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聖女の朝は早い。白く質素なドレスに身を包み、ピュトァ泉のほとりでお祈りをする。聖地へ訪れた人たちと言葉を交わし、小さな加護を与える。怪我をしている人が訪れると回復魔法をかけ、病気の人が訪れると薬を与えた。訪れた人たちはミモレスに恭しく頭を下げ、彼女の姿を見て涙を流す人さえいた。ミモレスは全ての人に分け隔てなく接し、全員に愛を注いだ。
「ミモレス様…わしぁもう長くありません…。最期に一度だけ…わしの手を握ってくれまいか」
「ブリュノさん、そんな寂しいことを言わないで。これから何度でも握ってあげるから、またここを訪れて。ね?」
「ああ…ありがたや…。聖女様がわしの名前を呼んで下すった…。わしぁもういつ死んでもいい…」
「死なないでって言ってるのに。もう…」
聖地各所に聖女が一人いるが、ミモレスがいるピュトァ泉はその国で最もたくさんの人が訪れる。もちろん神聖な場所に訪れて心洗われたいと思い通う人もいるが、大半はミモレスに会いたくて来る。彼女は他の聖女とちがい、気さくで話しやすく一人一人と言葉を交わしてくれる。一般的に聖女はここまで来訪者と話をせず、寡黙に微笑むだけだ。その方が聖女らしくて良い、ミモレスは親近感が湧きすぎて崇高な存在ではなくなっていると苦言を呈する人もいたが、そんなことを言うのはだいたい貴族ばかりだった。平民は親しみやすいミモレスのことが大好きだ。
ミモレスが聖女としての役割を果たしている間、セルジュは小屋でぼうっと過ごすことが多かった。吸血鬼の彼にとって、清らかな空気に満ちているこの場所はとても居心地が悪い。ミモレスと過ごしているときはそんなことを思わないが、彼女がいなくなった途端そのことが気になって仕方なくなる。
「まあ…祖国にいるときよりずっとましだが」
日が暮れるとミモレスは貢物をたくさんかかえて帰ってくる。
「ただいまセルジュ。見て、今日もこんなにたくさんいただいちゃったわ。果物と、チーズと、パンと…」
貢物をテーブルに置き、その中のリンゴをひとつかじった。「んんん~!おいしい」と至福の声を漏らしている。
「セルジュもおひとついかが?」
「ああ、いただこう」
セルジュにリンゴを手渡し、ミモレスが隣に座った。二人でしゃくしゃくをそれを齧りながら話をする。
「セルジュは今日一日なにをしていたの?」
「何もしていない。ずっと寝ていた」
「あらまあ。もったいないわ」
「私は小屋から出られない。小屋の中には何もない。寝るしかないじゃないか」
「だったら、お薬を作るのを手伝ってくれない?手も頭を使うから、暇つぶしに持って来いだわ」
「…お前には世話になっているからな。少しくらい手伝ってもいい」
「本当?!嬉しいわ、ありがとうセルジュ!」
ミモレスはセルジュにぎゅーっと抱きついた。ミモレスは人肌が好きらしい。だが外ではあまり人に触れられない(触れられた信者が喜びすぎて大騒ぎしてしまうから)ので、小屋の中ではセルジュにこれ以上ないほどスキンシップをする。はじめは戸惑って嫌がっていたセルジュも、最近ではそれに慣れてきて抱きつかれても表情一つ変えず抱き返すようになっていた。
「…お前、聖女向いていないんじゃないか?」
「え?」
「お前は崇められるのがあまり好きじゃないだろう。それに人と触れ合うことが好きだ。聖女をしているお前は窮屈そうに感じる」
「そうなの!窮屈なのよ!…でも、私は聖女の家系だから…。聖魔法を使える血を受け継いだ私は、聖女をする以外に生きる道はないのよ。でも、今はあんまり窮屈じゃないわ。だってここに帰って来たらセルジュがいてくれるんだもの」
「……」
「っ」
ミモレスの首にセルジュの爪が触れた。今まで何度も傷をつけたのに、ミモレスの回復魔法で傷一つ残っていない。セルジュはその日も一本の線を入れ、顔を近づける。
「ん…」
「痛いか?」
「いいえ。ただあなたの髪がくすぐったいだけよ」
「そうか」
セルジュが血を飲み終えると、ミモレスは回復魔法で傷を塞いだ。彼の口元に付いた血を指で拭いクスリと笑った。
「最近遠慮がなくなってきたわねセルジュ。少し前なら飲む前に一言断っていたのに」
「すまない。さっきは無性に飲みたくなってしまった」
「あら。どうして?」
「…お前のことが、愛おしくなった」
彼の言葉にミモレスは目を見開いた。だがすぐに優しい笑みを口元に浮かべた。
「吸血行為は愛情表現じゃないわセルジュ。そういうときはね、こうするのよ」
そう言ってミモレスはセルジュの両頬に手を添えた。顔を近づけそっと唇を触れ合わせる。セルジュは驚いて彼女の肩を掴んだ。
「お、おい!聖女がこんなことをしていいのか?!聖なる力が失われたらどうする!」
「あはは!安心して。聖なる力はこんなことで失われたりしないわ。お母さまだって、私を産んだあとも聖魔法や加護魔法をガンガン使っていたわ」
「いやしかし…私は魔物だ。聖女と魔物がこんなこと…」
「セルジュ。自分のことを魔物と呼ぶのはやめて。あなたは立派な人間だったの。魔物になったのも、国を守るためだったんだから。体は魔物かもしれないけれど、心は人間のままよ。そうじゃないと、唇を重ねたくらいでこんなに狼狽しないわ」
「おい、からかうのはやめろ。俺が言いたいのは、こう言うことは愛する人としろということだ」
「あら。私はあなたを愛しているんだけれど…」
「えっ」
「気付いていなかったの?こんなに長い時間一緒に過ごしていて、私の寄せる好意に気付かなかったの?あれほど抱きついたりしていたのに?」
「あれは…単に人肌が恋しいからだと…」
「そんなわけないでしょう…。あなただから抱きついていたのに…」
「な…。お、お前…正気か…?」
「じゃないと、毎日血を差し出したりしないわよ」
思いもよらない告白にセルジュは顔を真っ赤にした。それにつられてかミモレスも頬を赤らめている。彼女は拗ねたように唇を尖らせた。
「私はてっきり…あなたも同じ気持ちだと思っていたんだけれど」
「いや…まあ…その、だな…。私も…お前のことを愛しているが…だが…」
「まあ、本当に?!嬉しいわ!」
「う"っ」
勢いよく飛びつかれ喉から変な声が出る。ミモレスは喜びのあまり絞め殺す勢いでセルジュを抱きしめた。
「セルジュ!これからもずっと私の傍でいてください!私が死ぬまで、ずっと一緒にいてください!」
「…ああ。約束しよう」
セルジュもミモレスの背中に腕を回す。泣きそうな柔らかい表情で彼女を見つめると、ミモレスは全てを包み込むように微笑み再び唇を重ねた。
「ミモレス様…わしぁもう長くありません…。最期に一度だけ…わしの手を握ってくれまいか」
「ブリュノさん、そんな寂しいことを言わないで。これから何度でも握ってあげるから、またここを訪れて。ね?」
「ああ…ありがたや…。聖女様がわしの名前を呼んで下すった…。わしぁもういつ死んでもいい…」
「死なないでって言ってるのに。もう…」
聖地各所に聖女が一人いるが、ミモレスがいるピュトァ泉はその国で最もたくさんの人が訪れる。もちろん神聖な場所に訪れて心洗われたいと思い通う人もいるが、大半はミモレスに会いたくて来る。彼女は他の聖女とちがい、気さくで話しやすく一人一人と言葉を交わしてくれる。一般的に聖女はここまで来訪者と話をせず、寡黙に微笑むだけだ。その方が聖女らしくて良い、ミモレスは親近感が湧きすぎて崇高な存在ではなくなっていると苦言を呈する人もいたが、そんなことを言うのはだいたい貴族ばかりだった。平民は親しみやすいミモレスのことが大好きだ。
ミモレスが聖女としての役割を果たしている間、セルジュは小屋でぼうっと過ごすことが多かった。吸血鬼の彼にとって、清らかな空気に満ちているこの場所はとても居心地が悪い。ミモレスと過ごしているときはそんなことを思わないが、彼女がいなくなった途端そのことが気になって仕方なくなる。
「まあ…祖国にいるときよりずっとましだが」
日が暮れるとミモレスは貢物をたくさんかかえて帰ってくる。
「ただいまセルジュ。見て、今日もこんなにたくさんいただいちゃったわ。果物と、チーズと、パンと…」
貢物をテーブルに置き、その中のリンゴをひとつかじった。「んんん~!おいしい」と至福の声を漏らしている。
「セルジュもおひとついかが?」
「ああ、いただこう」
セルジュにリンゴを手渡し、ミモレスが隣に座った。二人でしゃくしゃくをそれを齧りながら話をする。
「セルジュは今日一日なにをしていたの?」
「何もしていない。ずっと寝ていた」
「あらまあ。もったいないわ」
「私は小屋から出られない。小屋の中には何もない。寝るしかないじゃないか」
「だったら、お薬を作るのを手伝ってくれない?手も頭を使うから、暇つぶしに持って来いだわ」
「…お前には世話になっているからな。少しくらい手伝ってもいい」
「本当?!嬉しいわ、ありがとうセルジュ!」
ミモレスはセルジュにぎゅーっと抱きついた。ミモレスは人肌が好きらしい。だが外ではあまり人に触れられない(触れられた信者が喜びすぎて大騒ぎしてしまうから)ので、小屋の中ではセルジュにこれ以上ないほどスキンシップをする。はじめは戸惑って嫌がっていたセルジュも、最近ではそれに慣れてきて抱きつかれても表情一つ変えず抱き返すようになっていた。
「…お前、聖女向いていないんじゃないか?」
「え?」
「お前は崇められるのがあまり好きじゃないだろう。それに人と触れ合うことが好きだ。聖女をしているお前は窮屈そうに感じる」
「そうなの!窮屈なのよ!…でも、私は聖女の家系だから…。聖魔法を使える血を受け継いだ私は、聖女をする以外に生きる道はないのよ。でも、今はあんまり窮屈じゃないわ。だってここに帰って来たらセルジュがいてくれるんだもの」
「……」
「っ」
ミモレスの首にセルジュの爪が触れた。今まで何度も傷をつけたのに、ミモレスの回復魔法で傷一つ残っていない。セルジュはその日も一本の線を入れ、顔を近づける。
「ん…」
「痛いか?」
「いいえ。ただあなたの髪がくすぐったいだけよ」
「そうか」
セルジュが血を飲み終えると、ミモレスは回復魔法で傷を塞いだ。彼の口元に付いた血を指で拭いクスリと笑った。
「最近遠慮がなくなってきたわねセルジュ。少し前なら飲む前に一言断っていたのに」
「すまない。さっきは無性に飲みたくなってしまった」
「あら。どうして?」
「…お前のことが、愛おしくなった」
彼の言葉にミモレスは目を見開いた。だがすぐに優しい笑みを口元に浮かべた。
「吸血行為は愛情表現じゃないわセルジュ。そういうときはね、こうするのよ」
そう言ってミモレスはセルジュの両頬に手を添えた。顔を近づけそっと唇を触れ合わせる。セルジュは驚いて彼女の肩を掴んだ。
「お、おい!聖女がこんなことをしていいのか?!聖なる力が失われたらどうする!」
「あはは!安心して。聖なる力はこんなことで失われたりしないわ。お母さまだって、私を産んだあとも聖魔法や加護魔法をガンガン使っていたわ」
「いやしかし…私は魔物だ。聖女と魔物がこんなこと…」
「セルジュ。自分のことを魔物と呼ぶのはやめて。あなたは立派な人間だったの。魔物になったのも、国を守るためだったんだから。体は魔物かもしれないけれど、心は人間のままよ。そうじゃないと、唇を重ねたくらいでこんなに狼狽しないわ」
「おい、からかうのはやめろ。俺が言いたいのは、こう言うことは愛する人としろということだ」
「あら。私はあなたを愛しているんだけれど…」
「えっ」
「気付いていなかったの?こんなに長い時間一緒に過ごしていて、私の寄せる好意に気付かなかったの?あれほど抱きついたりしていたのに?」
「あれは…単に人肌が恋しいからだと…」
「そんなわけないでしょう…。あなただから抱きついていたのに…」
「な…。お、お前…正気か…?」
「じゃないと、毎日血を差し出したりしないわよ」
思いもよらない告白にセルジュは顔を真っ赤にした。それにつられてかミモレスも頬を赤らめている。彼女は拗ねたように唇を尖らせた。
「私はてっきり…あなたも同じ気持ちだと思っていたんだけれど」
「いや…まあ…その、だな…。私も…お前のことを愛しているが…だが…」
「まあ、本当に?!嬉しいわ!」
「う"っ」
勢いよく飛びつかれ喉から変な声が出る。ミモレスは喜びのあまり絞め殺す勢いでセルジュを抱きしめた。
「セルジュ!これからもずっと私の傍でいてください!私が死ぬまで、ずっと一緒にいてください!」
「…ああ。約束しよう」
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