例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間

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【薬と一週間】

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手錠生活も一週間が過ぎた。

その間分かった事と言えばゲームが振り出しに戻った事。
そしてそれは本当に始まったばかりの頃だと言う事。

キリエ様とロキ様が子供なのがその証拠。

正直薬が無かったら何でッ!とかなってるだろうな、僕。
でも残念な事に今は老後を過ごす老人みたいにフワフワしている。

「ルイ、おはよう」

「まいにちよく来るね」

あとここ一週間。ロキ様がずっと会いに来る様になった。
幼い頃…二、三歳の頃も結構な頻度で有ってたけど毎日は無かったんだよね。
なのにこの頻度。

そして何故か手錠も外されない。

僕も大人になったらお世話になるこの手錠だが中々酷な品物だ。
強制的に取ろうとしたら魔力を強制的に取られる。
強制的に取られる、それは喉に手を突っ込まれて心臓を取られるのと同じくらい痛い。

前に拷問した陽気な囚人がそう言っていた。
実際何回か試したけど凄く痛かった。
封じるのは痛くないのに取られるのは痛い、って当たり前と言えば当たり前だけど、地味に理不尽さを感じているよ。

あと舌が痛い。
何故かじんじんする。一応セバスに薬を塗って貰ったけど、まだ違和感がある。

前はこんな事無かったのに…もしかして二回目だから少し変わってるとか?
でも舌が痛い、って地味過ぎない?何か意味あるのかな?

「最近はどうだ?」

「なぜボクじゃなくセバスにきくの」

ロキ様はセバスに僕の事を聞いていた。
僕が目の前に居るのだから僕に聞けば良いのに…。
やっぱり何か可笑しいな?何か有ったのかな??

「最近は安定しております。ですから、こう毎日足を運ばなくて結構ですよ?」 

「いや、まだ心配だから運ばせて貰うよ」

僕は魔力関係で学園にまだ通えないけどロキ様はもう通っていて忙しい筈だ。

『忙しいんだ。』

『うるさいっ!』

うん。確かにゲーム通りの台詞を吐かれた記憶はある。

そこで寂しさを覚えたルイに、父がロイスの元へ連れてってくれたのだ。
まぁ父は『王族との繋がりが出来る…グフフフ』って言う理由だろうけどね。
ゲームの僕は父の初めての優しさ、そして自分と同じ一級の魔力…同じ境遇を持つ人間に会える、この二つに浮かれた。

だけどロイスの境遇と自身の境遇。家族の対応の差を知ってしまい、ルイはロイスに嫉妬する様になる。

あげくロキ様を殺してしまいスクエア家に責められたルイは父を頼ったが恐怖故の罵倒。挙げ句見放される様に学園に入学。

学園でも恐れられ絶望。

だが同じ筈のロイスは崇められ周囲は優しい人達ばかり。

嫉妬は憎しみに、恨みに変わっていった。

まぁ僕はロイスに惚れてしまったから周囲を恨んで居たんだけどね。

一回目は現在初等部に通っている他のキャラも、何度も虐めた物だ。
僕はあくまでもロイスと重要キャラに関わろうとしなかっただけだからね。
モブキャラ位には悪戯しても良いだろう。じゃないと悪名も広がらない、ってのもあったし。

あぁ何だかフワフワした気分から抜け出せない。

何か忘れてる気がするんだけどなぁ?







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