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「い、生きていたのね、ルーナ!」
我に返ったカレイナがルーナの手を取ろうとしたそのときだった。
パシン、とその手がはたかれ、会場がざわめく。
「な、何をするんだ!」
アーノルドが憮然とした表情で進み出る。アーノルドが睨み付けたのは、正体不明の美丈夫の方だった。カレイナの手を振り払ったのは、美丈夫だったからだ。
「汚ならしいその手で、我が番に手を触れないで欲しいからね」
ざわめきが更に広がる。
『汚ならしい手』という言葉と、『番』という聞きなれない言葉がざわめきの主な理由だった。
「汚ならしいとはなんだ! 我が婚約者を侮辱するとは、許せん!」
アーノルドが強い口調で反論する。
「本当のことを言って、何が悪い?」
美丈夫の表情は冷たくアーノルドを見下ろしている。
「何だと?!」
アーノルドが美丈夫に掴みかかろうとした瞬間、アーノルドの体が後ろに吹き飛ぶ。ガシャンガシャン、と皿が床に落ちて割れる。テーブルの足にアーノルドがぶつかったせいだった。
「何をするの!?」
カレイナがアーノルドにすがり付く。アーノルドは美丈夫をにらみながら立ち上がる。
「何をするんだ!」
アーノルドの表情は、屈辱で歪んでいる。会場にいる人々が見たこともない表情だった。
「汚い手で触れるな。穢れる」
美丈夫は表情を変えずに冷たい目を向けたまま告げた。
「我々の婚約パーティーに突然現れて、パーティーを壊したあげく、我々を汚いなどと言う権利がどこにあるんだ!」
アーノルドは興奮して顔を真っ赤にしている。
「罪を犯した人間を汚いと言って何が悪い」
『罪』という言葉に、また会場がざわめいた。
「罪など犯していない!」
「変な言いがかりをつけるなんてひどいわ!」
アーノルドは激昂し、カレイナが泣き出す。
先程までお祝いムードに溢れていた会場は、一変していた。
「一体、どうしたんだ」
屋敷の奥にある応接間で王族と歓談していたカレイナとアーノルドのそれぞれの両親が、騒ぎを聞き付けて駆け寄ってくる。
その後ろには、皇太子と第3王女の姿もあった。
「ルーナ」
どちらの両親もが、驚愕で目を見開く。4人ともルーナの顔をよく知っているからだ。
「ルーナ? 亡くなったルーナ・メソフィスのことか?」
ルーナの顔までは覚えていない皇太子が、首をかしげる。
「間違いないわ! ルーナ、ルーナなのね!」
感激した表情の第3王女が、ルーナに抱きつく。
第3王女は、ルーナの親友であり、カレイナの学友でもあったためこの場にいるようなものだった。
「ヴィアンカ、久しぶりね」
ルーナも懐かしそうに頬を緩める。
今までとは違って、美丈夫もにこやかに二人を見ている。
「ル、ルーナ……どうして……」
メソフィス伯爵が、ようやく声を絞り出す。
「魔の森に置いてきぼりにして殺したはずなのに、生きているのが不思議か」
美丈夫の『魔の森』という言葉と『殺した』という言葉に会場が更に騒然となる。
我に返ったカレイナがルーナの手を取ろうとしたそのときだった。
パシン、とその手がはたかれ、会場がざわめく。
「な、何をするんだ!」
アーノルドが憮然とした表情で進み出る。アーノルドが睨み付けたのは、正体不明の美丈夫の方だった。カレイナの手を振り払ったのは、美丈夫だったからだ。
「汚ならしいその手で、我が番に手を触れないで欲しいからね」
ざわめきが更に広がる。
『汚ならしい手』という言葉と、『番』という聞きなれない言葉がざわめきの主な理由だった。
「汚ならしいとはなんだ! 我が婚約者を侮辱するとは、許せん!」
アーノルドが強い口調で反論する。
「本当のことを言って、何が悪い?」
美丈夫の表情は冷たくアーノルドを見下ろしている。
「何だと?!」
アーノルドが美丈夫に掴みかかろうとした瞬間、アーノルドの体が後ろに吹き飛ぶ。ガシャンガシャン、と皿が床に落ちて割れる。テーブルの足にアーノルドがぶつかったせいだった。
「何をするの!?」
カレイナがアーノルドにすがり付く。アーノルドは美丈夫をにらみながら立ち上がる。
「何をするんだ!」
アーノルドの表情は、屈辱で歪んでいる。会場にいる人々が見たこともない表情だった。
「汚い手で触れるな。穢れる」
美丈夫は表情を変えずに冷たい目を向けたまま告げた。
「我々の婚約パーティーに突然現れて、パーティーを壊したあげく、我々を汚いなどと言う権利がどこにあるんだ!」
アーノルドは興奮して顔を真っ赤にしている。
「罪を犯した人間を汚いと言って何が悪い」
『罪』という言葉に、また会場がざわめいた。
「罪など犯していない!」
「変な言いがかりをつけるなんてひどいわ!」
アーノルドは激昂し、カレイナが泣き出す。
先程までお祝いムードに溢れていた会場は、一変していた。
「一体、どうしたんだ」
屋敷の奥にある応接間で王族と歓談していたカレイナとアーノルドのそれぞれの両親が、騒ぎを聞き付けて駆け寄ってくる。
その後ろには、皇太子と第3王女の姿もあった。
「ルーナ」
どちらの両親もが、驚愕で目を見開く。4人ともルーナの顔をよく知っているからだ。
「ルーナ? 亡くなったルーナ・メソフィスのことか?」
ルーナの顔までは覚えていない皇太子が、首をかしげる。
「間違いないわ! ルーナ、ルーナなのね!」
感激した表情の第3王女が、ルーナに抱きつく。
第3王女は、ルーナの親友であり、カレイナの学友でもあったためこの場にいるようなものだった。
「ヴィアンカ、久しぶりね」
ルーナも懐かしそうに頬を緩める。
今までとは違って、美丈夫もにこやかに二人を見ている。
「ル、ルーナ……どうして……」
メソフィス伯爵が、ようやく声を絞り出す。
「魔の森に置いてきぼりにして殺したはずなのに、生きているのが不思議か」
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