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First Secret ~ラブ・クラッシャー、あるいは最悪女優~
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透き通るような肌。ちょっと垂れぎみの愛らしいマロンブラウンの瞳。
たしかにこの子はいかにも透明度の高い清純派。
対して、セクシー系ワインレッドのワンピに巻いたラベンダーブラウンの髪を散らしてる、今日もくるりん上を向いたまつ毛に縁どられた目力強めの瞳――このあたしは22歳、現役女優にしてドラマや映画で演じるのはいつも悪役の中の悪役。
スクリーンは現実を映し出す。
「あっ、これから雑誌記事のインタビューだった。じゃぁ、また今月末、お茶するときにね! 玲愛ちゃん愛してる~」
「ええ」
何度も振り返る彼女にこちらも惜しみなく手を振り返したところで、ようやく任務が終了となる。
おわかりだろうか。
あたしが女優という立場を利用してやっていることが。
そう。――やっかいなカレシと別れたがっている女の子たちが手を切れるよう援助している。
いうなればラブ・クラッシャー。
男に目がないと言われているこの風評を駆使して、暴力や浮気の絶えない男たちに言い寄り、その気にさせることで、別れたくても別れられずに苦しんでいる彼女との縁を切らせる。表向きには悔し涙を飲ませてきた女優やモデルの子たちとは世間の噂とは真逆に、こうして仲がよかったりする。
スクリーンが取りこぼす現実も、たしかにある。
さて、任務完了。帰りますか。
仕事終わりにはさっさと家に帰って、ビタミン多めのハイビスカスティーでも飲んでゆっくり過ごすにかぎるわ。
パンプスの底を蹴り上げたとき、事件は起きた。
「……マジっすか」
かすかにぽろりと呟かれた声を、あたしの中のアラート機能は逃さなかった。
暗がりにたたずむ、長身の影。
普段のモデルウォークも忘れて、無様にもかけよる。
「すげー。かっけーっ」
そこには、ばかみたいに目を見開いている、チャラめの男がいた。
ロングウルフヘアの色はダークブラウンアッシュ。
黒いハードジャケットにダメージジーンズ。
首元には十字架やドクロのついた何重ものネックレス。
切れ長のランプブラックの瞳。
とっさに脳内の芸能人名録をめくる。
人気バンドグループ『デイブレイク』のギター時々ボーカル。
歌唱力もさることながら、最近ではバラエティー番組にもひっぱりだこで、そのおバカキャラで十代から三十代にかけて根強い人気を誇る。
その名は愚蒙伊吹。
――見られた?
たしかにこの子はいかにも透明度の高い清純派。
対して、セクシー系ワインレッドのワンピに巻いたラベンダーブラウンの髪を散らしてる、今日もくるりん上を向いたまつ毛に縁どられた目力強めの瞳――このあたしは22歳、現役女優にしてドラマや映画で演じるのはいつも悪役の中の悪役。
スクリーンは現実を映し出す。
「あっ、これから雑誌記事のインタビューだった。じゃぁ、また今月末、お茶するときにね! 玲愛ちゃん愛してる~」
「ええ」
何度も振り返る彼女にこちらも惜しみなく手を振り返したところで、ようやく任務が終了となる。
おわかりだろうか。
あたしが女優という立場を利用してやっていることが。
そう。――やっかいなカレシと別れたがっている女の子たちが手を切れるよう援助している。
いうなればラブ・クラッシャー。
男に目がないと言われているこの風評を駆使して、暴力や浮気の絶えない男たちに言い寄り、その気にさせることで、別れたくても別れられずに苦しんでいる彼女との縁を切らせる。表向きには悔し涙を飲ませてきた女優やモデルの子たちとは世間の噂とは真逆に、こうして仲がよかったりする。
スクリーンが取りこぼす現実も、たしかにある。
さて、任務完了。帰りますか。
仕事終わりにはさっさと家に帰って、ビタミン多めのハイビスカスティーでも飲んでゆっくり過ごすにかぎるわ。
パンプスの底を蹴り上げたとき、事件は起きた。
「……マジっすか」
かすかにぽろりと呟かれた声を、あたしの中のアラート機能は逃さなかった。
暗がりにたたずむ、長身の影。
普段のモデルウォークも忘れて、無様にもかけよる。
「すげー。かっけーっ」
そこには、ばかみたいに目を見開いている、チャラめの男がいた。
ロングウルフヘアの色はダークブラウンアッシュ。
黒いハードジャケットにダメージジーンズ。
首元には十字架やドクロのついた何重ものネックレス。
切れ長のランプブラックの瞳。
とっさに脳内の芸能人名録をめくる。
人気バンドグループ『デイブレイク』のギター時々ボーカル。
歌唱力もさることながら、最近ではバラエティー番組にもひっぱりだこで、そのおバカキャラで十代から三十代にかけて根強い人気を誇る。
その名は愚蒙伊吹。
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