井戸史上主義ラプソディー

姫宮未調

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6、作戦開始☆向かう先は未知

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「さぁ!若人よ!時はきた!人に必要なのは、実行力だ!考えてるだけなら誰だって出来る!実行する勇気があれば、後はついてくるもんだ。人間、諦めたらお仕舞いだよ!一人じゃ難しいなら二人、ダメなら三人。力を合わせれば無限になる!忘れちゃいけないのは、信じる気持ちだね!不安もあるだろうけど、前に進んだら自信にも繋がる!根拠のない確信も、説得力だけの名言一つで変えられるだろ?じゃぁ、おっ始めるよ!」

今ボクらは、先程の砲台2つを射程距離ギリギリの広場まで運んだ。
チヨヒコチーム以外は、隠れたり遠くにいるようにお願いした。

「安心してよ。責任は"部外者"であるボクが全部背負う。何せ、全ての元凶はボクだからね。"ボクはやりたいことをやっただけ。""君たちはそれに付き合わされただけ。"……そういうことだよ。危なくなったら、全部ボクのせいにすりゃいい。君たちは、君たちが助かる道を選ぶんだ。間違っても遠回しやおっかなびっくりに話しちゃダメ!相手につけこむ隙を与えるな。強気で行け。ボクのことはボクが何とかする。生きるためには嘘も誤魔化しも必要なんだ。君たちは君たちの人生の主役なんだから、ズルくても情けなくても、自分らしく生きる道を自ら選択するんだよ」

そして、マサチカたちの帰還の合図を封切りに作戦は開始された。
チヨヒコチームは、ボクが見つけた浸入経路から、ボクの説明通り慎重に、"囚われのお姫様たち"の元に向かう。
……ボクは、残った人と事情を知らない人たちを遠巻きに、マサチカたちが来るのを待った。




………時はきた。マサチカたちが馬に跨がり、やってくる。

「やぁ!マサチカ!よく帰ってきたね!」

……これが合図だ。
城の連中の大半は、マサチカたちを出迎えるために、城門前に集まってきていた。

「お?なんだ?こんな場所で、俺を出迎えてくれると……は?」

気がついたようだね。後ろのナイスな砲台'sに!

「……女が何をするつもりだ?」

カイヅカのおっさんも剣を構えた。

「まぁ、これは……牽制さ。君たちがちゃんとボクと会話してもらうためのね」

「会話?ふん、まぁいい。話くらい聞いてやる。申せ、娘」

「マサチカ、ボクは華凛だよ。ちゃんと覚えてね」

……さぁ、ボクのネゴシエーション力を試すときがきた。
この俺様王子への対抗策は頭で考えちゃいけない。


「マサチカってさ、家族いないの?」

「ふん、父上は戦で果てられた。母上は病でなくなられた。兄弟はいない。それがどうした」

「そっか。お城に使用人さんしか居なかったのは、そういうことだったんだね。……淋しいよね」

「……世の理だ。寂しいなどとは思わん」

寂しくないと言いながら、声のトーンが落ちている。

「家族だけじゃない、誰かが亡くなると寂しいはずなんだ。そりゃ、感覚はそれぞれだよ?心にポッカリ穴が開いたみたいだって表現もある。何にも考えたくない感じだね」

マサチカは黙っている。

「……だから、寂しさを補うために、女の子たち連れていっちゃうのは良くないな」

「?!何で知っている?!あの部屋は見つからないはずだ!」

「うん、知らなきゃ気にも止めなかったろうね。マサチカさ?国民だって人間だよ?心があるんだ。分かってるよね?」

ボクはマサチカを見つめた。

「……何を言っている。心がなんだ?国民は俺の言うことを聞いて当然だろう?」

……利かん坊だなぁ。
ボクはデカイ大砲を撫でる。

チヨヒコが言った。

『カリンさんはすぐ叩いちゃうでしょうから、撫でたら発動するようにしましたよ』

デカイ大砲が光を放ち、ゆっくりと城に向いた。

「!娘!何を!」

今頃、チヨヒコたちは少女たちを連れて、脱出してるはずだ。

チヨヒコが錬成した錬金魔法で中に設置された金の玉が勢いよく、飛び出した。
そのまま城の上部、瓦屋根をきれいさっぱり吹き飛ばした。

「な!なんてことをしやがる!」

「あんたがワガママ言ってるからでしょ!確かにあんたはそうよね!平気で命を弄ぶ!"禁忌の償還魔法"まで持ち出して、"罪人"を"生け贄"にしてまでも戦に勝とうとしてる!この国は30分もあれば回れる!人数なんてそんないない!"罪人"がいなくなったら、国民を犠牲にする!そうやって、どんどん犠牲者出して!」

悔しくて涙がボロボロでた。

「……最後には一人になっちゃうよ。それはもっと哀しいよね?」

「おまえ……」

「強いとこがあるから、藁にもすがる気持ちで禁忌に手を出した。そんなとこだろうけど……、よくないよ。皆一人一人、"生きてる"んだよ?それを王子だからって道具扱いしちゃダメだ。……気がついてないだけで、君の心には溝が深まってる。まだ間に合う、国民と向き合って行こうよ。君なら出来るよ」

「俺は……」

戸惑いを見せるマサチカ。

「王子!娘たちが逃げました!」

王子はボクをみた。

「うん、ボクが逃がした。」

「何故、勝手なことをした!」

「このまま犠牲者出してったらお嬢ちゃんたちを囲ってもこの国に未来はないよ!王子だけじゃ、国にならないじゃん!国民居なくなったら、壊滅だ!」

「う……」

「それに!君の趣味は少女趣味だ!ボクは当てはまらない!何せ!ボクは、華の女子高生!17歳だ!」

「な……」

何故、驚いた……。

「娘……カリン、おまえは12くらいじゃないのか?!」

「誰が12歳だよ!歴とした17歳だっつーの!」

「なんてことだ……」

何か腹立つなー。

「……だが!俺は生まれ変わった!」

は?

「おまえに感銘を受けた!俺の妻となれ!」

「だが、断る!何、勝手なこと抜かしてやがる!嫌に決まってるだろ!」

「俺が気に入ったんだ!俺のそばにいろ!」

「だから、それがワガママって言ってんでしょー!」

「カリンが妻となれば、二度と償還魔法に手を出さないと誓う!」

「横暴だー!!」

ボクは声の限り叫んだ。
もう無理だ、限界過ぎる……。
ボクはフィットサイズの砲台に向き直る。

「な、また打つのか?」

マサチカにじと目を送ってやった。

「……説得したいなら、ボクを捕まえてごらんよ。そう簡単にゃ捕まらないから。」

ニヤリと笑う。
ボクは、フィットサイズの砲台を撫でる。砲台が光出す。
そして、……………INした。

「な、何をしている?!」

「ワガママ通したいなら、捕まえて見やがれ!」

「カ、カリンさん?!」

少女たちを救出し、戻ったチヨヒコたちが慌てていた。

「チヨヒコ!矛先は全部引き受けた!新しい未来は君たちで作れ!去らばだ!」

フィットサイズの砲台がでかい砲台より上空を向く。
そのまま、チヨヒコの錬成魔法により……ボクは空高く打ち上げられた。

「カリンー!!待っていろ!!必ず捕まえにいく!!」

マサチカが叫んでいた。
悪い、もう忘れたわ。
てか、チヨヒコはかなり優秀だ。
きっと素敵な先導者になれる。

「頑張れよー!チヨヒコー!」

小さくなったチヨヒコがオハナちゃんらしき女の子の手をしっかり握っていた。

「……その手、離すんじゃないよ」

どこまで上がるんだろー?
……と思ったら一瞬止まって、急降下。

「おお?!」

真下の"井戸"にIN!!
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