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【人形の心】

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『貴方は第一王子なのです!もっとーーー』

『流石王子です!第二王子とは違いーーー』

『お前は私の言う事だけを聞いていればーー』

産まれた時から何の疑問に思う事なく、私は周囲の言う通りに生きていた。
苦もなくできてしまった事で年を取るにつれ答える物が高く、また増えていく。

『つまんねぇ』

学友である公爵の息子は私を見てそう言った。
何がつまらないのだろうか?

私には腹違いの三人の弟がいる。
だが各々良い感情は持っていない。

『一週間後、お前と同じ力を持つ者に会う。失言には気を付けるように』

前々から聞いていたカロアス家の子息に会う。
私と同じ、力を持つ子。
不穏な噂が消えないカロアス家の子息、また力のコントロールができないという事で学友候補から外れた子。

少し楽しみだ。

その日は何だか寝るのに時間がかかった。

『まだ力のコントロールができていない様だ』

…それならば仕方ないだろう。
私は面会時間を神殿への訪問に変更した。

『ーーのーー下僕ーー』

神殿では時々何かの声が聞こえる。
神官達には聞こえていない様なので黙っている。

『ーーはーーで良いーーか?』

その声は年々聞こえる様になっている。
最後まで聞こえる時がくるのが楽しみだ。

『いきて』

神殿を出る瞬間に聞こえる悲しい声に、私は不思議な感情になる。

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