台本 短編集

日明

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3人台本 約束 ※3人目セリフ極少

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男1 女1 不問1※不問セリフ少ないため男性が兼任オススメ

あらすじ
師匠は殺し屋。エクラはそんな師匠の唯一の弟子であり、闇オークションでエクラを競り落とした買い主でもある。

エクラ
師匠に殺人に関するあらやる手段を身をもって教育された。感情は薄目で師匠のことをクソ野郎とも思っているが尊敬もしている

師匠
化け物のような強さ知識を持つ男。30代ぐらい。自分が世界の中心だと考えている。常に明るくピエロのような言動をする。エクラのことは替えのきく道具とも思っているが、自分以外がエクラに危害を加えるのは気に食わない。

少女or少年
エクラと遊ぶ約束をした。



エ「師匠。ご飯出来ましたよ」

師「君はまた貴重な食材を牛の糞にも劣る1品に仕上げたのかい?」

エ「作れって言ったの師匠でしょ。何度も言ってますが私に料理のセンスは皆無ですよ」

師「知ってるよ。君は僕が人生で一度も感じたことの無いほど不快な1品をつくりあげる!あらゆる毒物に抗体のある僕が知らないほどの汚物だ!劇物と言っても差し支えない!」

エ「どうしてそんな汚物を作らせたがるのか理解に苦しみます」

師「危険なものほどチャレンジしたくなるものじゃないか。今日のメニューは?」

エ「ビーフシチューです」

師「卵焼きですらミュータントに仕上げる癖にどうしてそんな難易度の高いものに手を出したんだい」

エ「前に街に出た時師匠がビーフシチューの匂い嗅いで美味しそうって言ってたから」

師「よく覚えていたね。半年も前の話なのに。さて、折角だからいただこうかな。あーん。うん!!クソ不味いね!!世界が滅びると知らされたら信じるほどの不味さだ!」

エ「いい加減うるせぇですよ」

師「最早才能だよ!食材の味を殺しに殺し、悪い部分だけを最高に引き上げてる!ヘドロを飲んだ方がマシなレベルだよ!」

エ「嫌なら食べなくていいです。捨てますよ」

師「食材に罪はないだろう。劇物ではあるが僕なら食べれないほどじゃない」

エ「...文句言いつついつもちゃんと食べてくれるんだよなぁ...」

師「ところでエクラ。課題は進んでるかい?」

エ「はい。師匠に言われた毒物は全て一般人の致死量を耐えれるようになりました。全身の関節を外す技も習得済です。拘束された際の っ!」

師「アハッ!昔の君なら今の一撃避けきれずに死んでたねぇ」

エ「死角からナイフ仕込んだ靴で蹴り上げてくるなんていい趣味ですね。さすが師匠です」

師「うんうん。君が使い物になるまで随分かかったからねぇ。元は取らなきゃ」

エ「お陰様で今や1日に3件は暗殺業こなせるようになりましたよ」

師「あと5件追加でこなせるようになろうねぇ」

エ「体一つなんですよねぇ」

師「何言ってんの1件4時間以内に終わらせなよ」

エ「ターゲットの行動パターンの把握や侵入経路の確保なんか普通は長期の準備が必要なものですよ」

師「何言ってんの。僕らの普通はそんなもんじゃないだろう?」

エ「ええ。そうですね。貴方は普通とはかけ離れています」

師「変態共にいたぶられていた方が良かったと言うなら喜んでまた闇オークションに君をかけよう。年はくって少々値は落ちるだろうが十分いい値になるだろう」

エ「正直今まで師匠から受けた肉体的な苦痛は生涯で変態共から受ける痛みを超えていたでしょうね。それでも、今の方が遥かに私らしいです。だから、師匠には感謝してます」

師「もっと褒めたたえてくれても構わないよ!」

エ「クソ野郎とも常に思ってますけど」

師「口が悪い雌豚に育ったねぇ!何処で育て方を間違えたかなぁ」

エ「貴方を見て育ったんですから私は貴方の鏡ですよ」

師「僕の鏡と言うには程遠いよ」

エ「ええ。分かってます。貴方は私の目から見ても化け物です」

師「逆だよ。世界が劣り過ぎているんだ」

エ「本当に自己中心的ですね。あ...師匠少し街へ行ってきてもいいですか?」

師「別に構わないけど何のために?」

エ「あの...えっと...その...約束してて」

師「ふーーーん。なるほどねぇ」

エ「分かってます。私達と一般の人間じゃ住む世界が違う。仕事が終わればこの街も直ぐにおさらば。だから...一瞬の、一時の娯楽です」

師「まぁそうだね。人生には娯楽という名の彩りが必要だ。いいよ。行っておいで。ただし、仕事もちゃんとこなしてくるんだよ」

エ「はい。勿論です」


少し間を空けて


エ「ただいま...戻りました...」

師「おかえり。遅かったねぇ。早く仕事を終わらせろと言ったばかりなのに。何を手こずったんだい?」

エ「...約束した子が来なくて待ってたら仕事するまでに遅くなっちゃって...」

師「アハハ!すっぽかされた訳か。人間なんてそんなもんだよ。いい学びになったねぇ」

エ「...約束破るような子じゃないんです。何かあったんだろうなって。でも家とかも知らなくて。だから、待つしかなくて...。今日、一緒に猫ちゃんが集まるとこ行こうねって...約束してたんですけど...」

師「いくらうだうだ言ったって君が約束をすっぽかされた事実は変わらないよ。ほら、さっさとドブネズミみたいな匂いをお風呂に行って流しておいで」

エ「はい...」

師「...たまには僕も遊んで来ようかなぁ♪」

少し空けて

エ「お風呂あがりました。あれ...師匠?出掛けちゃったのか...。あの子...約束ねって言ってくれたのに...。最近子供が誘拐される事件が多いから昼間の明るいうちに会おうねって...。私が...普通じゃないから約束破られたのかな...っ」


間を開けて


エ「ん...。いつの間にか寝ちゃってた...。あれ?いい匂い...」

師「やぁエクラおはよう!」

エ「おはようございます師匠。朝ごはん作ってるんですか?」

師「あぁ。いつも君の吐瀉物も超えるゲテモノを食べてると身がもたないからね」

エ「私の料理に対する悪口が尽きないですねほんと。あれ...師匠何処か怪我してます?」

師「この僕が怪我なんてするとでも?」

エ「でも血の匂いがするような...」

師「そんなことよりさっさと朝食を食べて準備しな」

エ「あぁ。もう街を出るんですね。分かりました」

師「違うよ。君は街に行くんだ。それで噴水の前で待ってて」

エ「何か買い物ですか?」

師「行けば分かるよ」

エ「なんか...師匠機嫌いいですか?」

師「僕はいつでも上機嫌だよ!ほら、冷める前にベーコンエッグ食べちゃいな。半熟トロトロの黄身をパンにつけると最高だよ」

エ「美味しい...。さすが師匠...」

師「なんてたって僕だからね!出立は明日の予定だから、噴水の前で人が来るまで待ってて」

エ「分かりました」


間を空けて


エ「なんか今朝の師匠ちょっと変だったな...。何買い忘れたんだろ。噴水前...昨日もずっと待ってたなぁ...」

少「お待たせ!!」

エ「え...どうして...」

少「昨日は本当に来れなくてごめんね!実は...誘拐されてて」

エ「だ、大丈夫だったの?」
 
少「ある人が助けてくれたの。その人に『約束は守らないとね』って」

エ「まさか...」

少「約束してた猫の集会所行こうね!それから他にも美味しいものとか沢山食べよ!」

エ「...うん。楽しみ。あのさ、ご飯食べ終わったら雑貨屋さんみたい」

少「何買うの?」

エ「贈り物をしたいんだ。要らないかもしれないけど私があげたいんだ。本当に最低って思うことも多い人だけど、私を救ってくれた人だから」


ーend-




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