【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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異国編:ジッピン前編:出会い

【257話】守ってくれるだってぇ…?モニカを守るのは僕だよ?なのにどうして僕以外の(文字数)

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朝、小鳥のさえずりで目を覚ましたアーサーは、隣でぐっすり眠っているモニカに足と腕を乗せ二度寝を試みた。いつもならそうするとモニカが重そうに顔をしかめるのだが、熟睡しているのか反応がない。面白くなかったので肩をがじがじ噛んでみても、モニカは気付かず寝息を立てているだけだ。

「よっぽど疲れてたんだねえ」

アーサーはそう呟いて再び目を瞑った。双子が目を覚ましたのは約1時間後、ノリスケが朝食を持って客室に入ってきたときだった。

「アーサー、モニカ!おはよう~。朝ご飯持ってきたよ」

「ん~…」

「寝顔かわいい~…。仲いいんだなあ。兄妹でぴったりくっついて寝てるよ…。布団二組あるのにひとつで寝てるし…。かわいい…」

ノリスケはそっと布団の傍に座り、呻くだけで起きようとしない二人をしばらく眺めていた。気が済むまでデレデレたあと、アーサーとモニカの肩を揺らす。

「アーサー、モニカ、ごはん冷めちゃうよ」

「んん~…」

「…寝起きわるいなぁ。それもまたかわいいんだけど」

鼻の下を伸ばしながらノリスケが二人の肩を揺らし続ける。モニカが不機嫌そうな声をあげてひんやりとした冷気を纏わせ始めたので、危険を感じたアーサーが飛び起きてノリスケを止めた。

「ノリスケ!マッエ!ユラスノ ヤメエ!」

「えっ!」

「ネエル モニカ、キケン、ノリスケ シンジャウ カモ」

「え"っ?!」

「ボク オコス。ノリスケ アナレエ」

「わ、分かった。離れるよ…」

ノリスケを客室の外へ避難させたあと、アーサーは深呼吸して寝ているモニカを見た。凍らされたときのために火魔法液を手に持ち、震える手でモニカの頬をぺちぺち叩く。

「ん"ー…っ」

「えーっと…。モニカ、朝だよー…」

「ん"っ」

「そろそろ起きよっかあ…」

「…もうちょっと寝かせて…う"ー…っ」

「だめだよ。ノリスケがごはん持ってきてくれたんだ。冷めちゃうよ」

「ん"ー…ウスユキのばかぁ…」

「…ん?」

「あんたのせいで寝不足だわ…。もう、次会ったときいっぱい文句言ってやるんだから…」

「……」

大きなあくびをしたあと隣に座っている兄を見る。兄はポカンと口を開けていた。

「ん?どうしたのアーサー。おはよう」

「……」

「おーい。おはよう~」

「モ…モニカ…?」

「なあに?…ふぁ~…ねむたーい…」

「ウスユキってだあれ…?」

「え?どうしてウスユキのこと知ってるの?」

「さっきモニカが言ってたよ…」

「あ、そう?ほら、この前話したことがある、私が雷落としちゃってケガさせちゃった男の人だよ」

「そ、そうなんだー…。その人、まだケガが治らないの…?」

「ううん、治ってるんだけどね。私とおしゃべりするのが気に入ったみたいで、今日の明け方も急に呼び出されてちょっとお話してたの。それなのに急に帰されるんだもん!もっとお話したかったのに。ほんとマイペースなんだから!」

「へ、へー…。もっとお話したかったんだぁ…」

「だからね、次会ったときは急に帰さないように言ってやろうと思ってるの!だってもっとゆっくりお話したいもん」

「そっかぁー…。また会うんだねー…」

「…どうしたのアーサー?なんだか様子が変だわ」

「う、ううん。なんでもないよー…。ほら、ごはん食べよっかあ…」

「?」

ごはんを食べている間も、アーサーは心ここにあらずで何度もハシからダシマキを落としていた。モニカが「どうしたの?」と聞いても「なんでもないよー…」を繰り返すだけだった。モニカは首を傾げて「変なの」と呟き、まあいつか元に戻ると考え放っておくことにした。

朝食を食べ終えトイレに向かっているとき、廊下でレンゲとムクゲに声をかけられた。モニカは挨拶をしてからしゃがんで彼女たちと目線を合わせる。

「おはよう。よく眠れた?」

少女たちは答える代わりに首を横に振った。

「そうよねー。私もよ」

「ヌシサマから伝言」

「今晩、脇差を持って森へ」

「今晩?」

「今晩」

「脇差を持って森へ」

「うーん…。夜の森は危ないからあまり入るなって言われてるんだけどなあ…」

「大丈夫」

「ヌシサマが守ってくれる」

「だから危なくない」

「そう?じゃあアーサーがヴァジーにことばを教えてもらってるときに行こうかなあ」

「待ってる」

「じゃあね」

「はーい。ばいばーい」

用件を伝えたレンゲとムクゲは手を繋いでキヨハルの部屋へ戻って行った。

(レンゲとムクゲも、ウスユキと同じでマイペースだなあ)

「モニカ?トイレすんだ?キヨハルさんの部屋に行くよー」

身支度をすませたアーサーが客室から出てモニカに声をかける。モニカは慌ててトイレへ行き、待たせていた兄と一緒にキヨハルの部屋へ向かう。

「あ、アーサー。今日アーサーがヴァジーの部屋に行ってる間、私ウスユキと会うことになったから!」

「えっ?モニカもジッピンのことば一緒に習うんじゃないの?」

「明日から習う!今晩はウスユキに会いに行くね」

「ど、どこで会うの?」

「お屋敷裏の森よ」

「だめだよ!夜の森は危ないってキヨハルさんが…」

「大丈夫!ウスユキが守ってくれるらしいから」

「?!」

「それに私は魔法も使えるし!それにワキザシだって持ってるんだからね!大丈夫よ!」

「ぼ、僕もついていこうか?僕こう見えて一応ちょっとは強いし…」

「ううん!私の事は気にせずアーサーはヴァジーにことばを教えてもらってて!」

「モ…モニカぁ…」

「なあに?」

「…なんでもない…」

「なんなの?アーサー朝から変だわ。もしかして体調悪いの?」

「ううん、そういうわけじゃない…」

「ん~?」
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