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「そ、そもそも、どうして、国を出るんです? そこまでしなくても」
フェルナン様の声が掠れる。
「他の国まで逃げない限り、私は不本意な結婚から逃れられそうにありませんので」
「……結婚相手が誰でも、ということでしょうか?」
「私に結婚相手を選ぶ権利などありませんから」
お父様が用意する相手は、どう考えても不本意な相手しかいなさそうだ。
基準はお金を持っているかどうか。
実際既に、話をちょっと聞くだけでも、きな臭い匂いがするような相手を選ばれている。
「それでは、結婚相手をご自分で選べるとしたら?」
「え?」
フェルナン様の言いたいことが分からなくて、私は首を傾げる。
「夏至祭は、お互いの気持ちを確かめることになります。中には、断られることだってある。すべての人間が、上手くいくわけではないですが」
「……そうなんですね。でも、私は夏至祭には出る予定はありませんので。それに、私に申し込んでくる方は、きっといらっしゃいません」
例え夏至祭に出たとしても、相手が存在しない以上、私には無関係だ。
ずっと私を遠巻きにしている令息たちが、夏至祭になったら申し込んでくるようなことはないだろう。
「そんなことはありません!」
必死に否定するフェルナン様の気づかいに、私は苦笑する。
「気遣いなど必要ありません。自分のことは自分がよくわかっていますから」
「出てみなければわからないではありませんか」
「……そもそも、出られそうにありませんしね」
私が肩をすくめると、フェルナン様が首を振る。
「どうすれば、夏至祭に出てくれますか?」
懇願するような瞳に、ドギマギする。
勘違いしてしまいそうになる。
もちろん、頭では理解しているけど。
「ドレスも用意できませんので」
「……ソシエール男爵が用意しないということですね?」
「そのお金も惜しいでしょうから。私は、お金のために結婚相手に売られる予定なのです」
「そんなことはさせません!」
強い声に、私の口元が緩む。
友人として、大切に思われているのだと感じられるからだ。
「大丈夫です。だからこそ、この国を出る計画を立てているのです。何か良いお仕事をご存じではありませんか?」
フェルナン様が、真剣な顔で考え込む。
推しにあんなに嫌われていたのに、ここまで想って貰えるようになった、というだけで十分じゃないかな。
まだやらなきゃいけないことは沢山あるけど、リヴィア・ソシエールの人生は、きっと悪くない。
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「他の国まで逃げない限り、私は不本意な結婚から逃れられそうにありませんので」
「……結婚相手が誰でも、ということでしょうか?」
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基準はお金を持っているかどうか。
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「そんなことはありません!」
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「気遣いなど必要ありません。自分のことは自分がよくわかっていますから」
「出てみなければわからないではありませんか」
「……そもそも、出られそうにありませんしね」
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もちろん、頭では理解しているけど。
「ドレスも用意できませんので」
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「そんなことはさせません!」
強い声に、私の口元が緩む。
友人として、大切に思われているのだと感じられるからだ。
「大丈夫です。だからこそ、この国を出る計画を立てているのです。何か良いお仕事をご存じではありませんか?」
フェルナン様が、真剣な顔で考え込む。
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まだやらなきゃいけないことは沢山あるけど、リヴィア・ソシエールの人生は、きっと悪くない。
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