グリモワールな異世界転移

クー

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第一章 全ての始まり 『種族の集まる国 ガイア』

第一話『始まりの街 ガイア』

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 太陽が顔を出して数時間経った頃。まだ、朝に属する時間帯。住宅街にある一戸建てに、とある荷物が届いた。

 ──これが全ての始まりだった。

 宅配便の男から直接荷物を受け取った、この物語の主人公である少年はすぐに二階にある彼の自室に戻り、先程の届け物である段ボールをカッターで丁寧に開け中に入っているものを取り出した。


「これが『 Lostロスト Onlyオンリー Skillスキル 』か」


 Lost Only Skill。通称LOS。これは自らが脳内で考えた通りにアバターが動きそのアバターを操作しゲームをプレイするVRMMORPGのことである。

 少年……神楽坂 憂は説明書を流し読みした。ゲームを始めるためにコントローラーを取り出した。


 神楽坂少年は脳内で色々と考えごとを始めたようだ…… 








(──あ、因みに今の時代でのコントローラーは手で扱う物ではなく、頭に着けて自分がしたいことを考えるだけで操作出来ると言うものだ。そうでなければ脳内で考えた事を信号にしてゲームに送ることが出来ないからな。)


 誰も聞いていない、まったく意味のない説明を脳内でする。もし意味を宛がうとすれば、これは自分が持つ知識の再確認がしたかっただけだ。どっちにしたって気にする事ではない。俺の脳内独り言は今に始まったことでもない。


(──まあ、説明書で大体のルールや操作方法は分かったし、速く起動させるかな。)


 思考がまとまったので、コントローラーを起動させゲームを開始した。俺が最初にしたのは自分がこれから使っていくキャラクターの設定だ。……当たり前だな。


 大体のゲームの一番最初にあるキャラメイク。キャラメイクの存在するゲームの経験がある人でさらにこだわりがある人は分かると思うが俺はここに時間をかけるつもりだ。これからずっと使っていくことになるゲームの中での自分だからな。第二の自分。愛着を持てる姿にしないと。そんな訳でキャラクター製作開始だ。


(えっと、性別はもちろん『男』で、名前は神楽坂かぐらざかゆうだから『ユウ』で…種族は人間族っと。)


 LOSの中では俺が選んだ人間族以外にも、動物特有の例えばウサミミや猫耳、尻尾などの特徴がある『獣人族』、魔王が治める国の民である『魔族』などがあり、使える魔法や武器も種族によって様々だ。その中でも人間族は魔法はあまり得意とはしないものの、武器の扱いに関しては全種族の中でトップだ。だからリアルでは剣道をやっている俺は迷う事なく人間族を選択した。


(それにしてもサービス開始は12時からか……まだまだ時間があるな。)


 キャラメイクで大分時間が経ったとはいえ、それでもまだ10時を少し越した位だった。


「ふぁぁ~~あ」


 作業が一段落したせいか、大きなアクビが出た。



 …………実の所、俺はゲームが届くのが楽しみで昨日は余り眠れなかった。余り眠れなかった、と言うか一睡もしていない。そのせいか、いやほぼ確実にそれの影響で俺はいつの間にかコントローラーを頭に着けたまま意識を手放してしまった──



──────────────────────

 

 意識が覚醒した。さっきまで寝ていたはずなのに不思議とあの二度寝をしたくなる眠気はない。いや、まぁそれはいいとして今は現状の把握だ。

 体を起こして胡座をかく。そして周りを見渡した。


(…………何処だ……ここは?)


 目の前に広がるのは見慣れた自分の部屋。ではなく草原。どこまでも続いていそうな位に広がる緑色のカーペット。鮮やかな緑が風に揺られ、草花の微かな香りが俺の鼻腔びこうをくすぐる。……微香びこうが鼻腔をくすぐる。気づかなかったが俺は無意識にこんな言葉遊びをしていたのか。


(……かなり余裕があるな。俺。)


 頭がいっぱいいっぱいでしょうもない事を考えているだけなのかもな。とりあえず見覚えのない光景に俺は驚いた。だが、驚いているだけではダメだなと、状況を把握するためにくだらない考えを払拭しマトモな思考をする。そして直ぐに結論を導き出した。


(そうか俺は寝てしまっていたのか。そして俺が寝ている間にゲームのサービスが始まって……と、言う事はここはゲームの中か。…………まぁ、ゲームの中だって分かって安心した事だし取りあえずステータスを見るかな。)
 

「えぇっと、確か『ステータスオープン』と唱えればよかったんだよな」


 俺は説明書に書いてあったことを口に出しながら思い出した。
目の前にゲームでよく見るステータスと画面が表示された。


「まだ唱えてないんですけど!? 確認しただけなんだけど、なんで?! もしかしてさっき言ったから? 使いやすいのか使いにくいのか分からないな」


 後で分かった事だが、『ステータスオープン』と何も考えず口に出すだけだとステータスは表示されないようだ。ちゃんとした自分のステータスを表示するイメージがないとダメらしい。




───────────────────────


〈Name〉 ユウ  人間族

   Lv.1  Male(男)

 Urudo 1000

 HP  20
 MP  20

 STR 30
 VIT 15
 DEX 20
 AGI 28
 INT 7

 ジョブ:冒険者L v.1
 
 装備:  右手:ナイフ

 称号:  ビギナー

 魔法:  無し

 スキル: ステップ

───────────────────────



 レベルと性別が書かれている所のすぐ下にある、Urudo(ユルド)ってのがおそらくこの世界の通貨なんだろうな。1000ユルドってのが、どの程度の物を買える金額なのかは分からないが最初から金があるのは嬉しい。


 それに、当たり前の事だが、アバターの強さは自分で設定した通りの強さだった。STRに少し多めに振ってたので、結果がどうなるかは分からないが、取りあえず何か狩ってみることにした。


(……だけどこのナイフだと少し心細いな。)


 武器は戦闘での重要な要素だ。それがかけているということは精神面に与える影響はでかい。補えるものは早めに補う。俺は狩りに行く前に始まりの国である『ガイア』の武器屋に行くことにした。



 立ち眩みを起こさないように気を付けて立ち上がる。そして草の感触を確かめるようにしっかりと踏みしめて歩いた。 一歩、また一歩と歩みを進める。その度に風が吹き抜けていく。爽やかでとても心地良い。


 ガイアの街は目視出来る距離にある。急ぐ必要もない、ゆっくり歩こう。この世界ゲームを目一杯楽しもう。


 無意識に自分の顔から笑みが溢れたのを俺は感じた。




 街はかなり近かった。だが、歩いていた時間は短く感じなかった。濃縮された穏やかな時、そんなポエムの一節にあるような表現をしてもいいようなものだ。


 雄大な自然を身体全体で楽しんだ。次は人が作った物を楽しむか。散策の開始だ。



 目についたものを手当たり次第に確認していく。そしてしばらくして、武器屋に着いた。武器屋の看板には『大都市ガイア・武器店』と書いてある。


「ここが目的地だった武器屋か。探索に夢中で少し忘れてた。……外からずっと見ていて怪しまれても困るし中に入るか」


 店内に足を踏み入れる。


「らっしゃい」


 見た目からして武骨で強そうな男が、俺の事を視界の隅で捉えながら低い声でそう一言だけ言った。どうやらこの店の店主のようだ。愛想はあまり良くないが仕事はきっちりこなす、そんなタイプなんだろう。俺は一瞥して店内の商品の方に目を向けた。


 店内には様々な武器が並べてあった。


「おぉ! いろんな武器があるな。長剣、短剣、長槍────」


 店内を物色していると、ある武器が目に止まった。それは日本男児ならば誰しも一度は憧れるもの。そう日本刀だ。


「日本刀まであるのか。本当に凄いな。でも俺としては木刀の方がいいんだがな」


 一応これでも剣道をしてたからな。ゲームの中でも使いなれた得物が良い決まってる。その理論だと竹刀が一番いいんだが、殺傷能力の問題がある。そんなわけで店内をくまなく探したのが木刀は見つからなかった。竹刀もだ。


「まぁ、日本刀があっただけいい方か。……うーん……よし、買うか」

 
 悩んだに俺は日本刀を買った。ちなみに値段は980ユルドで、持ち金ギリギリだった。本当、足りてよかった。でもこれからユルドがないと困るだろうしなー。どうしようかなー。


 ……よし、決めた。これはもうモンスターを狩りまくるしかないな。なんて事を考えていると、


《~♪ジョブ:侍を取得しました》


 と、頭の中にどこかで聞いた事のあるような気がするメロディーと、無機質と言ってもいい声が響いた。


(ジョブの侍を取得した? とは、いったいどう言う事なのかな?)


 そう思いステータス画面を開いた。


「『ステータスオープン』」



───────────────────────

〈Name〉 ユウ  

   Lv.1  Male(男)

 Urudo 20

 HP  20 +20
 MP  20

 STR 30 +10
 VIT 15
 DEX 20
 AGI 28
 INT 7
 
 ジョブ: 冒険者L v.1
      侍L v.1

 装備:  右手:初めての刀  

 称号:  ビギナー

 魔法:  無し

 スキル: ステップ
───────────────────────



 HPとSTRに+されているのはどう言うことなんだ?俺、なんか特別な事したっけ? と、不思議に思いながらも、とりあえず追加されていた侍のジョブを開いた。



───────────────────────

 ジョブ:侍

刀を装備することで習得可能。HP 20上昇・STR 10上昇  
 Lv.50でジョブ:武士を習得可能

───────────────────────


 なるほどこの新しいジョブのお陰でステータスが+されていたのか。と、納得した俺はとりあえず、モンスターを狩るためにステータス画面を閉じ、正門に向かった。
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