ラブ・クラッシャーの仮面を剥いで

ほか

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Secret3.周辺調査せよ

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 それから二週間後。

 新曲のレッスン終わり、7月の日光がアスファルトに照り返す中、女優がかかないはずの汗を吸収性抜群のタオルでぬぐいつつわざわざ向かったのは5キロほど離れた別のスタジオ。

 そこで『クルージング・マスカレード』で披露する曲の打ち合わせをしているという人気バンド『デイブレイク』の楽屋を訪ねるためだ。

 胸元に大きな白いリボン。レースのミニスカート。

 お嬢様ふうにハーフアップにしたラベンダーブラウンの髪。

 うん、印象はばっちりだ。




『デイブレイク様』とプリントされた紙が貼られた部屋のドアをとんとん、と控えめにノックする。

「お疲れ様でーす。たまたまスタジオが一緒だったので、今度『しゃべらナイト』をご一緒させていただく愚蒙さんにご挨拶したくってぇ。強玲愛って言います~」

 備え付けられた低いテーブルの一番手前に座っていた茶髪のお兄さんが立ちあがる。

「わ、あの最悪女の玲愛ちゃん? すげー。オレ手塚紘。『デイブレイク』のメインボーカルやってますっ」

 脳内芸能人名録によると、彼は『デイブレイク』のリーダーでもある。

 ひとまず食いつきのいい彼に、持っていた紙袋を差し出す。




「これ、差し入れですっ」




「おおっ、小包装になってる。お菓子かなんか? ひょっとして手作り?」

「てへ。そうでーす」

 高級店の包装紙から独自のラッピングに詰め替えるという工程をへた手作りでーす、てへっ。

 紘さんはいきなり包装紙を剥ぐと、出てきたマカロンにぱくついた。

「うめー」

 テーブルのうえには無残な包装紙。

 信じられない。選定にもラッピングにもわりかし時間かけたのに。

「てか、すげーかっわいいね、玲愛ちゃん。今度オレと遊びいくー?」

 プライベートでの女性との噂も絶えないらしい公私ともにチャラ男の誘い文句には、

「えーっ、ほんとですかー? 玲愛、紘さんのいつも過ごしてる場所、知りたーい」




 いつものくせで嬉しそうなふりなんかしてしまった。

 いかんいかん、あたしとしたことが、今日のターゲットは別口よ。




「あ、これ!」

 目ざとくテーブルの下に見とがめた真っ赤なド派手楽器に大げさに口元を抑えてみせる。

「伊吹さんのギターですよね! わぁっ、かっこい~っ。玲愛、伊吹さんが作詞した『Fragile』って曲、だいだい大好きなんです」

 あえてマニアックなとこ選んだからタイトルしか知らないけど。

 そのタイトルすら昨晩ググって知ったけど。
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