっぽっちもないんだ」
聡さんは俺のとなりに来たが、額に軽いキスをすると、離れた。
「そう。ぼくの問題。ぼくが不安に駆られるのも、あなたに手錠をかけたくて仕方なくなるのも」
聡さんは暗い顔をして、自分のベッドに腰かけた。俺は笑った。
「手錠、かけたらいいですよ。終わったら外してくれるなら」
「今のぼくではそれが保障できないんだ」
「それは大変だ。でも聡さんなら大丈夫ですよ」
「どうして」
「俺が好きになった人だから」
聡さんはびくりとした。
「俺にひどいことなんて、絶対できない。違います?」
俺は聡さんの手をそっと握った。
「だから極端な行動をする前に、俺に言ってくれるんでしょう?」
聡さんはうなだれた。
「買いかぶりです。本当のぼくは、相談することで祥一を思い通りにしたかっただけです」
聡さんは自嘲するような笑みを浮かべた。
「尽くして、尽くして、尽くして、それでもみんな最後はぼくのもとを去っていった。もうあんな思いは嫌だったんです。あなただけは失いたくなかった」
「なぜ」
「ぼくの愛に怯えない、唯一の人だったから」
それはそうかもしれない。
「壊れることをちらつかせれば、あなたはぼくを見捨てられないと気づいてしまった。祥一の優しさに救われたくせに、そこにつけ込んだ。どんなに束縛しても笑っているあなたに、さらに束縛したい欲求が募った」
「ちゃんと言えたじゃないですか。それは聡さんが誠実だってことだ」
聡さんは悲しそうに微笑んで、俺の手にキスを落とした。
「好きだ。こんなに拗らせてしまう前にあなたに出会えていたらよかった」
俺はくすぐったくなった。
「はは、たしかに。もっと早くあなたを拾ってあげたかった。淳なんかと出会う前に」
「淳?」
聡さんは青ざめた。しまった、口を滑らせた。
「俺の元恋人で、不誠実な奴なんですけど……最近復縁したいのか連絡してくるようになっちゃって。もちろんこちらは断ってるんですよ」
おそるおそる言うと聡さんは唇を噛んだ。
「ぼくが嫉妬すると思って黙っていたんでしょう。危ないことを……ぼくの知らないところで襲われてしまったら、どうするつもりだったんですか」
危なさで言えば聡さんも相当だけどな。そんな余計なことを考えていたせいで一瞬反応が遅れた。
「え、いや、俺が無実ってこと、信じてくれるんですか!?」
あの聡さんが? うそだろ?
「あなたがぼくを信じてくれたから」
聡さんは俺の頬を撫でた。
「本当はまだ、奪われるのがこわいけれど。あなたを盗られたら文字通り生きていけないので」
「今度また、携帯の番号を変えます」
「手伝います。あなたからその元恋人の痕跡をすべて消さなくては」
聡さんは寄り目になって俺の瞳を覗きこんだ。
「さっきのベッドのお誘いはまだ有効ですか?」
俺はくすっと笑った。
「もちろん! ちなみに手錠も有効です」
「っ……」
聡さんは真っ赤になって口元を押さえた。
「あれをあなたの手首に……想像しただけで、結構来ますね、これ」
俺はベッドを降り、机から手錠を出すと問答無用でがちゃがちゃと両手首にはめた。
「えへへ、似合ってます?」
気づけば俺は、天井と聡さんとをぽかんと見上げていた。ベッドに引きずり込まれたのだとわかるまで時間がかかった。いつもは穏やかな聡さんの手が勢いよくパジャマに入ってくる。いやはや、大変な効き目である。
ほんのり赤くなった手首で、俺は次の朝、母に電話をかけた。
「どうしたの祥ちゃん、こんな朝早く」
俺のとなりで聡さんが寝息を立てている。俺は言葉に詰まったが、乾いた喉をごくりと湿らせて言った。
「母さん、ごめん」
「何よ」
「俺、付き合ってる人がいる」
「まあ、よかったじゃない! どんな方?」
「……男なんだ」
一世一代の大告白だった。が。
「だから、どんな方? この前の淳さん?」
言葉が出ないまま、一秒、二秒。てっきり泣かれるものだと思っていた俺は、電話に向かって叫んだ。
「え、驚かないの!?」
「淳さんから聞いてるわよ、付き合ってたって。連絡先聞かれたときに」
「何勝手なことしてんだ、あのクソ野郎……え、でも母さん信じたの!? なんで!?」
「なんとなくうすうす思ってたことだったから、逆に安心したわよ」
何それ。俺はかっと赤くなった。俺だけひとりシリアスになって、バカみたいだ。
「で? 淳さんと寄りを戻したの?」
「違う!! ……東京で出会った人だ。小羽聡さん。俺のこと、すごく愛してくれる」
少しばかり度は過ぎているが。俺は赤くなった手首をうっとりと見つめた。
「そういうことだから、うん、元気で。父さんによろしく。じゃあ」
俺は電話を切った。気づくと聡さんが身体を起こして、じっとこちらを見ている。俺はぎょっとした。
「何ですか、聡さん」
「お母さんにぼくを紹介してくれたんですね。ありがとう。今度ご挨拶に伺いましょう」
聡さんは俺の手をとると、つうっと手錠の痕をなぞった。昨日の痺れが身体に戻ってくる。
「あなたを手に入れるには、あなたを信じるだけでよかったんだ。ごめんなさい、もっと早く気づけばよかった」
俺はごまかすように笑った。
「そうそう。これからは俺を信じて、どーんと構えててくださいよ」
俺の愛した人はつられたように、安心した顔をして笑った。初めて見る表情は、とてもきれいだった。
画面に現れたメッセージを目にするや否や、俺は呻いた。
『でないとぼくの手首がずたずたになります。よろしくお願いします』
よろしくお願いします、じゃねえ。
俺の恋人は真面目であり、同時に思いつめやすい性格である。結果としてできあがったのが、この報連相のできるメンヘラであった。
この恋人、名を小羽聡(こば さとし)という。付き合って早一年。このたぐいのメッセージが本気でなかったことは一度もない。
飲み会をキャンセルして家に急ぐ。ただいま、とドアを開け放つと彼は玄関を塞ぐようにぬっと立っていた。俺は面食らった。
「おかえりなさい、祥一(しょういち)」
「遅くはなってない……ですよね」
「大丈夫です。七時十三分発の電車に間に合ったようで、よかった」
「そんなの俺だって把握してねえよ」
「夕飯は少し奮発して宅配です。冷めてしまう前に食べましょう」
「えっと、一応確認しますけど……付き合って一年のアニバーサリーでしたよ、ね」
聡さんはきゅっと唇を引き結んだ。瞳が危険に光っている。
「カッターを持ってきます」
「やめろやめろ、不正解だったんだな、ごめんて」
聡さんは罪をお許しになる慈悲深い神様のように微笑んだ。
「付き合ったのは夏だったでしょう。出会って一年の記念日です。ぼくにとっては生涯忘れられない美しい日」
「俺が駅の売店で買ったコーヒーをあなたの背広にぶっかけたのが……?」
クリーニング代はここに請求してくれと名刺を渡したのが、年貢の納め時となった。呑みに誘われ、熱心に口説かれ、そのうちに既成事実が発生してしまい、付き合うこととなった。たしかにゲイとゲイが偶然鉢合わせたのは奇跡的な幸運だった。今まで出会った誰より俺を愛してくれる人間であり、優しく見目は麗しく、出会い自体には満足している。ちなみに生活費もかなりの割合を持ってもらっている。
だがすぐに物騒なものを持ち出してくるこの性格だけは困る。ちなみに性格面について事前の報告は受けていない。
男は微笑んだ。
「祥一はぼくの人生に差し込んだ光でしたから」
俺と出会う前によほどのことがあったのだろうな、とは思う。だが聡さんはあまり俺が詮索するのを好まない。
聡さんは寄り目になって俺の唇を見つめた。
「キスがしたい。手洗いとうがいを済ませてきてください」
「あの、俺は先に飯が食べたいんですけど」
「いいでしょう」
宝物のようにそっと洗面所に送り出される。悪い気はしない。
「終わりました、おー、すげえ、うまそう」
リビングに入ると霜降りのすき焼き弁当と日本酒が俺を待ち受けていた。聡さんは椅子に座って微笑んでいる。
「乾杯しましょう」
「しますします、俺らの出会いに、かんぱーい」
俺はあわてて着席すると、グラスを合わせた。
「明日は休みですが、記念日ですからどこかへ行きますか」
「明日? 明日はそうだ、ごめんなさい。実家戻んなきゃ。父親が入院するんで、見舞いに。といっても深刻なやつじゃないんですが」
聡さんは顔を一瞬曇らせた。俺は警戒したが、すぐに聡さんは微笑みを取り繕う。
「大変ですね。お大事に。ぼくも行きましょうか」
聡さんは俺の単独行動が好きではない。
「あー、俺実は、親にカミングアウトしてなくて」
孫が見たいと言われては、あいまいに笑ってお茶を濁している臆病者である。
「友人としてでも構いません……すみません、困らせてしまいました。気を付けて」
自己犠牲的な笑みを浮かべ、恋人は俺にお許しをくださった。
「さあ、食べましょう。明日は行ってしまうのですから、一分でもあなたといっしょにいる時間を大切にしたい」
「おおげさですって」
俺は笑って肉を頬張った。じわりと甘辛い脂が口に広がる。聡さんは優しい目をして俺をじっと見つめている。
次の早朝、新幹線に乗って実家に向かった。母と合流し、父の入院先に行くと見覚えのある男が廊下を歩いてくる。男は俺に気づくと声をかけてきた。
「祥一」
「淳(じゅん)……!」
高校時代に交際していた同級生だった。着ている制服から、看護師をしているのだとわかった。こんなところで、しかも母親といっしょのときに出会いたくはなかった。俺は内心呻いた。当時のことを思い出すだけで胃が荒れる。
「あら、お友だち? こんにちは。祥一、懐かしいでしょう。少し話してらっしゃいよ」
何も知らずに母は言った。
「いや、仕事中だろう。俺はいいよ」
「少しぐらいなら大丈夫」
俺は淳を恨めしい顔で見た。話を合わせてくれてもいいじゃないか。
「じゃあ私、先に行ってるから」
母が行ってしまってから、俺は声を落として淳を責めた。
「なんのつもりだよ。浮気の末に人をふっておいて」
「今は悪かったと思ってるよ。それが言いたかった」
淳はなだめるような笑顔で言った。ははん、こいつ、今はフリーだな。俺は思い切り顔をしかめた。
男なら誰でもいい、だから不細工な俺と付き合った。そんな本音を隠しもしなかった奴だった。
「悪いが俺、今彼氏いるから。すごく大事にしてくれる人」
浮気をするが頭はまともな奴と、浮気をしないが頭のネジがどうかしている聡さんなら、俺は断然後者を選ぶ。
「そう言わないで、さ。また連絡とろうぜ」
「断る」
これ以上面倒な目に巻き込まれる前にと、俺はさっさとその場を離れた。
父は思ったよりは元気だったが、痩せていた。見舞いを終えると実家に戻って、ひさびさに母と昼食をとることになった。
「今夜は泊っていくでしょ」
母はにこにこと言って、俺の好物だった餃子をテーブルに出した。丸っこい独特の形に、にらの匂い。懐かしくて涙が出そうだ。
「ええっと、ごめん、明日友だちと遊ぶ予定があって……早めに帰りたいんだ」
「そう」
口から出まかせを言うと母は寂しそうな顔をした。罪悪感がずしんと肩にのしかかった。
母の希望通り、泊ってしまおうか。異性愛者だという幻想を壊さず、いい息子を演じてあげるのが親孝行なんじゃないか。
俺の心を読んだようなタイミングでスマートフォンが振動した。ちらりと見ると聡さんからだった。
『手錠を買いました 今はこれを心の支えにしています 早く帰ってきて』
ひえ、と内心で声をあげる。カーテンを締め切った部屋で手錠を一心に見つめる聡さんが目に浮かんだ。大変だ。
「ほんとごめんな、悪い息子でさ」
俺は心から母に詫びた。母は首を横に振った。
「いいや、いい子だよ。さ、冷めないうちにお食べ」
やめて。つらい。
『今実家出ました 早まらないで』
新幹線が倍速にならないかとじりじりながら、東京に飛んで帰る。玄関を開けると聡さんが抱きついてくる。
「おかえりなさい、心配で心配でたまらなかった。あなたが初恋の人と出会ってしまったら、と考えたら、我慢ができませんでした」
俺はぎくりとした。本当のことを言えばまた聡さんが物騒なものを持ち出すのが目に見えている。
「前も言いましたが、俺の初恋は既婚の体育教師ですって。熊みたいな人。もう転勤してるだろうし、大丈夫ですよ」
淳は初めての恋人だが、初恋の相手ではない。したがってうそはついていない。
「ぼくはあなたの理想とはほど遠いんですね」
逆効果だったのか、聡さんは声を震わせた。
「わーっ、聡さんみたいなイケメンも好きです、大丈夫ですってば」
「気を遣わせてしまった」
「違う違う! 愛してなかったらこうやって飛んで帰ってきませんって!」
「ありがとうございます、ぼくなんかのために」
ダメだ、暗黒サイドに入ってしまわれた。なんとかなだめようとどうどうと背中を撫でると、俺を抱きしめる聡さんの力が強くなる。聡さんの身体が熱くなっていく。
「ごめんなさい、祥一、欲情が止められない、ぼくは、ぼくは」
「えっと、どうぞ! それで聡さんが満足するなら!」
聡さんは思いつめた顔で俺を脱がしはじめる。
淳からスマートフォンに連絡が来たのは、次の日の午後だった。
『よう祥一』
見慣れないアイコンと見慣れた名前に、俺は飛び上がった。さいわい聡さんは一週間分の食料を買いにスーパーへ出かけていた。
『淳 どうして』
『お前の母親から聞き出した』
俺は顔を覆った。別れたあと電話番号を変えたから、もう連絡はとれないだろうと油断していた。
『ブロックするわ』
『つれねえこと言わんとまた会おうよ』
『やめとけ 俺の彼氏すげえやきもち妬きだから 命の保証はできない』
『そんな奴よせよ 正直心配だよ』
失恋したときの、胃がしばらく食べ物を受け付けなくなった苦い記憶がよみがえる。俺は顔をしかめた。
うるさい。俺は俺が選んだ人といっしょにいるのが幸福だ。
『お前よりまし』
『言っとくけどブロックしても電話番号もメアドももらってるから意味ないぞ いざとなったら連絡しろ 助けてやる』
ちゃんと愛してもくれなかった奴が今さら何を言う。それ以前に、同級生の立場を悪用しすぎだ。俺は呻きながらブロックリストに淳の名前を追加した。
「ただいま」
声がして、俺はびくりと肩をすくめた。野菜がぎゅうぎゅうに詰まったエコバッグを両手に提げ、聡さんが部屋に入ってくる。
「お、おかえりなさい」
「何かありましたか」
「なんでもないですって」
俺の声は必要以上にうそくさく響いた。そのときだった。
突然、緊張した背筋を逆なでするように、スマートフォンの着信音が鳴った。心臓が止まるかと思った。この状況、どう考えても相手は淳だ。
まずい、これ、まずい。俺はパニックになった。
「ぼくはかまわないので出てください。きっと親御さんでしょう?」
聡さんは俺をじっと見据えている。逃げ場がない。このときの俺は、知らない人が見れば殺人事件の犯人に見えたことだろう。
手のひらにじっとりと汗をかいていて端末を取り落としそうになるのを、必死に握りしめる。おそるおそる画面を見る。
――通知には『お母さん』とあった。
(セーフ!!!)
俺は心の中で叫んだ。
「祥一?」
「もしもし、どうしたの、お母さん」
あまりの安堵にだらしなく笑う俺を、聡さんは黙って見ている。
「聡さん、もうごはんいいんですか?」
「ええ」
晩ごはんを半分も残して、聡さんはいつものように優しく微笑んだ。
「風邪ですか?」
「いえ。身体は元気です」
「じゃあ、疲れですかね? もったいないのでよかったらもらいますよ」
「どうぞ」
どうしたんだろう。考えながら俺は一・五人前の食事を平らげた。
後片付けを終え、風呂からあがると聡さんは寝室でひとり手錠を撫でていた。
当然、俺はぎょっとした。
「な、何やってんだ」
「ごめんなさい、こうしないと落ち着かなくて」
「俺でよければ話聞きますけど、会社で何かありました?」
「会社では、何も」
「うちみたいに実家の方ですか」
「ほんとになんでもないんです。お風呂に入ってきますね」
聡さんは手錠をそっと机にしまうと、部屋を出て行った。
心臓がばくばくと鳴っている。いくら察しの悪い俺でも、昼の一件以外に原因がないことに気づいてしまった。
どうしよう、本当のところを言うべきか。だが聡さんが淳のことを知れば、手錠か刃物の出番だ。どうして何も悪いことをしていないのに俺が悩まなくちゃいけないんだ。全部淳のせいだ。
『助けてやる』
ラインの一文が俺を誘うように脳裏に浮かんだが、俺はすぐさま心の中で淳ごと蹴とばした。出てくるな、ややこしくなる。
「ううう」
俺が頭を抱えていると、聡さんが風呂を終えて出てきた。しっとりと湯上りの髪をして、憂いのこもった瞳で。
俺は聡さんに見惚れた。ああ、俺はこの不安定で真面目な人が好きだ。恋に臆病だった俺がもう一度人を好きになれたのは、この人が一途でいてくれたからだ。両親に言えないものを隠したまま、ひとりきりで過ごす東京での暮らしは耐えがたかった。聡さんが現れてから、俺はただの一度も泣いていない。少しぐらい愛情が行き過ぎていたって、ないよりは一億倍いい。
「聡さん、セックスしましょう。あなたの不安は俺がなぐさめます、大丈夫です」
思わずそう言っていた。聡さんは唇を震わせた。
「ありがとう、祥一。でも今夜はいいです。あなたに優しくできないかもしれない」
「俺、頑丈ですよ。思い切り発散しちゃえばいいです。聡さんが不安に思わなきゃいけないことなんて、これっぽっちもないんだ」
聡さんは俺のとなりに来たが、額に軽いキスをすると、離れた。
「そう。ぼくの問題。ぼくが不安に駆られるのも、あなたに手錠をかけたくて仕方なくなるのも」
聡さんは暗い顔をして、自分のベッドに腰かけた。俺は笑った。
「手錠、かけたらいいですよ。終わったら外してくれるなら」
「今のぼくではそれが保障できないんだ」
「それは大変だ。でも聡さんなら大丈夫ですよ」
「どうして」
「俺が好きになった人だから」
聡さんはびくりとした。
「俺にひどいことなんて、絶対できない。違います?」
俺は聡さんの手をそっと握った。
「だから極端な行動をする前に、俺に言ってくれるんでしょう?」
聡さんはうなだれた。
「買いかぶりです。本当のぼくは、相談することで祥一を思い通りにしたかっただけです」
聡さんは自嘲するような笑みを浮かべた。
「尽くして、尽くして、尽くして、それでもみんな最後はぼくのもとを去っていった。もうあんな思いは嫌だったんです。あなただけは失いたくなかった」
「なぜ」
「ぼくの愛に怯えない、唯一の人だったから」
それはそうかもしれない。
「壊れることをちらつかせれば、あなたはぼくを見捨てられないと気づいてしまった。祥一の優しさに救われたくせに、そこにつけ込んだ。どんなに束縛しても笑っているあなたに、さらに束縛したい欲求が募った」
「ちゃんと言えたじゃないですか。それは聡さんが誠実だってことだ」
聡さんは悲しそうに微笑んで、俺の手にキスを落とした。
「好きだ。こんなに拗らせてしまう前にあなたに出会えていたらよかった」
俺はくすぐったくなった。
「はは、たしかに。もっと早くあなたを拾ってあげたかった。淳なんかと出会う前に」
「淳?」
聡さんは青ざめた。しまった、口を滑らせた。
「俺の元恋人で、不誠実な奴なんですけど……最近復縁したいのか連絡してくるようになっちゃって。もちろんこちらは断ってるんですよ」
おそるおそる言うと聡さんは唇を噛んだ。
「ぼくが嫉妬すると思って黙っていたんでしょう。危ないことを……ぼくの知らないところで襲われてしまったら、どうするつもりだったんですか」
危なさで言えば聡さんも相当だけどな。そんな余計なことを考えていたせいで一瞬反応が遅れた。
「え、いや、俺が無実ってこと、信じてくれるんですか!?」
あの聡さんが? うそだろ?
「あなたがぼくを信じてくれたから」
聡さんは俺の頬を撫でた。
「本当はまだ、奪われるのがこわいけれど。あなたを盗られたら文字通り生きていけないので」
「今度また、携帯の番号を変えます」
「手伝います。あなたからその元恋人の痕跡をすべて消さなくては」
聡さんは寄り目になって俺の瞳を覗きこんだ。
「さっきのベッドのお誘いはまだ有効ですか?」
俺はくすっと笑った。
「もちろん! ちなみに手錠も有効です」
「っ……」
聡さんは真っ赤になって口元を押さえた。
「あれをあなたの手首に……想像しただけで、結構来ますね、これ」
俺はベッドを降り、机から手錠を出すと問答無用でがちゃがちゃと両手首にはめた。
「えへへ、似合ってます?」
気づけば俺は、天井と聡さんとをぽかんと見上げていた。ベッドに引きずり込まれたのだとわかるまで時間がかかった。いつもは穏やかな聡さんの手が勢いよくパジャマに入ってくる。いやはや、大変な効き目である。
ほんのり赤くなった手首で、俺は次の朝、母に電話をかけた。
「どうしたの祥ちゃん、こんな朝早く」
俺のとなりで聡さんが寝息を立てている。俺は言葉に詰まったが、乾いた喉をごくりと湿らせて言った。
「母さん、ごめん」
「何よ」
「俺、付き合ってる人がいる」
「まあ、よかったじゃない! どんな方?」
「……男なんだ」
一世一代の大告白だった。が。
「だから、どんな方? この前の淳さん?」
言葉が出ないまま、一秒、二秒。てっきり泣かれるものだと思っていた俺は、電話に向かって叫んだ。
「え、驚かないの!?」
「淳さんから聞いてるわよ、付き合ってたって。連絡先聞かれたときに」
「何勝手なことしてんだ、あのクソ野郎……え、でも母さん信じたの!? なんで!?」
「なんとなくうすうす思ってたことだったから、逆に安心したわよ」
何それ。俺はかっと赤くなった。俺だけひとりシリアスになって、バカみたいだ。
「で? 淳さんと寄りを戻したの?」
「違う!! ……東京で出会った人だ。小羽聡さん。俺のこと、すごく愛してくれる」
少しばかり度は過ぎているが。俺は赤くなった手首をうっとりと見つめた。
「そういうことだから、うん、元気で。父さんによろしく。じゃあ」
俺は電話を切った。気づくと聡さんが身体を起こして、じっとこちらを見ている。俺はぎょっとした。
「何ですか、聡さん」
「お母さんにぼくを紹介してくれたんですね。ありがとう。今度ご挨拶に伺いましょう」
聡さんは俺の手をとると、つうっと手錠の痕をなぞった。昨日の痺れが身体に戻ってくる。
「あなたを手に入れるには、あなたを信じるだけでよかったんだ。ごめんなさい、もっと早く気づけばよかった」
俺はごまかすように笑った。
「そうそう。これからは俺を信じて、どーんと構えててくださいよ」
俺の愛した人はつられたように、安心した顔をして笑った。初めて見る表情は、とてもきれいだった。
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