インターネットで異世界無双!?

kryuaga

文字の大きさ
88 / 92

#88

しおりを挟む
 日本での魔石探索については一旦、状況を見守る事にし、こちらの世界でやるべき事へと目を向ける。

 

 というのも世界間を繋ぐゲートは、こちらの世界からあちらの世界へと繋ぐ為、必要な準備はこちら側の方が多いのだ。

 今俺達がいる星と、日本がある地球のサイズがほとんど同じである事を利用して、2つの惑星間の同期をとって云々みたいな理屈らしいのだが、正直俺もちゃんと理解してはいない。

 ただ、その為の準備はここ聖大陸イデアテューア以外でも、行う必要があるそうなのだ。



 まあその辺については、ナイトレインが引き受けてくれたので問題は無いのだが、代わりに魔王国以外の大陸諸国については、俺達でどうにかしなければならない。

 ルーシェリア帝国はリーゼが、神聖教国ステラシオンについてはトラバントに任せているが、残るルーナプレーナ諸国連合や他の小国について対応を考える必要がある。

 そんな事に俺が頭を悩ませていると、孤児院に訪問者がやって来た。



「コウヤはいるかしら?」



「ん? どうしたんだ、フォレフィエリテ?」



 ナイトレインと行動を共にしている筈の彼女が、そこには居た。



「ルーナプレーナ諸国連合との交渉で、多分あなたが困ってるだろうから、手伝ってやれって言われてね」



「良く分かったな! 本気で助かる!」



 ルーナプレーナ諸国連合は、エルフの国やドワーフの国からなる連合国家だ。

 ただ全体として、それ以外の種族に対して排他的な傾向にある。

 なので、エルフである彼女が手助けをしてくれるのなら大助かりだ。



「あたしなら転移魔法も使えるし、大陸内だったら大抵の場所に跳べるわよ」



 頼もしい言葉を述べるフォレフィエリテに俺は感動を示す。

 そして、徹底的に彼女に甘える事に決めた。



「助かる。じゃあ帝国と教国以外は頼んだわ」



「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。私に全部丸投げするつもり!?」



「……ダメ?」



「ダメに決まってるじゃない! あなたもしっかり働きなさい!」



 精一杯可愛くおねだりしてみたのだが、ダメらしい。ちぇ……。

 そんな訳で、俺も同行することになった。







 それからはまた忙しい日々が続いた。

 流石に俺達だけでは、世界間ゲート作成の準備をするには、とてもじゃないが手が足りないので、各国へと事情を説明し協力を要請していったのだった。

 大体の国が協力を渋ったが、そこは大国の威光やら有名人の後ろ盾パワーなどを、存分に駆使してどうにかした。

 

 そんなある日、孤児院へと一時帰宅すると、そこには爺の姿があった。



「遅かったね、コウヤ」



「こんなとこで何してんだよ。皆てめぇのせいで目回しながら、頑張ってるんだぞ」



 特に俺とか、俺とか、俺とか。



「そう言われてもね。僕はやるべき事を済ませて、今は暇なんだよ」



 なんという言い草だろうか。

 まったくこれだから、この爺は……。



「だったら、俺らの手伝いをしろよ……」



「そうもいかない事情があってね」



 事情は分からんが、とりあえず爺に手伝う気が無いのだけは良く分かった。



「で、何か用か?」



「かわいい孫に会いに来るのに、何か理由が必要かい?」



 俺そっくりの若い顔で、孫とか言われてもなぁ……。

 正直いまだ違和感しかない。



「一応、現在の進捗状況を確認しに来たのさ。地球の方の準備は、どうにかなりそうかい?」



「そうだな……。まあ多分なんとかなるんじゃないか?」



 俺の書き込みが色々と波紋を呼び、あちらでは結構な騒ぎになっているようだ。

 ただそのお蔭で、日本国外にも話題が波及して、斉藤さんの方に色々と情報が流れているようだ。

 その真偽の選別が大変だと、こないだ物凄く愚痴られたりもしたが……。



「そっか。まあコウヤならやってくれると信じてたよ」



 日本にいた頃は、爺からそんな優しい言葉を掛けられた記憶が無いので、反応に困ってしまう。

 そんな俺の様子に気付いたのか、爺が別の話題を振って来る。



「そう言えば、ここで犬を飼ってるって聞いたけど、良ければ見せてくれないかな?」



 そういえばこの爺、人間には妙に厳しかったくせに、犬相手には物凄く優しかったのだ。

 そうこの爺は、無類の犬好きなのだ。



「ああ、今は散歩に行ってる時間だな。そろそろ戻って来る頃だと思うんだが……」



 フェンは毎日、決まった時間に孤児院の子供たちを乗せて、街へと散歩に行っている。

 賢い奴の事だから、見回りも兼ねているんだろうな、きっと。



「お、言ってる傍から、帰って来たぞ?」



 敷地の外に子供たちを乗せたフェンの姿があった。

 フェンは俺に気付くと、子供たちをその場に下ろし、こちらへと駆け寄ってくる。

 

 と思ったら、何故か直前で方向を転換し、爺へと飛びついた。



「……ま、まさか、リク、なのかい?」



 爺が驚いた表情で、フェンを見つめている。



「リク? こいつはフェンって名前だぞ?」



「ウォン!」



 どっちに返事したのか、良く分からないタイミングで、フェンがそう吠える。



「いや、この子は間違いなくリクだよ。そっか、コウヤは知らないのか……。この子は昔、僕が飼っていた愛犬なんだよ」



 ……ある意味衝撃の事実の発覚である。

 ここに来て、まだ驚くような事実が出て来るとは、色々な意味でビックリである。



「てことは、そいつももしかして転生者、もとい転生犬なのか?」



「そう言う事になるね。……更に言えば、僕が神だった時代には、神狼とも呼ばれていたよ」



 神狼とは、神の眷属たる狼なのだそうだ。

 もはや何が何やらである。

 フェンの前世は爺が日本で買っていた愛犬で、更にその前は、神狼であると。

 変な犬だなぁとは前々から思っていたが、そう言われると、ある意味納得である。



「で、なんで爺の元愛犬が、こんなところにいるんだ?」



「……僕も直接現場を見た訳じゃないから、断言は出来ないんだけど。七夜が召喚されたのとほぼ同時期に、この子もいなくなったから……」



 どうもナイトレインの召喚に巻き込まれたらしい。



「しかし、コイツがここに倒れてたのは、割と最近だぞ?」



「うーん。時間のズレなんて、割と起こる事だからねぇ」



 そんなもんですか。

 もう面倒なので、俺は理解するのを諦める事にした。



「ねぇ。コウヤ、この子を僕に譲ってくれない?」



「ダメだ。コイツは孤児院の用心棒でもあるからな」



 俺の即答に珍しく爺が肩を落としている。

 いい気味だ。



「リク……。今はフェンだったかな。また会いに来るからね」



「ウォン!」



 結局、爺はひとしきりフェンを撫でまわした後、満足気な表情を浮かべて帰って行った。



 って、こうしている場合じゃない。

 雑務を片付けたら、またフォレフィエリテたちと合流しないと行けないのだ。



 まだしばらくは俺の忙しい日々は続きそうだ。

 面倒に思いつつも、そんな日々をちょっとだけ楽しんでいる俺であった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...