例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

【殺し殺され怨み信じた者達の再会】

「やっと会えた」

その声の主はそう言って僕を抱き締めた。

すぐに誰の声か分かった。
でも、彼はここにいないはずで…。

『殺せ。殺せ殺せ殺せ！皆殺せ！』

「ッ！」

ズキッと頭痛がし、頭の中にルイ・カロアスの声が響く。

そうだ…誰でも良いじゃないか…殺すんだから

僕はポケットに入っているマナポーションに手を伸ばした。
魔力暴走を起こす為に。

だが叶わなかった。

「ロイスだ。君の名前は？」

ロイス……ロイス…？ロイス？？？

「ロイス？」

僕は僕を抱き締めている人物の顔を見た。

美しい太陽の様な明るい金髪に新緑の瞳…ロイス・アギスト・マロス。

「？？？？？？？？？」

ロイスがいるのなら今は終盤？でもロキ様は生きて…これもあの人の幻覚？それとも現実？
あれ？今僕は誰？留木原 夜？ルイ・カロアス？？

頭がクラクラする。

僕は誰？今はどこ？？

でもゲーム通りにロイスに殺されなきゃいけない…よね？？？

その時のセリフは確か…

「？？ルトス、フィアは、私の？？物だ？？」

「？良いんじゃない？」

？？？？？？

あれ？良いの？？

「貴様、等にも？？渡さぬ？？」

「良いよ？それくらい君にあげる。それより君の名前は？」

？？？？？？

「ルイ？りゅうぎ？？ぼくはだれ？？？」

「？」

ロイスに抱き締められてる？？これは何のシナリオ？？
どのルートだっけ？？

「っ…ロイス…殿下……ルイを…離してください」

ロキ様が壁を背もたれにロイスに話しかける。

ロキ様がいきてる？？ならころす？？ころ？す？？

「駄目だ！離すなロイス！！」

ロイスの背に隠れて見えないけどギルの声がする。

ギルがいるならロイスにころされる？？？ハッピーエンド？？

「ルイのポケットに入っているマナポーションを取れ！！早く！！」

「マナポーション？？どういう事ですか？」

キリエ様の声？ハッピーエンド？

？

マナポーション…それは取られてはだめだ。

「ごめんね。こうした方が早そうだ」

だめだ。ころしてころされなくちゃ！

マナポーションをとらないで！

僕はロイスの腕を抑えた。こうすれば取れないと思ったからだ。
だがロイスは抵抗せずに、僕に微笑んだ。

「？？？？？？」

混乱する僕にロイスはキスをした。