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「あの、議会での話、聞きました。ありがとうございました」
ライが迎えに来ると、アリーナは頭を下げる。
顔を上げると、ライが穏やかな顔でほほ笑んでいた。
「いえ。私の力と言うよりは、王子妃の力なんですよ」
アリーナをエスコートしながら歩き出しながら、ライは意外な名前を出した。
「王子妃?」
いつどこに王子妃が出現してたっけ? とアリーナは考えてみるが、 この6日間のライとの会話で王子妃の名前が出たことはなかったはずだ。
「ええ。王子妃が隣国の王女であることはご存知ですよね」
「ええ。知ってると言うか、常識、ですよね」
王子妃は隣国の王女だ。アリーナが貴族としての交流を辞めてからこの国に嫁いできたので、アリーナは直接会ったことはない。それに、今回の話とどうかかわるのか、アリーナはぴんとは来なかった。
「隣国では、女性の社会進出が当たり前のことです。ですから、王子妃はこの国の現状に心を痛めていたようでした。ですが、嫁いで来た身で、この国の決まりを変えるほどの力はなく、ずっと憂慮していたそうです」
なるほど、とアリーナは今回の話の黒幕に王子妃がいたと言うことに納得する。
「それで、私とライ様を隣国へという話が出たんですか」
「ええ。私を引き抜きたいという話は以前からありましたけど、今回の相談をしたときに、それほど優秀なのならばぜひ夫婦で移ればよいと。」
「あの…ライ様が隣国に行っちゃいますよ、って言えばそれだけでも議会は大人しくなったんじゃないですか」
ライはほほ笑みながら首を横に振る。
「私には大切で優秀な婚約者がいるんだということを広めることが目的でしたから」
「はい?」
それは、別に知らせる必要はないことだったけど、議会の貴族たちにお披露目するためにそんな話にしたってことじゃないか、と、流石にアリーナにも理解できた。
「その必要はなかったんじゃないですか」
「いえ。アリーナが優秀だと知った貴族が、アリーナを取り込もうと暗躍するかもしれませんから。アリーナは私の婚約者だと皆に知らしめる必要がありました」
…いや、必要なくない? アリーナは、そっとため息をついた。
「あの、ライ様。お言葉ですが、もし本当にそうだと思っている貴族がいたとしたら、とっくに私の縁談は整えられていると思うんです。26になる今まで結婚の話が出ていないわけですから、そんな心配は無用です」
だがライは首をゆっくりと横に振る。
「今まではアリーナのすばらしさに気付いていなかった人間がほとんどだったわけです。今回、私との婚約の話が出たことで、アリーナが実はすばらしい人間だと気付く人間が出てくるわけです」
アリーナは大きくため息をつく。
「そんな心配は、本当に無用です。…それに、ライ様が王太子をはじめとして私を婚約者だと言いまくっているのに、それを覆すことができる人間がいる気がしないんですが」
馬車に先に乗り込んだライに手を差し出されて、アリーナはライの手を取る。
乗り込んだアリーナの手を、ライは離さない。
「えーっと、何ですか」
「覆せる人間が1人だけいるんですよ」
「えーっと…誰ですか」
まさか王様? アリーナはそれ以外にもうライの味方をしていない人間を思いつかなかった。勿論アリーナも王の意向など知るわけもないわけで、既に王もライの味方の可能性は高いと思っている。でもそれ以外に誰が? アリーナには答えが出ない。
「貴方ですよ、アリーナ。」
恭しく指先にキスされて、アリーナはライの隣に座らされた。
「…私の一存で、覆すことができるんですか」
今までの流れは、アリーナが抗いようもない流れになっていて、ほぼほぼライとの結婚の話が整えられてきている。
アリーナが一昨日まで…いや昨日の午後までは絶対解決不可能だと思った結婚のハードルが、今日の午後にはあっけなく解決してしまった。
じゃあ、あとハードルは何か、と問われれば、アリーナもすぐには思いつかない。
だが、ライとの結婚を認めたくない何か、が存在するのは確かだ。
覆すことができるのであれば覆したいと、アリーナはまだ思っている。
「アリーナが他の誰かに恋をしてしまったら、私との結婚など考えられなくなるでしょ」
恋。
予想外の内容に、アリーナは瞬きを繰り返す。
「そんな意外そうな顔をしないでください。人の気持ちは、一瞬で恋に落ちることができるんですよ? 私みたいに。」
にっこりと笑うライの恋の相手が誰かなんて、聞かなくてもわかるだろう。
「…そんなもの、私はしないもの」
苦い思い出が、アリーナの心をわずかに乱す。そう、もう気持ちがざわめくぐらいの出来事になった。いっそなかったことにしてしまいたい。そう思っているのに、横に座るライが、時折アリーナの心を乱す原因になる。恋なんて言葉を口にしないで欲しいと、アリーナは心から思う。
「アリーナ。恋はするものじゃなくて、落ちるものですよ」
「…私はないわ」
アリーナにとっての一度だけの淡い思い出は、元婚約予定者によって嫌な記憶になってしまった。淡い気持ちだけが残ったのだったら、新しく恋をする気にもなったのかもしれない。だが、その淡い気持ちを元婚約予定者はずたずたに踏みにじって行ってしまった。
それならばいっそ、そんなものはしたくない。
アリーナの決意を見たのか、ライは肩をすくめる。
「アリーナが他の誰かに恋をしないのであれば、私はいいんです。…できれば、私に恋をしてほしいんですけどね」
「それはないわ」
一刀両断するアリーナに、ライはクスリと笑う。アリーナがライに恋をしようがしまいが、今のままではアリーナとライが結婚するのは既定路線だ。だから、焦りがないとも言える。
「あ、そうそう。アリーナはカレーは好きですか」
「カレー?」
なぜ突然カレーの話になったのか、アリーナは戸惑う。
「ええ。王子妃から、隣国秘伝のレシピをいただいたんです」
そう言えばカレーは隣国の食べ物だったとアリーナも思い出す。家で食べたことはなくて、城の食堂で初めて食べた。どうやら王子妃が嫁いで来た時にお祝いを兼ねて振舞ってみたら好評でそれ以降食堂のメニューとして定着したらしい。
「カレーは好きよ。それ食べてみたいわ」
アリーナの返事に、ライが満足そうに頷く。
「今度の休みに作りましょう? できたら一緒に。」
「…いいの?」
ライの提案に、アリーナは恐る恐る返事をする。
「ええ。是非。」
アリーナの料理の腕が散々だとライも知っているのに、快く返事してくれることに、アリーナは驚きと喜びを隠せない。
アリーナは、料理自体が心底嫌いだったわけではないのだ。ただ、出来上がった作品がひどすぎて誰もさせてくれようとしないだけの話で。
アリーナは次の休み…日曜日が楽しみになった。
その後は、ライが説明してくれるカレーのつくり方に、アリーナは耳を傾けた。
…聞けば聞くほど、アリーナにできるのか不安にはなったが。
ライが迎えに来ると、アリーナは頭を下げる。
顔を上げると、ライが穏やかな顔でほほ笑んでいた。
「いえ。私の力と言うよりは、王子妃の力なんですよ」
アリーナをエスコートしながら歩き出しながら、ライは意外な名前を出した。
「王子妃?」
いつどこに王子妃が出現してたっけ? とアリーナは考えてみるが、 この6日間のライとの会話で王子妃の名前が出たことはなかったはずだ。
「ええ。王子妃が隣国の王女であることはご存知ですよね」
「ええ。知ってると言うか、常識、ですよね」
王子妃は隣国の王女だ。アリーナが貴族としての交流を辞めてからこの国に嫁いできたので、アリーナは直接会ったことはない。それに、今回の話とどうかかわるのか、アリーナはぴんとは来なかった。
「隣国では、女性の社会進出が当たり前のことです。ですから、王子妃はこの国の現状に心を痛めていたようでした。ですが、嫁いで来た身で、この国の決まりを変えるほどの力はなく、ずっと憂慮していたそうです」
なるほど、とアリーナは今回の話の黒幕に王子妃がいたと言うことに納得する。
「それで、私とライ様を隣国へという話が出たんですか」
「ええ。私を引き抜きたいという話は以前からありましたけど、今回の相談をしたときに、それほど優秀なのならばぜひ夫婦で移ればよいと。」
「あの…ライ様が隣国に行っちゃいますよ、って言えばそれだけでも議会は大人しくなったんじゃないですか」
ライはほほ笑みながら首を横に振る。
「私には大切で優秀な婚約者がいるんだということを広めることが目的でしたから」
「はい?」
それは、別に知らせる必要はないことだったけど、議会の貴族たちにお披露目するためにそんな話にしたってことじゃないか、と、流石にアリーナにも理解できた。
「その必要はなかったんじゃないですか」
「いえ。アリーナが優秀だと知った貴族が、アリーナを取り込もうと暗躍するかもしれませんから。アリーナは私の婚約者だと皆に知らしめる必要がありました」
…いや、必要なくない? アリーナは、そっとため息をついた。
「あの、ライ様。お言葉ですが、もし本当にそうだと思っている貴族がいたとしたら、とっくに私の縁談は整えられていると思うんです。26になる今まで結婚の話が出ていないわけですから、そんな心配は無用です」
だがライは首をゆっくりと横に振る。
「今まではアリーナのすばらしさに気付いていなかった人間がほとんどだったわけです。今回、私との婚約の話が出たことで、アリーナが実はすばらしい人間だと気付く人間が出てくるわけです」
アリーナは大きくため息をつく。
「そんな心配は、本当に無用です。…それに、ライ様が王太子をはじめとして私を婚約者だと言いまくっているのに、それを覆すことができる人間がいる気がしないんですが」
馬車に先に乗り込んだライに手を差し出されて、アリーナはライの手を取る。
乗り込んだアリーナの手を、ライは離さない。
「えーっと、何ですか」
「覆せる人間が1人だけいるんですよ」
「えーっと…誰ですか」
まさか王様? アリーナはそれ以外にもうライの味方をしていない人間を思いつかなかった。勿論アリーナも王の意向など知るわけもないわけで、既に王もライの味方の可能性は高いと思っている。でもそれ以外に誰が? アリーナには答えが出ない。
「貴方ですよ、アリーナ。」
恭しく指先にキスされて、アリーナはライの隣に座らされた。
「…私の一存で、覆すことができるんですか」
今までの流れは、アリーナが抗いようもない流れになっていて、ほぼほぼライとの結婚の話が整えられてきている。
アリーナが一昨日まで…いや昨日の午後までは絶対解決不可能だと思った結婚のハードルが、今日の午後にはあっけなく解決してしまった。
じゃあ、あとハードルは何か、と問われれば、アリーナもすぐには思いつかない。
だが、ライとの結婚を認めたくない何か、が存在するのは確かだ。
覆すことができるのであれば覆したいと、アリーナはまだ思っている。
「アリーナが他の誰かに恋をしてしまったら、私との結婚など考えられなくなるでしょ」
恋。
予想外の内容に、アリーナは瞬きを繰り返す。
「そんな意外そうな顔をしないでください。人の気持ちは、一瞬で恋に落ちることができるんですよ? 私みたいに。」
にっこりと笑うライの恋の相手が誰かなんて、聞かなくてもわかるだろう。
「…そんなもの、私はしないもの」
苦い思い出が、アリーナの心をわずかに乱す。そう、もう気持ちがざわめくぐらいの出来事になった。いっそなかったことにしてしまいたい。そう思っているのに、横に座るライが、時折アリーナの心を乱す原因になる。恋なんて言葉を口にしないで欲しいと、アリーナは心から思う。
「アリーナ。恋はするものじゃなくて、落ちるものですよ」
「…私はないわ」
アリーナにとっての一度だけの淡い思い出は、元婚約予定者によって嫌な記憶になってしまった。淡い気持ちだけが残ったのだったら、新しく恋をする気にもなったのかもしれない。だが、その淡い気持ちを元婚約予定者はずたずたに踏みにじって行ってしまった。
それならばいっそ、そんなものはしたくない。
アリーナの決意を見たのか、ライは肩をすくめる。
「アリーナが他の誰かに恋をしないのであれば、私はいいんです。…できれば、私に恋をしてほしいんですけどね」
「それはないわ」
一刀両断するアリーナに、ライはクスリと笑う。アリーナがライに恋をしようがしまいが、今のままではアリーナとライが結婚するのは既定路線だ。だから、焦りがないとも言える。
「あ、そうそう。アリーナはカレーは好きですか」
「カレー?」
なぜ突然カレーの話になったのか、アリーナは戸惑う。
「ええ。王子妃から、隣国秘伝のレシピをいただいたんです」
そう言えばカレーは隣国の食べ物だったとアリーナも思い出す。家で食べたことはなくて、城の食堂で初めて食べた。どうやら王子妃が嫁いで来た時にお祝いを兼ねて振舞ってみたら好評でそれ以降食堂のメニューとして定着したらしい。
「カレーは好きよ。それ食べてみたいわ」
アリーナの返事に、ライが満足そうに頷く。
「今度の休みに作りましょう? できたら一緒に。」
「…いいの?」
ライの提案に、アリーナは恐る恐る返事をする。
「ええ。是非。」
アリーナの料理の腕が散々だとライも知っているのに、快く返事してくれることに、アリーナは驚きと喜びを隠せない。
アリーナは、料理自体が心底嫌いだったわけではないのだ。ただ、出来上がった作品がひどすぎて誰もさせてくれようとしないだけの話で。
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