魔女ノ陰謀論

皐月

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序章に過ぎない出来事 4

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「取れる。けど、どうして?」

アトラが首を傾げる。

「奴らが、《導光》を持っていたから。」
「!?」

《望郷》―《望郷の魔女》ノスタルジア=パチェーリャ。魔導具《導光》の製作者。
私は《導光》が奴らの手にあったことを彼女に伝えなければならない。あげた友人が、殺されている可能性があるから。

魔導具の所有者の変更方法は二つある。一つは双方の同意の上に成り立つ契約魔法。そしてもう一つが死である。この場合所有者の欄が空くので誰でも所有者することが可能となる。

この話は過去とはいえそう遠い過去ではなく、ここ10年弱の話なのである。アトラによると相手は当時10代の少年。現在生きているなら20~30代前半だろう。老衰は有り得ないし、事故や事件、病気などの可能性もあるが、その場合家族が遺品として保管している可能性が高い。売られた可能性も否定できないが、そう都合良く奴らの手に渡るだろうか。

奴らとの交渉決裂の末殺されたと考える方が想像に難くない。

「連絡、しとく。」
「お願いね、出来るだけ早く。」

アトラは《伝言鳥メッセンジャー》を使用すると声を吹き込み始める。そして窓を開けると魔法の鳥は飛び立って行った。

「今日の昼、着くはず。」

そうすると彼女は食べかけのアトゥロンを再び食べ始めた。
今日の昼に着くならきっと明日にでも来訪があるだろう。それとも呼び出しだろうか。どちらにせよ彼女とは話をしなければならない。

「ありがとう。私じゃ場所が分からないから助かったわ。」
「じゃあ、アトゥロン、いっぱい」
「いいわ。帰りまでに焼いておくわね。」

満足そうな笑みを浮かべて彼女は2つ目のアトゥロンを食べ終える。そして私の半分に割って手をつけてない方を見て、

「食べていい?」
「いいわよ。」

いつも通りである。
その日はいつものように昼食も夕食も一緒に食べ、彼女は泊まっていった。
違ったのは《望郷》から訪問する、と返事があったぐらい。
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