9 / 13
ミラー
しおりを挟む━━いつも迷惑メールは、時間なんて気にしてはくれない。
たまについてくる添付画像。
それはきっと闇の世界へのお誘い、なのかもしれない━━
………スマホのテールランプがメール着信を告げたのは、深夜3時ジャスト。
寝始めたのは、一時間ほど前の深夜2時くらい。
テールランプの光で半覚醒する。
「……こんな時間にどこからだよ。どうせ迷惑メールだろ」
そう思いながらも、メールを確認する。
『From:
件名:
内容:』
全てが空欄………と思ったら、したの方に写真が見える。
真っ黒で何も見えない。
気味が悪くて、すぐに削除した。
それから毎日、同じ時間に同じメールが来るようになった。
後悔しても遅い。
下手に開けたら、更にしつこく来るのが最近の迷惑メールだ。
削除するために開いて、ゾッとした。
見ないで消していたはずのこのメール。
…………全てしっかり、受信ボックスに入ってたから。
確かに削除して、件数も数えて、削除数も見て…。
……恐る恐る開けてみる。
最初に見た一通目。
ただの真っ黒な写真。
二通目は少し薄明るいだけの写真。
三通目を見て、目を擦った。
……ゆらゆら何か揺れた気がした。
これは写真じゃない?動画なのか?
四通目を開いたとき、俺はスマホを取り落とした……。
そこには…………。
真っ暗な背景に浮かぶ、人の顔らしき輪郭のもやみたいなものが写っていた。
しかも、やっぱり揺れている気がする。
……ここで止めておけばよかった。
しかし、人間というものは困った生き物だ。
はっきりさせなければ、収まりがつかない。
それが何なのか、知りたい好奇心が勝る。
俺はスマホを拾い、五通目を開いた………。
…また、取り落としてしまった。
はっきり人の顔だと判断し、あれ?と見直す。
……………俺の顔だ。
しかも動いているように見えたのは、鏡になっているから。
俺と全く同じ動きで覗き込んだり、離れたら離れる。
多分、今までのも確認すれば同じだろう。
カメラ添付なんてアプリくらい、何処かで作ってそうだし。
けれど、違和感を思い出すのにそう時間は掛からなかった。
全てが同じならば何故、送信元アドレスがないのか…。
いや、たまに迷惑メールにそういうのはあった気がする。
………でも、何のために?
メールはまだある。
機能が一緒ならいいが、何だか"何か"徐々に近づいて来ている感じもする。
不安に思いながら6通目を開いた。
……全く同じように思えたが、一瞬違う動きが見受けられた。
口元が何か言おうと開いたような…。
7通目………!?
そこには………俺ではない別の男が怯えた顔をしながらこちらを見つめていた。
「な!何なんだよ!これ!」
即座に画面を戻し、勢いのまま8通目を開く。
………同じ見知らぬ男が見えた。
そして………。
『………タスケテ』
…そう聞こえた。
スマホを取り落とすと、画面の中で勝手にスライドして次のメールが開く。
『タスケテ!』
更にはっきり言いながら、画面を引っ掻いたり叩いたりしている。
俺は怖くなり、後ずさる。
「何のイタヅラだよ!!」
…………そして、次の、最後のメールに自動で切り替わる。
画面の男がスマホから這い出して来る。
「来るな!こっち来んな!!」
俺は腹這いになって男から逃げようとする。
そんなことは無駄な足掻きとでも言うように、男が必死で俺に向かってくる方が速かった。
「う、うあああああああああああああああああああああああああ!!!」
ついに俺は男に足を掴まれる。
そのままズルズルと引き摺られていく。
「やめろ!!何すんだ!!」
そのまま気を失った。
…………目が覚めると、周りは真っ暗だった。
何も見えない。…いや、目の前に薄明かりが見えた。
そちらに目を向けると、俺が笑っていた。
…違う。"俺の姿"をした別人だ。
俺はあんな笑い方なんてしない。
…さっきの男?
俺の姿をした男が言った。
「…助かったよ、ありがとう。あんたも戻りたいなら、別のヤツを探して入れ替わりな」
そして、完全に闇に閉ざされた。
俺はわけがわからず、ヤツがいた場所に走ろうとして、何かに当たった。
……左右前後同じ。ここはまさか……。
"あの男"がいた場所?
アイツのように開いてくれるヤツを探さなければならないのか…。
入れ替われる誰かを…。
…………誰か、誰か俺を……………。
『……タスケテ!』
Fin
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる