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第1話 宅配司書と作家志望
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ヴァランシーをアウトサイダーと評しましたが、彼女が主役を務めた舞台である『青い城』という本も、文学史上の位置づけだと、知る人ぞ知る名作という感じなのですが、最後は、文学史上では堂々たる地位にある作品を持ってきましょうか。
『二都物語』。最後にご紹介するのは、言わずと知れたイギリスの文豪チャールズ・ディケンズの名作です。『クリスマス・キャロル』や『オリバー・ツイスト』といった名著のタイトルを耳にしたことのある方も多いかと存じます。
フランス革命の豪風吹き荒れる時代。貴族であるというだけで無実の罪をきせられ、断頭台の露と消えた人々は少なくありませんでした。そんな中、ダーニーはフランス貴族でありながら横暴な貴族である実家に反発し、イギリスに渡ります。お気付きになりましたでしょうか? タイトルにもある『二都』とは物語の主要な舞台となる、イギリス・ロンドンとフランス・パリのことなのです。
さて、ドーバー海峡を渡る船の中、ダーニーは一人の女性と出会います。
その名もルーシー・マネット。彼女には長らく獄中生活にあった医師である父がいます。フランスからイギリスに向かう船の中で、長年の捕らわれの生活ですっかり衰弱しきったその父親をダーニーがともに介抱したことでほのかな恋が芽生えるのです。
ですがいきついたイギリス・ロンドンで、故国イギリスの機密をフランス王に売った嫌疑をかけられ、裁判にかけられてしまいます。革命の嵐が吹き荒れる当時、ダーニーが無罪を主張し、ルーシーが必死にかばおうとしますが、それも空しく、有罪判決がくだされてしまうのか。
絶体絶命と思われたその時、転機が訪れます。
法廷にいた一人の男によって。
ぼさぼさの頭で、終始天井を睨んでいるような彼――シドニー・カートンは、つと小さな紙片をとって、何事か書つけ、それをひねってぽいと弁護人に投げつけたのでした。
それを読んで知恵を得た弁護人は、証人の一人、ルーシーの父、マネット医師に質問します。
「この被告が、船の中で行き会った男、チャールズ・ダーニーに間違いないと言えますか?」
肯定するしかない証人に彼は、紙を投げて寄越したシドニーを指さすのです。
「どうです? これでも」
生活な身なりのダーニー。どこからどう見てもさえないシドニー。
ですが驚くなかれ、二人は瓜二つだったのです。
この事実は後々、物語のクライマックスを導く重要なキーとなってきます。
このように、ディケンズは物語の途上で、後に回収する鍵穴を随所にそして巧みにちりばめているのです。
ですが、絵画的構成の美しさに見惚れるばかりでなく、ここで注意してほしいのです。
悲劇的な運命に翻弄されるこのダーニー、実は主人公ではありません。
フランスに反発してイギリスに渡る気骨のある若者ではあるけれど、一番のアウトサイダーは彼ではないのです。物語の中では彼よりもずっとさえなかったまさかのあの人。
ラストで物語最大のしかけがわかった時、あなたはきっと涙します。
ヴァランシーをアウトサイダーと評しましたが、彼女が主役を務めた舞台である『青い城』という本も、文学史上の位置づけだと、知る人ぞ知る名作という感じなのですが、最後は、文学史上では堂々たる地位にある作品を持ってきましょうか。
『二都物語』。最後にご紹介するのは、言わずと知れたイギリスの文豪チャールズ・ディケンズの名作です。『クリスマス・キャロル』や『オリバー・ツイスト』といった名著のタイトルを耳にしたことのある方も多いかと存じます。
フランス革命の豪風吹き荒れる時代。貴族であるというだけで無実の罪をきせられ、断頭台の露と消えた人々は少なくありませんでした。そんな中、ダーニーはフランス貴族でありながら横暴な貴族である実家に反発し、イギリスに渡ります。お気付きになりましたでしょうか? タイトルにもある『二都』とは物語の主要な舞台となる、イギリス・ロンドンとフランス・パリのことなのです。
さて、ドーバー海峡を渡る船の中、ダーニーは一人の女性と出会います。
その名もルーシー・マネット。彼女には長らく獄中生活にあった医師である父がいます。フランスからイギリスに向かう船の中で、長年の捕らわれの生活ですっかり衰弱しきったその父親をダーニーがともに介抱したことでほのかな恋が芽生えるのです。
ですがいきついたイギリス・ロンドンで、故国イギリスの機密をフランス王に売った嫌疑をかけられ、裁判にかけられてしまいます。革命の嵐が吹き荒れる当時、ダーニーが無罪を主張し、ルーシーが必死にかばおうとしますが、それも空しく、有罪判決がくだされてしまうのか。
絶体絶命と思われたその時、転機が訪れます。
法廷にいた一人の男によって。
ぼさぼさの頭で、終始天井を睨んでいるような彼――シドニー・カートンは、つと小さな紙片をとって、何事か書つけ、それをひねってぽいと弁護人に投げつけたのでした。
それを読んで知恵を得た弁護人は、証人の一人、ルーシーの父、マネット医師に質問します。
「この被告が、船の中で行き会った男、チャールズ・ダーニーに間違いないと言えますか?」
肯定するしかない証人に彼は、紙を投げて寄越したシドニーを指さすのです。
「どうです? これでも」
生活な身なりのダーニー。どこからどう見てもさえないシドニー。
ですが驚くなかれ、二人は瓜二つだったのです。
この事実は後々、物語のクライマックスを導く重要なキーとなってきます。
このように、ディケンズは物語の途上で、後に回収する鍵穴を随所にそして巧みにちりばめているのです。
ですが、絵画的構成の美しさに見惚れるばかりでなく、ここで注意してほしいのです。
悲劇的な運命に翻弄されるこのダーニー、実は主人公ではありません。
フランスに反発してイギリスに渡る気骨のある若者ではあるけれど、一番のアウトサイダーは彼ではないのです。物語の中では彼よりもずっとさえなかったまさかのあの人。
ラストで物語最大のしかけがわかった時、あなたはきっと涙します。
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