物語は突然に

かなめ

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アンデッドの村

徘徊する者2

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『ホーリーフィールド』


辺りがキラキラと輝き始める。
結界…だよね?英語だったし、間違い無いよね?そのキラキラが終わらない間に叫び声?いや唸り声みたいなのが聞こえた。
な、何か怖い。
ジリスさんはそれには気にも止めずに作戦を話し始める。
「これから範囲浄化魔法を使います。
ガイ、貴方は浄化魔法ソレから漏れた者の掃討をお願いします。エンドレアは後方からの攻撃に注意、そして出来れば指示している者の有無を確認してください。アイリンは何かおかしな動きをする者がいたら私に知らせてください」
おかしな動きってのがどんな動きだかよく解らなかったけど、取り敢えず頷く。
だって聞いても解らなそうだし、変だと思う事は何でも報告しとけば問題無いよね?
なんて事を考えてる間に、ジリスさんがまた何かの呪文を唱えている。考え事をしてたせいで、ちょっと何て言ったのか聞いてなかった。でも眼下に光の世界が広がっていって、それに触れたアンデッドが光と一緒に融けて粒になって空へと上っていくのを見た時に、ああ、これがさっき言ってた浄化魔法かって思った。
同時に綺麗だとも。

って…ふおおおぉ!?
え、何!?何処行くの?外?早っ!ジリスさん、早っ!
目の前の光景に見入っていたら、スゴイ勢いで身体が引っ張られると同時に視界が一気に変わっていく。窓から扉、その扉が開いたと思ったら、廊下を駆け抜け、階段を駆け下り、人がワサワサ出てきたところを通り抜けて玄関、そして外。今ここ。
早っ!
何これ、ジリスさん、めっちゃ早っ!
ガックンガックン揺れたお陰でちょっと目が回ってるよ?
強烈ぅ…う?
う?おおぉう?
ポケットから出してた頭が今度は無理やり下に引っ張られるような感覚。お陰でポケットの中でもんどりうって転げましたけど。
何なの!?何があったし?
必死で体勢を整え、ポケットから頭を出すと目の前が──何処、ここ?
え、何これ?
キョロキョロと辺りを見渡して気付いた。空、飛んでる。
マージーでー!?
飛行魔法?飛行魔法ですか!?
こんな簡単に飛べるなんて…流石はジリスさん。スゴイよ…こんな難しいのをサラッと使えるとか。
そんなふうに感心したのも束の間、今度は一気に落ち始めたーーー!
ぎゃーーーーー!
直下型のジェットコースターですかっ!?ジェットコースターは好きだけど、好きだけど、これは身体が浮かんじゃいそうで怖い!安全バーくださいいいいっ!
突然、フワリとしたものを感じたので、何だろうとおっかなびっくり目を開けてみると、地上に降り立ったところだったらしい。
意外に着地の衝撃は無かった…。
けど!怖ぁぁぁっ!
安心したら汗がドパッと出てきた。
ジ、ジリスさんが本気で動き出したらこんな事になるんだ…。知らんかった…。
早いよ!色々と早すぎて怖いよ!
何て考えてたら、顔面に風!
じゃなくて、いきなりまた走り出すから、風圧が顔にーー!
何なの?
何処行っちゃうんですかー?!
展開が早すぎるんですけどーー!?


何処まで行くんだろう。
もう村の外れまで来ちゃいましたけど。このままだと外に出ちゃいそうですけど。所々にいた数体のアンデッドは、ジリスさんが退治してました。浄化魔法じゃない、リアルボコですよ。ゾンビをボコった時はナニカがベチャーッと飛び散ってて流石に気持ち悪かったです…。ジリスさんてば、意外に容赦無い。
これが僧侶か。恐るべし。
あ、外に出ちゃった。
え、本当に何処まで行くんだろう。
あっ!
しかも村の外には結構、アンデッドがいますよ?行くの?進んじゃうの?これを?
「ジ、ジリスさん!?アンデッドいっぱいいますけど、このまま行っちゃうんですかーっ!?」
きっと顔は引き攣ってただろう。自信あるよ、うん。
そんな私にジリスさんは答えてくれました。
「ん?あぁ、大丈夫ですよ。これ、この杖の先に付いている魔石は聖属性の物なんです。下位のアンデッドなら、これだけでも木っ端微塵に出来ますから」
知ってますー!聖属性ウンチャラは知らなかったけど、でさっきアンデッドを殴り倒してたの見てましたから!
なるほど、聖属性の武器かー。アンデッドには効果てき面だね!
……それだけじゃない気がビシバシするけど、きっと武器が凄いんだよね!?デスヨネー!?
な、何事も無い様に杖でボッコボコにしてるんだけど…怖ぁぁぁっ!スケルトンはともかく、ゾンビとか脳味噌がドバーッと飛び散ってるんだけど、ジリスさんてば平気なの……!?
もういっそ気絶してもおかしくないと思うのに、いや寧ろ気絶したいくらいなのに、怖すぎて目を反らせない…。
マジ容赦ねぇぇっ!
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