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第4章:記憶の欠片
第44話
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「着きました。ここがラーズニェです。」
ツヴェルさんとレミリーさんに連れられ、僕とルナさんは水の都と呼ばれる街へやって来た。
廊下でばったり出会ったツヴェルさんから、幹部の仕事に同行してはどうかと提案されたのだ。
ルナさんは、ヴェラという人物を探す為。僕は記憶を取り戻す手がかりを探す為。しばらくの間、一緒に行動する事にした。
「私達は、依頼主の所へ話を聞きに行くわ~。終わり次第、手紙で連絡するわね~。」
「フランさん。ルナから目を離さないように気を付けて下さい。」
「は、はい…わかりました。」
「ちょっと~!それじゃまるで、私がすぐ迷子になるみた…」
「今のあなたは魔法が使えないのですから、はぐれたりしたら大変です。フランさんの腕は信用していますから、一緒に行動する分には安心ですし。」
「ふふふ。それだけルナの事が大事だって事よ~。」
「なっ!?何故そうなるんですか!仮にも彼女は、僕達より上の立場だからと言うだ…」
「ほらほら~。早く行かないと、日が暮れちゃうわよ~。」
「レミリー…!そっちではなくあっちに…」
離れていく2人を見送り、僕とルナさんは街の中心に向かって歩き出した。
水路に流れる水が、陽の光を反射してキラキラと光り輝く。細かいタイルで色鮮やかな模様が描かれており、透き通ったきれいな水であることが分かる。
「きれいな街ですね。」
「私が初めて来た時も、そんな風に思ったなぁ。」
「ルナさんは以前…何をしにこの街へ?」
「依頼か何かで来たと思うけど…。あ!フランと一緒に、旅行にも来たよ。」
「え?僕と一緒にですか?」
「フランと2人でって訳じゃなくて、昨日会った皆も一緒にね。向こうにある山の麓に、レミリーの友達がやってる宿があって…」
それから彼女は、イムーブルの幹部達とこの街へ来た時の事を語り出した。
船に乗り、街中を観光した事。温泉に入り、皆で布団を並べて寝た事。彼女は楽しそうに、生き生きとした表情で話をした。
「あ、ほら見て!これ、建国記念日のお祭りの時に皆で被っ」
「っ!」
彼女が近くの店から持ち出したのは、顔を覆い隠す白い仮面だった。僕は咄嗟に手を振り払い、仮面が宙を舞った。
「フ、フラン…?どうしたの?」
「あ…いや…。」
白い仮面を見て、赤く染った剣を握りしめる自分の姿が頭をよぎった。ズキリと痛む頭を抑え、深く息を吐いた。
「おいあんたら!うちの商品に、なんて事してくれたんだ!水に流されて、向こうに行っちまっただろうが!」
「す、すみません…!あの…おいくらで…」
「支払いはこれで。」
僕達の元に、青いローブを身にまとった男が現れた。フードを深く被っていて顔はよく見えないが、身につけている装飾品はどれも高価そうなものばかりだ。
男は店主に硬貨を渡すと、ルナさんの腕を掴んで大通りの方へ歩き出した。
「あ、あの…ちょっと…!」
掴まれていない方の腕を掴み、強引に連れ去ろうとする男の歩みを止めた。
「彼女は僕の連れです!その手を離して下さい!」
「女性に手をあげるような方が、そのような事を言える立場だとお思いで?」
「か、彼は私の友人です!さっきは…えっと…何か勘違いがあったみたいで…。」
「…あなたがそう仰るのであれば、信じる他ありませんね。出過ぎた真似をしてしまい、申し訳ありません。」
男は彼女の腕を離し、深々と頭を下げた。
「最近、この辺りで物騒な事件が多いものですから…事件に巻き込まれているのでは無いかと、勘違いしてしまいました。」
「私達の方こそ、お金…払って頂いて助かりました。あの…おいくらでしたか?」
「その事でしたら、どうぞお気になさらず。私には必要ありませんから。」
「せめて、何かお礼をさせて頂けませんか?差し上げられるような物はありませんが…。僕に出来る範囲で、何でもお手伝いします。」
「それでしたら、私と一緒にお茶でもいかがでしょうか?少し歩きますが…それでもよろしければ是非。」
男に誘われるがまま、僕達は彼の後ろをついて行くことにした。
水路に架かった橋を渡り、長い階段をのぼり、大きな門を何個も潜り、しばらく歩いてお城の前に辿り着いた。
「こ、ここは…。」
「あなたは一体…?」
「そう言えば…まだ名乗っていませんでしたね。申し遅れました。私は、ラーズニェ王国第2王子コウルルラウシュと申します。」
「だ、第2…!?」
「お、王子様だとは知らず…。とんだ無礼を!お許し下さい…!」
「知らないのは、無理もありません。私が街へ出かけたのはお忍びですし、バレないようにと顔も隠していましたからね。」
「その…あなたのような方が、何故私達をお誘いになったのですか?」
「その辺の話は、座りながらゆっくり致しましょう。すぐに準備させますので、中庭でお待ちください。」
そう言うと、彼は付き人と共に城の中へ入っていった。入れ替わるようにやって来た使用人の案内で、僕達は城の中庭に通された。
椅子に座ってしばらく待っていると、着替えを済ませたコウ様が使用人を引き連れてやってきた。
反射的に席を立ち、床に膝を着いて深く頭を下げた。
「わざわざ礼など、必要ありませんよ。ゆっくりお茶でも楽しみましょう。」
「お、お気遣い感謝します。」
「君は、まるで騎士みたいですね?どこの出身なのですか?」
「え?ええと…」
「か、彼はヴィエトルの出身なんです…!私と一緒に、エーリに通っていたので…自然と作法が身についたのではないでしょうか…!」
返答に迷っていると、隣に座った彼女が慌てて話を合わせた。
「なるほど…エーリに通われていたのであれば、納得ですね。そういえば、お2方のお名前をお聞きしても?」
「申し遅れました…!ルナソワレーヴェと申します。」
「僕は、フランセシ…」
危うく人間の名前を言いそうになり、ハッと息を飲んだ。
「か、彼は、フランドルフルクです!」
「ふふ。あなたは彼の事を何でも知っているのですね。」
「実は…彼は、記憶喪失なんです。記憶を取り戻す手がかりになればと思って、以前来たことがあるこの街に足を運びました。」
「そうだったのですね。お気の毒に…。早く記憶が戻る事を祈ります。」
「…ありがとうございます。」
彼は用意されたカップを持ち上げ、紅茶を口に含んだ。
「その…先程もお聞きしたのですが、なぜ私達をお誘いになられたのですか?」
「あなたの目です。」
「目…?私の目…ですか?」
「以前もこの街にいらしたのですよね?それも恐らく、建国記念日の催しがあった時に。」
「な、何故それを!?」
「覚えていらっしゃいませんか?こうして、あなたにもう一度会う為に、まじないを掛けた時の事を。」
そう言いながら席を立った彼は、ルナさんの前に膝をつき手の甲に軽く口付けをした。
「え!ま、まさか…あの時の…?」
「あの時は、顔も名前も分かりませんでしたが…あなたの目を見て分かりました。もう一度会えて、嬉しいです。まじないをした甲斐がありました。」
「お、王子様だとは気付かず…とんだ失礼を…。」
「ふふ。あの時も、お忍びでしたからね。」
彼等の話についていくことが出来ず、僕はちびちびと紅茶を啜った。
「彼も、あの場にいらっしゃいましたか?」
「あ、はい!それで先程、お祭りの時に身につけた仮面を見せていたんです。」
「あぁ…ようやく話が見えました。そのような事情があったのですね。」
「ラウシュ様。少々よろしいでしょうか?」
「っと…すみません。少し席を外しますね。すぐに戻りますので。」
「あ、私達の事はどうぞお構いなく!」
使用人に呼び出され、彼は中庭から城の中へと姿を消した。
「フラン…あの時何か、思い出した?」
「あー…いえ、特には。」
手元のカップに目線を落とし、僕は言葉を濁した。
血にまみれた自分の姿が頭をよぎったなど、そんな事を言える訳が無かった。
「まだ時間があるようなら、今度は山の麓の方に行ってみよっか。」
「僕の事より、ヴェラさんを探しませんか?ずっとこの街に、居られる訳ではないですし。」
「それはそうだけ…」
「お待たせしました。急に席を外してしまい、すみません。」
席を外していたコウ様が、慌てた様子でこちらに戻って来た。
「い、いえ…!その…お忙しいでしょうから、僕達はそろそろ…」
「もう少しだけ、お茶を飲んでいきませんか?私の古くからの友人が、ここへ来てくれるそうなのです。」
「ご友人…ですか?」
すると彼は、手に握っていた一通の手紙を僕達の前に差し出した。
封筒の下の方に、差出人と思われるレミリアマーリオの名前が書かれている。
「これって…レミリーの手紙じゃ…。」
「城の前に、不審な手紙が届いたと報告を受けたので…失礼ながら、中身を見させていただきました。どうやら、あなたがたに宛てた手紙のようですね。」
「この手紙と、コウ様のご友人には一体何の関係が?」
「レミリアは、私の友人でもあるのです。偶然とはいえ、これは運命かも知れませんね。」
「えぇ!?レミリーはコウ様と友人…なのですか?」
「はい。彼女の両親が、この城で働いたんです。身分の違いはありましたが、幼い頃によく彼女と遊んだものです。」
「そんな偶然があるのですね…。」
「彼女の手紙の返事は、私が責任を持って送りました。久しぶりに彼女とも会って話がしたいので、お2人ももう少しだけ付き合って頂けませんか?」
「もちろんです。コウ様のお誘いを断る理由がありません。」
「ふふ。ありがとうございます。そういえば…以前、隣国から頂いた茶菓子があるんでした。すぐに用意させますね。」
用意された茶菓子を頬張り、お茶を飲む。そんな優雅で穏やかな時間は、あっという間に過ぎていった。
ツヴェルさんとレミリーさんに連れられ、僕とルナさんは水の都と呼ばれる街へやって来た。
廊下でばったり出会ったツヴェルさんから、幹部の仕事に同行してはどうかと提案されたのだ。
ルナさんは、ヴェラという人物を探す為。僕は記憶を取り戻す手がかりを探す為。しばらくの間、一緒に行動する事にした。
「私達は、依頼主の所へ話を聞きに行くわ~。終わり次第、手紙で連絡するわね~。」
「フランさん。ルナから目を離さないように気を付けて下さい。」
「は、はい…わかりました。」
「ちょっと~!それじゃまるで、私がすぐ迷子になるみた…」
「今のあなたは魔法が使えないのですから、はぐれたりしたら大変です。フランさんの腕は信用していますから、一緒に行動する分には安心ですし。」
「ふふふ。それだけルナの事が大事だって事よ~。」
「なっ!?何故そうなるんですか!仮にも彼女は、僕達より上の立場だからと言うだ…」
「ほらほら~。早く行かないと、日が暮れちゃうわよ~。」
「レミリー…!そっちではなくあっちに…」
離れていく2人を見送り、僕とルナさんは街の中心に向かって歩き出した。
水路に流れる水が、陽の光を反射してキラキラと光り輝く。細かいタイルで色鮮やかな模様が描かれており、透き通ったきれいな水であることが分かる。
「きれいな街ですね。」
「私が初めて来た時も、そんな風に思ったなぁ。」
「ルナさんは以前…何をしにこの街へ?」
「依頼か何かで来たと思うけど…。あ!フランと一緒に、旅行にも来たよ。」
「え?僕と一緒にですか?」
「フランと2人でって訳じゃなくて、昨日会った皆も一緒にね。向こうにある山の麓に、レミリーの友達がやってる宿があって…」
それから彼女は、イムーブルの幹部達とこの街へ来た時の事を語り出した。
船に乗り、街中を観光した事。温泉に入り、皆で布団を並べて寝た事。彼女は楽しそうに、生き生きとした表情で話をした。
「あ、ほら見て!これ、建国記念日のお祭りの時に皆で被っ」
「っ!」
彼女が近くの店から持ち出したのは、顔を覆い隠す白い仮面だった。僕は咄嗟に手を振り払い、仮面が宙を舞った。
「フ、フラン…?どうしたの?」
「あ…いや…。」
白い仮面を見て、赤く染った剣を握りしめる自分の姿が頭をよぎった。ズキリと痛む頭を抑え、深く息を吐いた。
「おいあんたら!うちの商品に、なんて事してくれたんだ!水に流されて、向こうに行っちまっただろうが!」
「す、すみません…!あの…おいくらで…」
「支払いはこれで。」
僕達の元に、青いローブを身にまとった男が現れた。フードを深く被っていて顔はよく見えないが、身につけている装飾品はどれも高価そうなものばかりだ。
男は店主に硬貨を渡すと、ルナさんの腕を掴んで大通りの方へ歩き出した。
「あ、あの…ちょっと…!」
掴まれていない方の腕を掴み、強引に連れ去ろうとする男の歩みを止めた。
「彼女は僕の連れです!その手を離して下さい!」
「女性に手をあげるような方が、そのような事を言える立場だとお思いで?」
「か、彼は私の友人です!さっきは…えっと…何か勘違いがあったみたいで…。」
「…あなたがそう仰るのであれば、信じる他ありませんね。出過ぎた真似をしてしまい、申し訳ありません。」
男は彼女の腕を離し、深々と頭を下げた。
「最近、この辺りで物騒な事件が多いものですから…事件に巻き込まれているのでは無いかと、勘違いしてしまいました。」
「私達の方こそ、お金…払って頂いて助かりました。あの…おいくらでしたか?」
「その事でしたら、どうぞお気になさらず。私には必要ありませんから。」
「せめて、何かお礼をさせて頂けませんか?差し上げられるような物はありませんが…。僕に出来る範囲で、何でもお手伝いします。」
「それでしたら、私と一緒にお茶でもいかがでしょうか?少し歩きますが…それでもよろしければ是非。」
男に誘われるがまま、僕達は彼の後ろをついて行くことにした。
水路に架かった橋を渡り、長い階段をのぼり、大きな門を何個も潜り、しばらく歩いてお城の前に辿り着いた。
「こ、ここは…。」
「あなたは一体…?」
「そう言えば…まだ名乗っていませんでしたね。申し遅れました。私は、ラーズニェ王国第2王子コウルルラウシュと申します。」
「だ、第2…!?」
「お、王子様だとは知らず…。とんだ無礼を!お許し下さい…!」
「知らないのは、無理もありません。私が街へ出かけたのはお忍びですし、バレないようにと顔も隠していましたからね。」
「その…あなたのような方が、何故私達をお誘いになったのですか?」
「その辺の話は、座りながらゆっくり致しましょう。すぐに準備させますので、中庭でお待ちください。」
そう言うと、彼は付き人と共に城の中へ入っていった。入れ替わるようにやって来た使用人の案内で、僕達は城の中庭に通された。
椅子に座ってしばらく待っていると、着替えを済ませたコウ様が使用人を引き連れてやってきた。
反射的に席を立ち、床に膝を着いて深く頭を下げた。
「わざわざ礼など、必要ありませんよ。ゆっくりお茶でも楽しみましょう。」
「お、お気遣い感謝します。」
「君は、まるで騎士みたいですね?どこの出身なのですか?」
「え?ええと…」
「か、彼はヴィエトルの出身なんです…!私と一緒に、エーリに通っていたので…自然と作法が身についたのではないでしょうか…!」
返答に迷っていると、隣に座った彼女が慌てて話を合わせた。
「なるほど…エーリに通われていたのであれば、納得ですね。そういえば、お2方のお名前をお聞きしても?」
「申し遅れました…!ルナソワレーヴェと申します。」
「僕は、フランセシ…」
危うく人間の名前を言いそうになり、ハッと息を飲んだ。
「か、彼は、フランドルフルクです!」
「ふふ。あなたは彼の事を何でも知っているのですね。」
「実は…彼は、記憶喪失なんです。記憶を取り戻す手がかりになればと思って、以前来たことがあるこの街に足を運びました。」
「そうだったのですね。お気の毒に…。早く記憶が戻る事を祈ります。」
「…ありがとうございます。」
彼は用意されたカップを持ち上げ、紅茶を口に含んだ。
「その…先程もお聞きしたのですが、なぜ私達をお誘いになられたのですか?」
「あなたの目です。」
「目…?私の目…ですか?」
「以前もこの街にいらしたのですよね?それも恐らく、建国記念日の催しがあった時に。」
「な、何故それを!?」
「覚えていらっしゃいませんか?こうして、あなたにもう一度会う為に、まじないを掛けた時の事を。」
そう言いながら席を立った彼は、ルナさんの前に膝をつき手の甲に軽く口付けをした。
「え!ま、まさか…あの時の…?」
「あの時は、顔も名前も分かりませんでしたが…あなたの目を見て分かりました。もう一度会えて、嬉しいです。まじないをした甲斐がありました。」
「お、王子様だとは気付かず…とんだ失礼を…。」
「ふふ。あの時も、お忍びでしたからね。」
彼等の話についていくことが出来ず、僕はちびちびと紅茶を啜った。
「彼も、あの場にいらっしゃいましたか?」
「あ、はい!それで先程、お祭りの時に身につけた仮面を見せていたんです。」
「あぁ…ようやく話が見えました。そのような事情があったのですね。」
「ラウシュ様。少々よろしいでしょうか?」
「っと…すみません。少し席を外しますね。すぐに戻りますので。」
「あ、私達の事はどうぞお構いなく!」
使用人に呼び出され、彼は中庭から城の中へと姿を消した。
「フラン…あの時何か、思い出した?」
「あー…いえ、特には。」
手元のカップに目線を落とし、僕は言葉を濁した。
血にまみれた自分の姿が頭をよぎったなど、そんな事を言える訳が無かった。
「まだ時間があるようなら、今度は山の麓の方に行ってみよっか。」
「僕の事より、ヴェラさんを探しませんか?ずっとこの街に、居られる訳ではないですし。」
「それはそうだけ…」
「お待たせしました。急に席を外してしまい、すみません。」
席を外していたコウ様が、慌てた様子でこちらに戻って来た。
「い、いえ…!その…お忙しいでしょうから、僕達はそろそろ…」
「もう少しだけ、お茶を飲んでいきませんか?私の古くからの友人が、ここへ来てくれるそうなのです。」
「ご友人…ですか?」
すると彼は、手に握っていた一通の手紙を僕達の前に差し出した。
封筒の下の方に、差出人と思われるレミリアマーリオの名前が書かれている。
「これって…レミリーの手紙じゃ…。」
「城の前に、不審な手紙が届いたと報告を受けたので…失礼ながら、中身を見させていただきました。どうやら、あなたがたに宛てた手紙のようですね。」
「この手紙と、コウ様のご友人には一体何の関係が?」
「レミリアは、私の友人でもあるのです。偶然とはいえ、これは運命かも知れませんね。」
「えぇ!?レミリーはコウ様と友人…なのですか?」
「はい。彼女の両親が、この城で働いたんです。身分の違いはありましたが、幼い頃によく彼女と遊んだものです。」
「そんな偶然があるのですね…。」
「彼女の手紙の返事は、私が責任を持って送りました。久しぶりに彼女とも会って話がしたいので、お2人ももう少しだけ付き合って頂けませんか?」
「もちろんです。コウ様のお誘いを断る理由がありません。」
「ふふ。ありがとうございます。そういえば…以前、隣国から頂いた茶菓子があるんでした。すぐに用意させますね。」
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