2つの世界の架け橋

明人

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リラの答えにシルヴィアの顔が輝いた。
「その選択をしてくれると思ってたわ~!シラビシを助けてくれた時点で魔族を助けることに拒否感は無いんだろうとは思ってたし。まあ、人間との争いを手助けすることになるからそこだけは気が乗らなかっただろうけどね」
図星を突かれ、うっ…と動揺する。
「でも、助けたい気持ちは本当です。誰かを助けることは私の存在意義にもなるから」
真剣なリラの瞳にシルヴィアは少しだけ寂しげに笑った。
「他人に存在意義求めるなんてどうかと思うけどね~。それ存在してないも一緒じゃない?「リヴェア!!!」
シラビシはリヴェアの耳を全力でつねりあげる。
「本当に申し訳ないっす!こいついつもはこんなんじゃ…いや、いつもこんなんっすけど、悪い奴…でもあるっすね」
「大変ね。フォローのしようがない友人を持つと」
「友人でも…「あるよ!そこはあるからね!譲らないよ!!!」
こんな会話を見て常々思う。人間と魔族は見た目や肉体の強度や違うところは沢山あるけれど、考え方は人間とさほど違いはないのではないだろうか。
「そういえば朝ごはんまだね。私人間のご飯も研究してるのよ。ちょっと待っててね~」
「あ、手伝います」
「いいのいいの!貴女は大切な私のお客様でもあるんだから。あ…そういえば。まだ名前聞いてなかったわね」
「名前名乗ってもないなんて失礼極まりないよね。ちゃんと教育受けてきたの?「お前も名乗ってないだろうが!!」
リヴェアはシラビシに背中を蹴られ、嬉しそうにしていた。その姿に正直ひいた。
「あら、私も名乗ってなかった気がするわ。色々あったから忘れてた。結構名前呼ばれてるからもう覚えてるかも知れないけど、私はシルヴィア。気軽にシリーでいいわ」
「俺もしてないっすね。シラビシっていいます。鳥人団の下っ端兵士やってるっす。お礼も兼ねて護衛させてもらうっすよ」
「シラビシが名乗るならボクも名乗ろう。犬人団の兵士リヴェアだよ。シラビシとは幼馴染であり親友であり、シラビシはボクの全てでもある。シラビシのためならこの命すら惜しくない!!」
「正直気持ち悪いし、命は大事にして欲しいっす」
「ボクの心配を…っ「ポジティブっすね」
シラビシに抱きつくリヴェアに動揺しつつもリラは口を開く。
「カーリラです。リラと呼んでください」
「リラー!!」
シルヴィアがリラに抱きつき頬ずりを始めた。
「名前まで可愛いのね~!私の妹は!」
「妹じゃないです!!」
「なるんだから気にしないの!それじゃご飯作ってくるわね~。二人も手伝いなさい」
「分かったっす」
「シラビシが行くなら勿論ボクも行くよ!」
嵐のように部屋から出て行った三人を見送り、リラは一人呟いた。
「だから…妹になる予定なんてないですって…っ」
ただ癒し手として使えばいいだけなのに何故プラスアルファで魔王の嫁というオマケがついているのだろう。大変いらない。
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