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決意
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しばらく初瀬と会沢が見つめ合う時間が流れたが、信号が青になり初瀬はアクセルを踏んで左折をした。その間も会沢の視線はずっと初瀬の横顔に注がれていた。
「熊が人を殺したらどうします」
「クマ?え、ちょっと待って。僕今好きって言ったよね?無視?」
「セクハラやめてください」
「セクハラじゃないよ!好きなんだって。全然ヤレるって意味で」
会沢が下品なハンドサインをする気配を感じて、無視を決めた初瀬は車のスピードを上げた。まともに相手をしてもこっちが疲れるだけだ。
「熊が人を襲ったら、探し出して殺処分するでしょう。俺がやってるのはそれと同じです。罪の意識を問うても何も返ってこないものは、殺すしかない」
「うーん。まー言いたいことはわかるよ。でも僕は初瀬くんが熊退治に行って返り討ちにあったらイヤだな~って思ってるわけ。奈古組は銃器に強いから一発アウトってことも──」
「俺は奴らを殺すために生きてきました。殺すことさえできれば、相討ちでも構わない」
初瀬が言い切ると、会沢は出しっぱなしにしてあったUSBを内ポケットにしまう。
「初瀬くんの意思が強いのはわかったよ。キミの復讐だし止めないけど、トーマくんを悲しませないようにしてあげなよ」
唐突に皆木の話が出て、同時に初瀬の脳裏に顔が浮かんだ。皆木は最近初瀬が1人で外出するのをわかりやすく嫌がり、今日も例にもれず出かけると言うと嫌がられた。
『オレも一緒に行っちゃダメですか?』
『何時に帰ってきます?帰ってくるまでオレ起きてますよ』
『ホントに行かないとダメな用事?』
そんなことを毎回懲りずに言い、毎回初瀬にあしらわれている。いらないと言っても律儀に夕飯が用意されていて、初瀬は皆木の寝顔とラップのされた皿を確認する回数が増えるにつれて、決意をゆっくりと揺さぶられていた。皆木を遺すことになるかもしれないということはもちろん想定にあったが、揺らぎが強くなる気がして深刻に考えるのをやめていた。
そんな本心を吐露できる相手は初瀬におらず、嫌な仕事仲間の前で毅然とした態度を保つしかない。
「あいつだって俺が危ないことやってんのは察してます。俺がどうなっても受け入れますよ」
「え~それはどうかな~。ちゃんと向き合ってあげた方がいいよ。あの子には初瀬くんしかいないんだから」
余計なお世話だと初瀬は思ったが、口に出さずに飲み込んだ。今の助言が会沢の言葉でなかったら、初瀬ももう少し真剣に取り合えていたかもしれない。
「あ。そういえば組長の誕生日近づいてきたけど、どう?店決まった?」
「……銀座の飯店にしようかと思ってます。何度か行ったことがあるので味は保証できますよ」
「お~いいね。やっぱ初瀬くんに頼んで正解だったな~。プレゼント何にする?僕はね──」
初瀬が話を変えるまでもなく会沢の興味は誕生日会にそれて、初瀬はマンションに着くまで適当な相槌だけで済ませた。
「熊が人を殺したらどうします」
「クマ?え、ちょっと待って。僕今好きって言ったよね?無視?」
「セクハラやめてください」
「セクハラじゃないよ!好きなんだって。全然ヤレるって意味で」
会沢が下品なハンドサインをする気配を感じて、無視を決めた初瀬は車のスピードを上げた。まともに相手をしてもこっちが疲れるだけだ。
「熊が人を襲ったら、探し出して殺処分するでしょう。俺がやってるのはそれと同じです。罪の意識を問うても何も返ってこないものは、殺すしかない」
「うーん。まー言いたいことはわかるよ。でも僕は初瀬くんが熊退治に行って返り討ちにあったらイヤだな~って思ってるわけ。奈古組は銃器に強いから一発アウトってことも──」
「俺は奴らを殺すために生きてきました。殺すことさえできれば、相討ちでも構わない」
初瀬が言い切ると、会沢は出しっぱなしにしてあったUSBを内ポケットにしまう。
「初瀬くんの意思が強いのはわかったよ。キミの復讐だし止めないけど、トーマくんを悲しませないようにしてあげなよ」
唐突に皆木の話が出て、同時に初瀬の脳裏に顔が浮かんだ。皆木は最近初瀬が1人で外出するのをわかりやすく嫌がり、今日も例にもれず出かけると言うと嫌がられた。
『オレも一緒に行っちゃダメですか?』
『何時に帰ってきます?帰ってくるまでオレ起きてますよ』
『ホントに行かないとダメな用事?』
そんなことを毎回懲りずに言い、毎回初瀬にあしらわれている。いらないと言っても律儀に夕飯が用意されていて、初瀬は皆木の寝顔とラップのされた皿を確認する回数が増えるにつれて、決意をゆっくりと揺さぶられていた。皆木を遺すことになるかもしれないということはもちろん想定にあったが、揺らぎが強くなる気がして深刻に考えるのをやめていた。
そんな本心を吐露できる相手は初瀬におらず、嫌な仕事仲間の前で毅然とした態度を保つしかない。
「あいつだって俺が危ないことやってんのは察してます。俺がどうなっても受け入れますよ」
「え~それはどうかな~。ちゃんと向き合ってあげた方がいいよ。あの子には初瀬くんしかいないんだから」
余計なお世話だと初瀬は思ったが、口に出さずに飲み込んだ。今の助言が会沢の言葉でなかったら、初瀬ももう少し真剣に取り合えていたかもしれない。
「あ。そういえば組長の誕生日近づいてきたけど、どう?店決まった?」
「……銀座の飯店にしようかと思ってます。何度か行ったことがあるので味は保証できますよ」
「お~いいね。やっぱ初瀬くんに頼んで正解だったな~。プレゼント何にする?僕はね──」
初瀬が話を変えるまでもなく会沢の興味は誕生日会にそれて、初瀬はマンションに着くまで適当な相槌だけで済ませた。
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