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日本での魔石探索については一旦、状況を見守る事にし、こちらの世界でやるべき事へと目を向ける。
というのも世界間を繋ぐゲートは、こちらの世界からあちらの世界へと繋ぐ為、必要な準備はこちら側の方が多いのだ。
今俺達がいる星と、日本がある地球のサイズがほとんど同じである事を利用して、2つの惑星間の同期をとって云々みたいな理屈らしいのだが、正直俺もちゃんと理解してはいない。
ただ、その為の準備はここ聖大陸イデアテューア以外でも、行う必要があるそうなのだ。
まあその辺については、ナイトレインが引き受けてくれたので問題は無いのだが、代わりに魔王国以外の大陸諸国については、俺達でどうにかしなければならない。
ルーシェリア帝国はリーゼが、神聖教国ステラシオンについてはトラバントに任せているが、残るルーナプレーナ諸国連合や他の小国について対応を考える必要がある。
そんな事に俺が頭を悩ませていると、孤児院に訪問者がやって来た。
「コウヤはいるかしら?」
「ん? どうしたんだ、フォレフィエリテ?」
ナイトレインと行動を共にしている筈の彼女が、そこには居た。
「ルーナプレーナ諸国連合との交渉で、多分あなたが困ってるだろうから、手伝ってやれって言われてね」
「良く分かったな! 本気で助かる!」
ルーナプレーナ諸国連合は、エルフの国やドワーフの国からなる連合国家だ。
ただ全体として、それ以外の種族に対して排他的な傾向にある。
なので、エルフである彼女が手助けをしてくれるのなら大助かりだ。
「あたしなら転移魔法も使えるし、大陸内だったら大抵の場所に跳べるわよ」
頼もしい言葉を述べるフォレフィエリテに俺は感動を示す。
そして、徹底的に彼女に甘える事に決めた。
「助かる。じゃあ帝国と教国以外は頼んだわ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。私に全部丸投げするつもり!?」
「……ダメ?」
「ダメに決まってるじゃない! あなたもしっかり働きなさい!」
精一杯可愛くおねだりしてみたのだが、ダメらしい。ちぇ……。
そんな訳で、俺も同行することになった。
◆
それからはまた忙しい日々が続いた。
流石に俺達だけでは、世界間ゲート作成の準備をするには、とてもじゃないが手が足りないので、各国へと事情を説明し協力を要請していったのだった。
大体の国が協力を渋ったが、そこは大国の威光やら有名人の後ろ盾パワーなどを、存分に駆使してどうにかした。
そんなある日、孤児院へと一時帰宅すると、そこには爺の姿があった。
「遅かったね、コウヤ」
「こんなとこで何してんだよ。皆てめぇのせいで目回しながら、頑張ってるんだぞ」
特に俺とか、俺とか、俺とか。
「そう言われてもね。僕はやるべき事を済ませて、今は暇なんだよ」
なんという言い草だろうか。
まったくこれだから、この爺は……。
「だったら、俺らの手伝いをしろよ……」
「そうもいかない事情があってね」
事情は分からんが、とりあえず爺に手伝う気が無いのだけは良く分かった。
「で、何か用か?」
「かわいい孫に会いに来るのに、何か理由が必要かい?」
俺そっくりの若い顔で、孫とか言われてもなぁ……。
正直いまだ違和感しかない。
「一応、現在の進捗状況を確認しに来たのさ。地球の方の準備は、どうにかなりそうかい?」
「そうだな……。まあ多分なんとかなるんじゃないか?」
俺の書き込みが色々と波紋を呼び、あちらでは結構な騒ぎになっているようだ。
ただそのお蔭で、日本国外にも話題が波及して、斉藤さんの方に色々と情報が流れているようだ。
その真偽の選別が大変だと、こないだ物凄く愚痴られたりもしたが……。
「そっか。まあコウヤならやってくれると信じてたよ」
日本にいた頃は、爺からそんな優しい言葉を掛けられた記憶が無いので、反応に困ってしまう。
そんな俺の様子に気付いたのか、爺が別の話題を振って来る。
「そう言えば、ここで犬を飼ってるって聞いたけど、良ければ見せてくれないかな?」
そういえばこの爺、人間には妙に厳しかったくせに、犬相手には物凄く優しかったのだ。
そうこの爺は、無類の犬好きなのだ。
「ああ、今は散歩に行ってる時間だな。そろそろ戻って来る頃だと思うんだが……」
フェンは毎日、決まった時間に孤児院の子供たちを乗せて、街へと散歩に行っている。
賢い奴の事だから、見回りも兼ねているんだろうな、きっと。
「お、言ってる傍から、帰って来たぞ?」
敷地の外に子供たちを乗せたフェンの姿があった。
フェンは俺に気付くと、子供たちをその場に下ろし、こちらへと駆け寄ってくる。
と思ったら、何故か直前で方向を転換し、爺へと飛びついた。
「……ま、まさか、リク、なのかい?」
爺が驚いた表情で、フェンを見つめている。
「リク? こいつはフェンって名前だぞ?」
「ウォン!」
どっちに返事したのか、良く分からないタイミングで、フェンがそう吠える。
「いや、この子は間違いなくリクだよ。そっか、コウヤは知らないのか……。この子は昔、僕が飼っていた愛犬なんだよ」
……ある意味衝撃の事実の発覚である。
ここに来て、まだ驚くような事実が出て来るとは、色々な意味でビックリである。
「てことは、そいつももしかして転生者、もとい転生犬なのか?」
「そう言う事になるね。……更に言えば、僕が神だった時代には、神狼とも呼ばれていたよ」
神狼とは、神の眷属たる狼なのだそうだ。
もはや何が何やらである。
フェンの前世は爺が日本で買っていた愛犬で、更にその前は、神狼であると。
変な犬だなぁとは前々から思っていたが、そう言われると、ある意味納得である。
「で、なんで爺の元愛犬が、こんなところにいるんだ?」
「……僕も直接現場を見た訳じゃないから、断言は出来ないんだけど。七夜が召喚されたのとほぼ同時期に、この子もいなくなったから……」
どうもナイトレインの召喚に巻き込まれたらしい。
「しかし、コイツがここに倒れてたのは、割と最近だぞ?」
「うーん。時間のズレなんて、割と起こる事だからねぇ」
そんなもんですか。
もう面倒なので、俺は理解するのを諦める事にした。
「ねぇ。コウヤ、この子を僕に譲ってくれない?」
「ダメだ。コイツは孤児院の用心棒でもあるからな」
俺の即答に珍しく爺が肩を落としている。
いい気味だ。
「リク……。今はフェンだったかな。また会いに来るからね」
「ウォン!」
結局、爺はひとしきりフェンを撫でまわした後、満足気な表情を浮かべて帰って行った。
って、こうしている場合じゃない。
雑務を片付けたら、またフォレフィエリテたちと合流しないと行けないのだ。
まだしばらくは俺の忙しい日々は続きそうだ。
面倒に思いつつも、そんな日々をちょっとだけ楽しんでいる俺であった。
というのも世界間を繋ぐゲートは、こちらの世界からあちらの世界へと繋ぐ為、必要な準備はこちら側の方が多いのだ。
今俺達がいる星と、日本がある地球のサイズがほとんど同じである事を利用して、2つの惑星間の同期をとって云々みたいな理屈らしいのだが、正直俺もちゃんと理解してはいない。
ただ、その為の準備はここ聖大陸イデアテューア以外でも、行う必要があるそうなのだ。
まあその辺については、ナイトレインが引き受けてくれたので問題は無いのだが、代わりに魔王国以外の大陸諸国については、俺達でどうにかしなければならない。
ルーシェリア帝国はリーゼが、神聖教国ステラシオンについてはトラバントに任せているが、残るルーナプレーナ諸国連合や他の小国について対応を考える必要がある。
そんな事に俺が頭を悩ませていると、孤児院に訪問者がやって来た。
「コウヤはいるかしら?」
「ん? どうしたんだ、フォレフィエリテ?」
ナイトレインと行動を共にしている筈の彼女が、そこには居た。
「ルーナプレーナ諸国連合との交渉で、多分あなたが困ってるだろうから、手伝ってやれって言われてね」
「良く分かったな! 本気で助かる!」
ルーナプレーナ諸国連合は、エルフの国やドワーフの国からなる連合国家だ。
ただ全体として、それ以外の種族に対して排他的な傾向にある。
なので、エルフである彼女が手助けをしてくれるのなら大助かりだ。
「あたしなら転移魔法も使えるし、大陸内だったら大抵の場所に跳べるわよ」
頼もしい言葉を述べるフォレフィエリテに俺は感動を示す。
そして、徹底的に彼女に甘える事に決めた。
「助かる。じゃあ帝国と教国以外は頼んだわ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。私に全部丸投げするつもり!?」
「……ダメ?」
「ダメに決まってるじゃない! あなたもしっかり働きなさい!」
精一杯可愛くおねだりしてみたのだが、ダメらしい。ちぇ……。
そんな訳で、俺も同行することになった。
◆
それからはまた忙しい日々が続いた。
流石に俺達だけでは、世界間ゲート作成の準備をするには、とてもじゃないが手が足りないので、各国へと事情を説明し協力を要請していったのだった。
大体の国が協力を渋ったが、そこは大国の威光やら有名人の後ろ盾パワーなどを、存分に駆使してどうにかした。
そんなある日、孤児院へと一時帰宅すると、そこには爺の姿があった。
「遅かったね、コウヤ」
「こんなとこで何してんだよ。皆てめぇのせいで目回しながら、頑張ってるんだぞ」
特に俺とか、俺とか、俺とか。
「そう言われてもね。僕はやるべき事を済ませて、今は暇なんだよ」
なんという言い草だろうか。
まったくこれだから、この爺は……。
「だったら、俺らの手伝いをしろよ……」
「そうもいかない事情があってね」
事情は分からんが、とりあえず爺に手伝う気が無いのだけは良く分かった。
「で、何か用か?」
「かわいい孫に会いに来るのに、何か理由が必要かい?」
俺そっくりの若い顔で、孫とか言われてもなぁ……。
正直いまだ違和感しかない。
「一応、現在の進捗状況を確認しに来たのさ。地球の方の準備は、どうにかなりそうかい?」
「そうだな……。まあ多分なんとかなるんじゃないか?」
俺の書き込みが色々と波紋を呼び、あちらでは結構な騒ぎになっているようだ。
ただそのお蔭で、日本国外にも話題が波及して、斉藤さんの方に色々と情報が流れているようだ。
その真偽の選別が大変だと、こないだ物凄く愚痴られたりもしたが……。
「そっか。まあコウヤならやってくれると信じてたよ」
日本にいた頃は、爺からそんな優しい言葉を掛けられた記憶が無いので、反応に困ってしまう。
そんな俺の様子に気付いたのか、爺が別の話題を振って来る。
「そう言えば、ここで犬を飼ってるって聞いたけど、良ければ見せてくれないかな?」
そういえばこの爺、人間には妙に厳しかったくせに、犬相手には物凄く優しかったのだ。
そうこの爺は、無類の犬好きなのだ。
「ああ、今は散歩に行ってる時間だな。そろそろ戻って来る頃だと思うんだが……」
フェンは毎日、決まった時間に孤児院の子供たちを乗せて、街へと散歩に行っている。
賢い奴の事だから、見回りも兼ねているんだろうな、きっと。
「お、言ってる傍から、帰って来たぞ?」
敷地の外に子供たちを乗せたフェンの姿があった。
フェンは俺に気付くと、子供たちをその場に下ろし、こちらへと駆け寄ってくる。
と思ったら、何故か直前で方向を転換し、爺へと飛びついた。
「……ま、まさか、リク、なのかい?」
爺が驚いた表情で、フェンを見つめている。
「リク? こいつはフェンって名前だぞ?」
「ウォン!」
どっちに返事したのか、良く分からないタイミングで、フェンがそう吠える。
「いや、この子は間違いなくリクだよ。そっか、コウヤは知らないのか……。この子は昔、僕が飼っていた愛犬なんだよ」
……ある意味衝撃の事実の発覚である。
ここに来て、まだ驚くような事実が出て来るとは、色々な意味でビックリである。
「てことは、そいつももしかして転生者、もとい転生犬なのか?」
「そう言う事になるね。……更に言えば、僕が神だった時代には、神狼とも呼ばれていたよ」
神狼とは、神の眷属たる狼なのだそうだ。
もはや何が何やらである。
フェンの前世は爺が日本で買っていた愛犬で、更にその前は、神狼であると。
変な犬だなぁとは前々から思っていたが、そう言われると、ある意味納得である。
「で、なんで爺の元愛犬が、こんなところにいるんだ?」
「……僕も直接現場を見た訳じゃないから、断言は出来ないんだけど。七夜が召喚されたのとほぼ同時期に、この子もいなくなったから……」
どうもナイトレインの召喚に巻き込まれたらしい。
「しかし、コイツがここに倒れてたのは、割と最近だぞ?」
「うーん。時間のズレなんて、割と起こる事だからねぇ」
そんなもんですか。
もう面倒なので、俺は理解するのを諦める事にした。
「ねぇ。コウヤ、この子を僕に譲ってくれない?」
「ダメだ。コイツは孤児院の用心棒でもあるからな」
俺の即答に珍しく爺が肩を落としている。
いい気味だ。
「リク……。今はフェンだったかな。また会いに来るからね」
「ウォン!」
結局、爺はひとしきりフェンを撫でまわした後、満足気な表情を浮かべて帰って行った。
って、こうしている場合じゃない。
雑務を片付けたら、またフォレフィエリテたちと合流しないと行けないのだ。
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