7 / 24
7.悪い笑顔(注)喜んでるだけ
しおりを挟む
(自分から偉そうに誘っておいて、なに不安そうに私の顔を伺ってるの・・・)
吹き出しそうになるのを抑えて、無表情でグウィンに言った。
「ですが私はパーティと言うのは苦手でして・・・そもそも参加するなんて言ってませんが?」
「そこまで畏まってるものじゃない。学園の生徒も多数出席するぞ?あと参加するって俺は聞いたから間違いないはずだ。」
「ドレスというものを知らなくて・・・」
「いやそれはないだろ。」
持ってなかったとしても俺が用意するし・・・とモニョモニョ小さな声で言うグウィン。
「ドレス風の訓練服なら持っていますのでそれでよければ。」
「なんでそうなるんだよっっ!だから俺が用意するって言ってるだろ!」
今度はハッキリと大きな声で提案をしたグウィン。行き当たりばったりすぎる。
ミアは思わず口を開けて呆けた。
「えっ、なぜ私に用意をしてくれるのですか?」
グウィンの弟ルートにヒロインが入っているのならば、グウィンはヒロインに接触しているはずだ。
ミアにそんなふうにしているヒマがあるのだろうか?
(確かヒロインはストロベリーブロンドの髪の・・・エレンとか呼ばれてる女の子だったわね。)
今更記憶を追って、乙女ゲームについて考えるミア。
どうにかこの女たらし疑惑の男を押し付けたいようだ。
(今のグウィン侯爵なら、そんな嫌な性格もしてないし、ヒロインもこのツンデレの可愛さに萌え死ぬんじゃないかしら?あら?大人のツンデレは誰得・・・?)
可愛いと思っていることに疑問すら思わないミアだった。
「オイ!お前聞いてるのか?」
不意に声をかけられてびっくりする。
「ああ、すいません聞いてましたよ。」
「ふん。じゃあ来週迎えに来るからな。」
「・・・はあ?」
それを了承として捉えたグウィンは、そのままニヤッと笑って去っていった。
「最後の去り際まで悪そうな顔しちゃって・・・」
※グウィンとしては喜びの笑顔
やれやれと首を振っているミアの横で、アリアは彼女にシラケた目を浮かべて聞いた。
「で、返事しちゃってたけど何を了承したか分かってるの?」
「・・・教えてください。」
土下座をして頼み込むことにした。
「なるほどなるほど。つまり私は侯爵と来週ドレスのオーダーメイドをしに最近噂のお店に行くということですね。」
「ミア・・・他人事ねえ」
「そんな訳ないじゃない。・・・お金が無いからドレスは買えませんって言い訳通じるかな?」
「そんな訳ないでしょ!アナタの訓練服なんて騎士服を模したオーダーメイドじゃない!しかも両親からせめて女性らしい訓練服って頼まれてドレス風・・・!
丈夫さと実用性と服のデザインどれをとっても凄い出来のあれ!費用大分かかってるでしょ!?」
「そうね。汚れるのは忍びないから十着以上はあるわね。けどそれ以外については無駄遣いしてないわよ?」
それを毎日着回して、丁寧に手入れをするミア。
大事に扱うのは良いが流石にその服たちが土と汗まみれになるのは考えたくない。
微かに舌打ちをしてミアは言う。
「・・・じゃあお金ない作戦は無理ね。」
「当たり前でしょ。むしろ親に恥かかせる気?」
確かに・・・と思いミアはもう一つの案を出そうとした。が、アリアにバッサリと切り捨てられる。
「そもそもお金はグウィン侯爵が出すって言っていたわ。だから考えるだけ無駄ね。」
絶句する。逃れる術などないではないか。
服を一緒に買いに行くと言ってしまったのだ。つまりはパーティも出席すると同意したようなもの。
「侯爵様の誘いよね・・・しかも同意してしまった・・・欠席は許されないなんて・・・!」
「ミアって変なところで身分の意識するよね。普段から心がけとけばいいのに。・・・」
そうしたらグウィン侯爵のような変わってる男に捕まらずに済んだというのにという言葉は、アリアの心の中にしまって置くことにした。
今、ミアが楽しそうにしているのなら、彼女はそれでいいのだと納得をしたのだ。
吹き出しそうになるのを抑えて、無表情でグウィンに言った。
「ですが私はパーティと言うのは苦手でして・・・そもそも参加するなんて言ってませんが?」
「そこまで畏まってるものじゃない。学園の生徒も多数出席するぞ?あと参加するって俺は聞いたから間違いないはずだ。」
「ドレスというものを知らなくて・・・」
「いやそれはないだろ。」
持ってなかったとしても俺が用意するし・・・とモニョモニョ小さな声で言うグウィン。
「ドレス風の訓練服なら持っていますのでそれでよければ。」
「なんでそうなるんだよっっ!だから俺が用意するって言ってるだろ!」
今度はハッキリと大きな声で提案をしたグウィン。行き当たりばったりすぎる。
ミアは思わず口を開けて呆けた。
「えっ、なぜ私に用意をしてくれるのですか?」
グウィンの弟ルートにヒロインが入っているのならば、グウィンはヒロインに接触しているはずだ。
ミアにそんなふうにしているヒマがあるのだろうか?
(確かヒロインはストロベリーブロンドの髪の・・・エレンとか呼ばれてる女の子だったわね。)
今更記憶を追って、乙女ゲームについて考えるミア。
どうにかこの女たらし疑惑の男を押し付けたいようだ。
(今のグウィン侯爵なら、そんな嫌な性格もしてないし、ヒロインもこのツンデレの可愛さに萌え死ぬんじゃないかしら?あら?大人のツンデレは誰得・・・?)
可愛いと思っていることに疑問すら思わないミアだった。
「オイ!お前聞いてるのか?」
不意に声をかけられてびっくりする。
「ああ、すいません聞いてましたよ。」
「ふん。じゃあ来週迎えに来るからな。」
「・・・はあ?」
それを了承として捉えたグウィンは、そのままニヤッと笑って去っていった。
「最後の去り際まで悪そうな顔しちゃって・・・」
※グウィンとしては喜びの笑顔
やれやれと首を振っているミアの横で、アリアは彼女にシラケた目を浮かべて聞いた。
「で、返事しちゃってたけど何を了承したか分かってるの?」
「・・・教えてください。」
土下座をして頼み込むことにした。
「なるほどなるほど。つまり私は侯爵と来週ドレスのオーダーメイドをしに最近噂のお店に行くということですね。」
「ミア・・・他人事ねえ」
「そんな訳ないじゃない。・・・お金が無いからドレスは買えませんって言い訳通じるかな?」
「そんな訳ないでしょ!アナタの訓練服なんて騎士服を模したオーダーメイドじゃない!しかも両親からせめて女性らしい訓練服って頼まれてドレス風・・・!
丈夫さと実用性と服のデザインどれをとっても凄い出来のあれ!費用大分かかってるでしょ!?」
「そうね。汚れるのは忍びないから十着以上はあるわね。けどそれ以外については無駄遣いしてないわよ?」
それを毎日着回して、丁寧に手入れをするミア。
大事に扱うのは良いが流石にその服たちが土と汗まみれになるのは考えたくない。
微かに舌打ちをしてミアは言う。
「・・・じゃあお金ない作戦は無理ね。」
「当たり前でしょ。むしろ親に恥かかせる気?」
確かに・・・と思いミアはもう一つの案を出そうとした。が、アリアにバッサリと切り捨てられる。
「そもそもお金はグウィン侯爵が出すって言っていたわ。だから考えるだけ無駄ね。」
絶句する。逃れる術などないではないか。
服を一緒に買いに行くと言ってしまったのだ。つまりはパーティも出席すると同意したようなもの。
「侯爵様の誘いよね・・・しかも同意してしまった・・・欠席は許されないなんて・・・!」
「ミアって変なところで身分の意識するよね。普段から心がけとけばいいのに。・・・」
そうしたらグウィン侯爵のような変わってる男に捕まらずに済んだというのにという言葉は、アリアの心の中にしまって置くことにした。
今、ミアが楽しそうにしているのなら、彼女はそれでいいのだと納得をしたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる