悪役に壁ドンされたら思い出しました

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22.茶番、断罪、転生者

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「うふふっ、ふふ・・・これで私は逆ハールート一直線ね・・・!」

 なにやらぐふふとにやけながら、ぶつくさ呟いているヒロインのエレン。

少し不気味に思ったグウィンは、情けなくもミアの背後に回る。

グウィンの判断は間違ってはいなかったのだが・・・

「いくらグウィン様が軟弱であっても女の私である背中に隠れるのは情けないですよ?」

「うっ、うるさい・・・!アイツなんか怖いんだよ、虚ろな目でこっち見て笑ってんだぞ!?」

言い合っていると、ゆらりと一歩近づくエレン。

「うふ、うふふふふ」

「ひいいいいいい!」

 何の茶番だとシラケた目を二人に向けるミア。

周囲はおかしな笑いと行動をしているエレン、その取り巻きのように野次を飛ばす馬鹿四人組、そして図体はあるのに女の背中に隠れるグウィンの一触即発(?)な雰囲気に飲まれ、遠巻きに眺めていた。

「グウィンさま!これがみなさまの証言よ!貴方がわたしを口説き、断られた腹いせに虐めてきた内容と日時を全て記しました!」

バッ!と幾つもの紙を取り出して、宰相の息子であるルドルフに大仰に渡した。

ちなみにルドルフも膝をついて大仰に受け取った。

そして罪状を読み上げていく。
だいぶ過激な腹いせがあると思ったら可愛らしい内容のものもある。
だが────

「なにか言いたいことはありますかぁ?ないですよねぇ。だってこれは本当のことだもの!」

ない胸を自信満々に張ってふんぞり返るエレン。

そんな彼女に四人組も同調し始める。

「俺がエレンと共にいるのを見かけた兄上が、エレンにちょっかいをかけたのがきっかけでした!エレンは優しいやつだから温厚に断ったんだ・・・けれどそれを許せなかった兄上はエレンにさっきみたいな嫌がらせを繰り返した!」

「そして決め手が先日のスウィーツ店での出来事さ。王太子である私が直接この目で見たんだ。なにか反論はあるかい?」

爽やかに周囲に問いかけた王太子。

もちろん全て嘘だし周りもそれを察している。

だが相手はあの王太子だ。
反論はあるのかと問いかけられてハイありますと馬鹿正直に手を上げる者はいなかった。

そんな様子を見れた王太子は、納得をしたふうに鼻を鳴らした。

「ではグウィン侯爵。そなたのことは信じたかったがこれが現実だ。私たち王族の期待を裏切ったのだ。それ相応の罰を与えよう。」

「なっ・・・殿下!冷静になってください、どう考えても私はそんなことをしておりません!」

 さすがに王太子までもが断罪に参加し罰を与えるとは思わなかったグウィン。

どうにか無実を晴らそうと今までのスケジュールを発表しようとしたが・・・

「あー、いいよいいよ。どうせ君が言うスケジュールなんて嘘の塊だろうから。おい衛兵、コイツを連れていけ!」

「ええええええ!いやこの馬鹿王太子がぁぁぁ!」

「グウィン様。馬鹿だとしても・・・・・・・彼は王太子ですよ。曲がりなりにも・・・・・・・王太子なのですよ。そんな叫んだらもっと罪が重くなります。」

(いやお前助けてくれないのね!)

グウィンが心から叫びたくなった瞬間だった。

王太子の呼び声によって、戸惑いながらも兵士たちがグウィンを捕らえようとするが・・・

「あらごめんあそばせ。足が滑りましたわオホホ」

グウィンの盾になっていたミアがすかさず動いて、鋭いヒールでズガッと攻撃した。

もちろんヒールなため、相手の骨が折れないよう調節をして。

「なっ・・・」

そんな令嬢らしからぬ動きをした、見知らぬ綺麗な女にあんぐりとする会場の全員。

「さすが俺が見込んだだけはある女だ!」

ちなみにグウィンだけは空気を読まず喜んでいる。まあわざとだろうが。

「あ、アンタ誰よ!人の問題に首を突っ込まないでちょうだい!」

「あら、とうとう〝地〟が出てしまいましたね。エレン様。乱雑な口調は良くないですよ?」

ちなみに暴力も良くないが。

そんな風に口調を指摘されたエレンは、顔をかっと沸騰させて金切り声をあげた。

「今そんなの関係ないわよ!こっちは断罪劇・・・イベント・・・・をこなしているんだから邪魔しないでちょうだい!」

エレンの一言で確信をしたミア。
やはり彼女はミアと同じ転生者だった。

気づくのがラストなのは、他人に興味のないミアらしい。
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