1 / 13
十三日の金曜日のゲイソン
しおりを挟む━━深夜、あなたは震撼する
夜も更け、通りの薄ボンヤリとした証明の光が差された公園の高い位置にある時計の針は、3時を差す間際。
一組のカップルが、誰もいないことをいいことに、プレイを存分に楽しんでいた。
昼間以外は夕方以降、人もあまり訪れないような、住宅から離れた公園。手入れもざっくりしかされていないのか、池の回りは池を隠すほどだった。
その草の中でカップルは、盛大にプレイを繰り返し続けいた。人がいたならば、誰かがAVを大音量で流しているのかと、耳を塞ぎたくなるほどに。
二人は自分達しか見えていなかった。
……だから背後から忍び寄る人影になんて、気がつけるはずがなかった。
朧気な、薄明かりの中での行為に明け暮れていた二人。突然視界が暗くなり、動きが止まる。
火照った体で高揚して快楽に耽っていたためか、反応が遅れる。
最初にそれを見たのは、男に馬乗りになっていた女。みるみる顔が青ざめる。ただ人が来ただけなら、見せつけるくらいの度胸はあっただろう。しかし、彼女が見たものはそんな生易しいものではなかった。
ここは日本。いるはずのない存在がそこにいた。日本人が模している可能性はある。
━━シュコー……シュコー……
顔を紐つきマスクできつく縛り、呼吸の音がおかしい。開いた穴から覗く瞳は、常人のそれではなかった。更に、筋肉で固められた体に張り付くような服装。薄明かりの中では、全裸も同じ。隆々とした腕には、大きな斧を掲げた姿はまるで……。
━━ジェイソン
サイコサスペンスさながらの雰囲気にひきつりながら後退する女。
「……え?」
振り向いた全裸の男も固まった。
女は男を置いて立ち上がると、近くにあった自分の服を掴み、よろめきながら一目散に走り出した。
……しかし、ジェイソンのような男は動かない。じっと残された男を見ていた。凝視された男は、身動きもできず、恐怖で固まったまま。
振り向かずに走り続ける女は、聞きなれた男の叫びを聞いた。それが更に彼女を恐怖に導き、走る速度をあげる。助けることは出来ないし、一緒に死にたくはない。交番にも向かわず、自宅に駆け込む。時刻は真夜中、彼女の姿を誰もみることはなかった。
◆◇◆◇◆◇◆
女が男の末路を知ったのは、数時間後の早朝のニュースだった。
『本日未明、何者かに強姦されたと思わしき、若い男性を警察が保護しました。ショックからか、男性の意識は混濁しており、犯人はわかっておりません。しかし、男性はうわ言のようにゲイソンと繰り返していることから、若い男性を狙った男性の犯行とみて、警察側は警戒体制を敷いているようです。』
女は、持っていたカップを取り落とした。
『尚、男性が狙われている可能性が高いため、捜査本部は女性警察官をメインとした、異例の捜査班を設立。対処に当たっております。男性はくれぐれも一人で夜中に出歩かないようにしてほしいとのことです。』
ゲイソン━━それは殺人犯ではなく、男性をターゲットにした強姦犯。
男性はくれぐれも、夜中に出歩いては行けません。
あなたが一人になったのを見計らって襲ってくるのですから。
━━テレビの日付は十三日の金曜日を示していた。
Fin
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる