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第1章
和解
しおりを挟む夜の街を駆ける車両が一台。
「アマネさん、本当にこんな所でエボルの反応が?」
全身にプロテクターを付けた長身の男が話し始めた。
「本当みたいよ?なんでも、B級は下らない力だったらしいわ」
アマネと呼ばれた彼女もまた、全身にプロテクターをまとっている。
「B級って…街中じゃなかったのが幸いでしたね。」
「えぇ…ん、サモン、着いたみたいよ。」
━━━━━━━━━━━━━━━
夜のシャッター街。とは思えないような光景が広がっていた。
「こ、これは…」
「凄いわね…ここまでとは…」
二人は頭を抱えていた。
眼前には、辺り一面に突如として現れた岩石があった。
「ダメだわ。ここで立ち止まってちゃ終わらない。」
「そうですね。じゃあ自分はあっちを…ん?」
路地裏に、少年が立っていた。
「君、こんなところで何してるんだ?」
「サモン、まずは保護」
「あー、分かりました。君、ここは危険だから、向こうで話を聞いてもいいかな?」
少年はしばらく黙り込み、こう言い放った。
「アンタらもかぁ!」
少年の足下から鋭い岩が飛び出した。
━━━━━━━━━━━━━━━
土煙が舞う中、少年は泣き崩れた。
「なんで…なんでだよ…」
また、同じ罪を犯してしまった。その罪悪感と悔しさで、いっぱいだった。
しかし…
ガキン…
少年の岩が崩れ落ちた。
「君だったのか…これは」
少年は、唖然としていた。
サモンの腕は、少年が出した岩とは別の岩石に覆われていた。
少年の攻撃を防いでいたのだ。
二人は、少年のほうに歩み寄った。
「大丈夫だ。オレ達は、君の敵じゃない」
「そ…そんなの…信用出来るわけ…」
「ふぅ…あなた、さっき見たでしょ?私達も能力者…[エボルブ]よ」
━━━━━━━━━━━━━━━
少年は、しばらく黙り込んだ後、自分のことを話し始めた。
「僕の名前は、祐希カナタ。今年で、15になります」
アマネとサモンの二人は、彼の話をじっくりと聞いた。
「僕の両親は、二人ともエボルブでした。でも、それを隠して、僕を育ててくれました」
「お父さんやお母さんのこと、詳しく教えてくれないかい?」
サモンが口を開いた。
「え…?」
「君は、どんな理由があったとしても、人を殺めてしまった。この事は、君のご両親に伝えないといけないんだ」
「君が生まれ持った力は強大だ。だからこそ、その力のコントロールをしないと…」
ガタン…
急に、カナタは立ち上がった。拳を震わせながら。
「僕の両親は…殺されました。アイツらに…何もしていないのに…ただ…能力者なだけで!」
涙を含んだ瞳で見つめられ、サモンは、何も言えなくなっていた。
すると、ずっと黙って聞いていたアマネが、カナタに近づき、抱きしめた。
「な…」
「この世界は、まだ私たちを取り込んではくれない。きっと、何もしなければずっとそのままよ」
力強い声だった。
「だからこそ、私たちは、動かなければいけない」
「親でも、愛する人でも、その人たちの想いは、私たちしか継ぐことは出来ないの」
カナタは察し、泣いた。
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